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【2023大阪公立大学・理系・第4問】整数問題(フェルマーの小定理)・二項係数・集合

2023年入試問題

【2023大阪公立大学・理系・第4問】

\(p\) は素数とする.次の問いに答えよ.

問1 \(j\) を \(0<j<p\) である整数とすると,二項係数 \(_{p}C_{j}\) は \(p\) で割り切れることを示せ.

問2 自然数 \(m\) に対して \((m+1)^p-m^p-1\) は \(p\) で割り切れることを示せ.

問3 自然数 \(m\) に対して \(m^p-m\) は \(p\) で割り切れることを示せ.さらに \(m\) が \(p\) で割り切れないときには,\(m^{p-1}\) が \(p\) で割り切れることを示せ.

ここで,次の集合 \(S\) を考える.

\(S=\left\{4n^2+4n-1 | n は自然数\right\}\)

例えば,\(n=22\) とすると \(4n^2+4n+-1=2023\) なので \(2023\) は \(S\) に属する.

次の問いに答えよ.

問4 整数 \(a\) が \(S\) に属し,\(a=4n^2+4n-1\) ( \(n\) は自然数 ) と表されているとする.このとき,\(a\) と \(2n+1\) は互いに素であることを示せ.

問5 \(p\) は \(3\) 以上の素数とする.\(p\) が \(S\) に属するある整数 \(a\) を割り切るならば,\(2^{\frac{p-1}{2}}-1\) は \(p\) で割り切れることを示せ.

解答・解説

問1 二項係数 \(_{p}C_{j}\) は \(p\) で割り切れることを示せ.

\(_{p}C_{j}=\displaystyle\frac{p!}{j!(p-j)!}\)

\(=\displaystyle\frac{p\cdot(p-1)!}{j\cdot(j-1)!(p-j)!}\)

\(=\displaystyle\frac{p}{j}\cdot\displaystyle\frac{(p-1)!}{(j-1)!(p-j)!}\)

\(=\displaystyle\frac{p}{j}\cdot_{p-1}C_{j-1}\)

よって \(j\cdot_{p}C_{j}=p\cdot_{p-1}C_{j-1}\)

\(p\cdot_{p-1}C_{j-1}\) は \(p\) の倍数なので,\(j\cdot_{p}C_{j}\) も \(p\) の倍数となる.

\(0<j<p\) ,\(p\) は素数より,\(p\) と \(j\) は互いに素であるから,\(_{p}C_{j}\) は \(p\) の倍数となる.

問2 \((m+1)^p-m^p-1\) は \(p\) で割り切れることを示せ.

二項定理から

\((m+1)^p=\displaystyle\sum_{j=0}^{p}{_{p}C_{j}m^j}=\displaystyle\sum_{j=1}^{p-1}{_{p}C_{j}m^j}+m^p+1\) より

\((m+1)^p-m^p-1=\displaystyle\sum_{j=1}^{p-1}{_{p}C_{j}m^j}\)

問1 より \(_{p}C_{j}\) ( \(1≦j≦p-1\) ) は \(p\) で割り切れるので,\((m+1)^p-m^p-1\) は \(p\) で割り切れる.

問3 \(m^p-m\) は \(p\) で割り切れることを示せ.さらに \(m\) が \(p\) で割り切れないときには,\(m^{p-1}\) が \(p\) で割り切れることを示せ.

数学的帰納法を用いて証明する.

( ⅰ ) \(m=1\) のとき

\(1^p-1=0\) は \(p\) で割り切れる.

( ⅱ ) \(m=k\) のとき,\(k^p-k\) が \(p\) で割り切れると仮定する.

\((k+1)^p-(k+1)=\left\{(k+1)^p-k^p-1\right\}+(k^p-k)\)

問2 より \((k+1)^p-k^p-1\) は \(p\) で割り切れ,また \(k^p-k\) は仮定から \(p\) で割り切れるので,\((k+1)^p-(k+1)\) は \(p\) で割り切れる.

( ⅰ ),( ⅱ )より,自然数 \(m\) に対して \(m^p-m\) は \(p\) で割り切れる.

 

また,\(m^p-m=m(m^{p-1}-1)\) であり,

\(m\) が \(p\) で割り切れないとき, 左辺は \(p\) で割り切れるので,

\(m^{p-1}\) は \(p\) で割り切れる.

フェルマーの小定理

\(p\) が素数で、\(a\) が \(p\) の倍数でない正の整数のとき

\(a^{p-1} ≡ 1\)    \(( mod p )\)

問3 の結果を,「フェルマーの小定理」といいます。

他の有名解法として「フェルマーの小定理の証明|高校数学 整数問題(素数)」をご覧ください!

フェルマーの小定理の証明|高校数学 整数問題(素数)
大学入試では、フェルマーの小定理を背景とする問題が出題されます。「a , p が互いに素なとき、a , 2a , 3a ,・・・, (p-1)a を p で割った余りはすべて異なる」を用いて、フェルマーの小定理の証明。

問4 \(a\) と \(2n+1\) は互いに素であることを示せ.

\(a\) と \(2n+1\) の最大公約数を \(g\) とし,

\(a=gx\) ,\(2n+1=gy\) ( \(x\),\(y\) は互いに素 ) とおく.

\(a=4n^2+4n+1=(2n+1)^2-2\) より

\(gx=(gy)^2-2\) \(\iff\) \(2=g(gy^2-x)\)

よって \(g=1\) または \(2\) となるが,

\(2n+1=gy\) より,\(g\) は奇数であるから,\(g=1\)

すなわち,\(a\) と \(2n+1\) の最大公約数が \(1\) となるので,

\(a\) と \(2n+1\) は互いに素である.

問5 \(p\) が \(S\) に属するある整数 \(a\) を割り切るならば,\(2^{\frac{p-1}{2}}-1\) は \(p\) で割り切れることを示せ.

以下, \(mod p\) として考える.

条件より \(a=4n^2+4n-1≡0\) ・・・①

問4 から \(a\) と \(2n+1\) は互いに素なので, \(2n+1\) は \(p\) で割り切れない.

よって問3 より,

\((2n+1)^{p-1}-1≡0\)

\(\left\{(2n+1)^2\right\}^{\frac{p-1}{2}}-1≡0\)

\(\left\{(4n^2+4n-1)+2\right\}^{\frac{p-1}{2}}-1≡0\)

①より

\(2^{\frac{p-1}{2}}-1≡0\)

したがって,\(2^{\frac{p-1}{2}}-1\) は \(p\) で割り切れる.

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