【2023東北大学・理系・第4問】
実数 \(a=\displaystyle\frac{\sqrt{5}-1}{2}\) に対して,整式 \(f(x)=x^2-ax+1\) を考える.
(1) 整式 \(x^4+x^3+x^2+x+1\) は \(f(x)\) で割り切れることを示せ.
(2) 方程式 \(f(x)=0\) の虚数解であって虚部が正のものを \(\alpha\) とする.\(\alpha\) を極形式で表せ.ただし,\(r^5=1\) を満たす実数 \(r\) が \(r=1\) のみであることは,認めて使用してよい.
(3) 設問(2)の虚数 \(\alpha\) に対して,\(\alpha^{2023}+\alpha^{-2023}\) の値を求めよ.
解答・解説
(1) \(x^4+x^3+x^2+x+1\) は \(f(x)\) で割り切れることを示せ.
\(a=\displaystyle\frac{\sqrt{5}-1}{2}\) より
\(a+\displaystyle\frac{1}{2}=\displaystyle\frac{\sqrt{5}}{2}\)
両辺を \(2\) 乗すると
\(\left(a+\displaystyle\frac{1}{2}\right)^2=\left(\displaystyle\frac{\sqrt{5}}{2}\right)^2\)
\(a^2+a-1=0\) ・・・①
\(x^4+x^3+x^2+x+1\) を \(x^2-ax+1\) で割ると
\(x^4+x^3+x^2+x+1\\=(x^2-ax+1)\left\{x^2+(a+1)x+a^2+a\right\}+(a^3+a^2-a)x-a^2-a+1\) より
余りは \((a^3+a^2-a)x-a^2-a+1\)
ここで①の結果を利用すると
\((a^3+a^2-a)x-a^2-a+1=a(a^2+a-1)x-(a^2+a-1)=0\)
となり,整式 \(x^4+x^3+x^2+x+1\) は \(f(x)\) で割り切れる.
(2) \(\alpha\) を極形式で表せ.
(1)の結果から
\(x^4+x^3+x^2+x+1=f(x)\left\{x^2+(a+1)x+a^2+a\right\}\)
この両辺に \(x-1\) をかけると
\((x-1)(x^4+x^3+x^2+x+1)=(x-1)f(x)\left\{x^2+(a+1)x+a^2+a\right\}\)
\(x^5-1=(x-1)f(x)\left\{x^2+(a+1)x+a^2+a\right\}\)
したがって,\(x^5-1=0\) の解のうち,\(1\) でないものは
\(f(x)\left\{x^2+(a+1)x+a^2+a\right\}=0\) の解となる.
\(x^5-1=0\) の解は,\(|x^5|=|x|^5=1\) より \(|x|=1\) なので
\(x=\cos\theta+i\sin \theta\) とおける.
ド・モアブルの定理から
\(x^5=\cos 5\theta+i\sin 5\theta\)
よって,\(x^5-1=0\)
\(\iff\) \(\cos 5\theta+i\sin 5\theta=1\)
\(\iff\) \(5\theta=2\pi k\) ( \(k\) は整数 )
\(\iff\) \(\theta=\displaystyle\frac{2\pi k}{5}\)
ゆえに \(f(x)\left\{x^2+(a+1)x+a^2+a\right\}=0\)
\(\iff\) \(x=\cos \displaystyle\frac{2\pi k}{5}+i\sin\displaystyle\frac{2\pi k}{5}\) ( \(k=1,2,3,4\) )
\(f(x)=0\) \(\iff\) \(x^2-ax+1=0\) の解は
実部が \(\displaystyle\frac{a}{2}=\displaystyle\frac{\sqrt{5}-1}{4}>0\)
となるので,\(x=\alpha,\alpha^4\)
このうち虚部が正であるものは \(\alpha\) より
\(\alpha=\cos\displaystyle\frac{2\pi}{5}+i\sin\displaystyle\frac{2\pi}{5}\)
(3) \(\alpha^{2023}+\alpha^{-2023}\) の値を求めよ.
\(\alpha^5=1\) より
\(\alpha^{2023}+\alpha^{-2023}=\left(\alpha^5\right)^{404}\cdot\alpha^3+\left(\alpha^5\right)^{-405}\cdot\alpha^2=\alpha^3+\alpha^2\)
(2)の図より,\(f(x)=0\) の解が \(\alpha,\alpha^4\) で
\(x^2+(a+1)x+1=0\) の解が \(\alpha^2,\alpha^3\) となるので,
解と係数の関係から
\(\alpha^3+\alpha^2=-(a+1)=-\displaystyle\frac{1+\sqrt{5}}{2}\)
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