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【数学Ⅱ】不等式の証明(まとめ)解法5つ

式と証明

正の実数 \(x , y , z\) において

\(x^3+y^3+z^3≧3xyz\) を示せ.

不等式の証明の解き方(まとめ)

【1】差をとる

【2】グラフの利用

【3】最小値をとらえる

【4】有名不等式の利用

【5】その他(凸関数の利用など)

【1】差をとって正(または負)になることを示す

(ア) 2 乗(平方完成)の形を作る

👉 \(a^2≧0\) を利用

(イ) 因数分解

👉 「正×正」や「負×負」の形を作る

※差をとっただけでは処理できないとき

両辺が正であれば、2 乗の差をとって考える

【2】グラフの利用

※不等式は、両辺のグラフの上下関係を表している.

グラフを描くことで視覚的にとらえる

【3】最小値をとらえる

ある範囲において \(f(x)≧0\)

☞ (ある範囲における \(f(x)\) の最小値) \(≧0\)

より詳しく確認したい場合は、

【一橋大学・過去問】不等式の成立条件(2次不等式)

を参考にご確認ください!

【4】有名不等式の利用

(ア) 相加平均・相乗平均の関係

(イ) コーシー・シュワルツの不等式

(ウ) 三角不等式  など

【5】その他(凸関数の利用など)

発展的な考え方です。

不等式の証明(凸関数の利用)

にまとめています。

【解法 Ⅰ 】差をとる

(左辺)-(右辺)

\(=x^3+y^3+z^3-3xyz\)

\(=(x+y+z)(x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx) \)

\(x , y , z\) は正の実数より

\(x+y+z>0\)

よって、\( x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx ≧ 0\) を示せばよい.

[解法 Ⅰ -①] 文字固定& 2 乗(平方完成)の形へ

\(x\) の関数として見る(\(y , z \) は固定して、定数扱いで考える)

\(x\) について降べきの順に並べると、

\(x^2-(y+z)x+y^2-yz+z^2\)

\(=(x-\displaystyle\frac{y+z}{2})^2-(\displaystyle\frac{y+z}{2})^2 +y^2-yz+z^2\)

\(=(x-\displaystyle\frac{y+z}{2})^2+\displaystyle\frac{3}{4}(y^2-2yz+z^2)\)

\(=(x-\displaystyle\frac{y+z}{2})^2+\displaystyle\frac{3}{4}(y-z)^2≧0\)

 

等号成立は、

\(x=\displaystyle\frac{y+z}{2}\) かつ \(y=z\)

つまり、\(x=y=z\) のとき

[解法 Ⅰ -②]相加平均・相乗平均の関係の利用

相加平均・相乗平均の関係

\(a≧0 , b≧0\) のとき

\(a+b≧2\sqrt{ab}\) が成立

等号成立は \(a=b\) のとき

相加平均・相乗平均の関係より

\(x^2+y^2≧\sqrt{x^2y^2}=2xy\)

\(y^2+z^2≧\sqrt{y^2z^2}=2yz\)

\(z^2+x^2≧\sqrt{z^2x^2}=2zx\)

各辺を加えて 2 で割ると

\( x^2+y^2+z^2 ≧ xy+yz+zx\)

\( x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx ≧ 0\)

等号成立は、

\(x=y\) かつ \(y=z\) かつ \(z=x\)

つまり、\(x=y=z\) のとき

 

[解法 Ⅰ -③]コーシー・シュワルツの不等式の利用

コーシー・シュワルツの不等式

・\((a^2+b^2)(x^2+y^2)≧(ax+by)^2\)

等号成立は、\(a : b = x : y\) のとき

・\((a^2+b^2+c^2)(x^2+y^2+z^2)≧(ax+by+cz)^2\)

等号成立は、\(a : b : c = x : y : z\) のとき

 

コーシー・シュワルツの不等式

\((a^2+b^2+c^2)(x^2+y^2+z^2)≧(ax+by+cz)^2\)

に \(a=y , b=z , c=x\) を代入すると

\((y^2+z^2+x^2)(x^2+y^2+z^2) ≧ (yx+zy+xz)^2\)

\((x^2+y^2+z^2)^2 ≧ (xy+yz+zx)^2\)

\(x , y , z\) は正の実数より

\(x^2+y^2+z^2 ≧ xy+yz+zx\)

等号成立は、\(y : z : x =x : y : z\)

よって \(x=y=z\) のとき

[解法 Ⅰ -④]有名な解法

この解法は知らないと思いつきません.

教科書にも載っているような超有名解法です.

 

\( x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx\)

\(=\displaystyle\frac{1}{2}(2x^2+2y^2+2z^2-2xy-2yz-2zx)\)

\(=\displaystyle\frac{1}{2}\left\{(x^2-2xy+y^2)+(y^2-2yz+z^2)+(z^2-2zx+x^2)\right\}\)

\(=\displaystyle\frac{1}{2}\left\{(x-y)^2+(y-z)^2+(z-x)^2\right\}≧0\)

\(x=y\) かつ \(y=z\) かつ \(z=x\)

つまり、\(x=y=z\) のとき

【解法Ⅱ】最小値をとらえる

ある範囲において \(f(x)≧0\)

☞ (ある範囲における \(f(x)\) の最小値) \(≧0\)

\(f(x)=x^3-3yzx+y^3+z^3\) とおく.

本問は、

「\(x>0\) において、\(f(x)≧0\) を示せ」

という問題と言い換えることができる.

 

\(f^{\prime}(x)=3x^2-3yz=3(x^2-yz)\)

\(f^{\prime}(x)=0\) を考えると

\(x=±\sqrt{yz}\)

\(x>0\) における増減表は以下の通りであり、

\(f(\sqrt{yz})\)

\(=\sqrt{yz})^3-3yz\sqrt{yz}+y^3+z^3\)

\(=y^3-2yz\sqrt{yz}+z^3\)

\(=(y\sqrt{y}- z\sqrt{z})^2≧0\)

 

したがって、\(x>0\) において \(f(x)≧0\)

 

等号成立は、\(x=\sqrt{yz}\) かつ \( y\sqrt{y}=z\sqrt{z}\)

つまり、\(x=y=z\) のとき

【参考】相加平均・相乗平均の関係(3つ)の証明

今、様々な不等式の証明の方法を用いて証明を与えてきた結果、

\(x^3+y^3+z^3≧3xyz\) が分かったが、この式において、

\(x= \sqrt[3]{a} , y= \sqrt[3]{b} , z= \sqrt[3]{c}\) とおくと

\(a+b+c≧3\sqrt[3]{abc}\)

( 3 つの相加平均・相乗平均の関係が証明できた)

等号成立は、\(x=y=z\) より

\(\sqrt[3]{a} = \sqrt[3]{b} = \sqrt[3]{c}\)

つまり\(a=b=c\) のとき

3つの相加・相乗平均の関係|実践問題【慶応義塾大学】
相加平均・相乗平均の関係は入試頻出テーマ。 ただ公式を覚えているだけでは使えません。しっかりと使うタイミングを練習するための良問。
【09大阪教育大学】数学Ⅱの頻出テーマ:不等式の証明・相加相乗平均を利用した発展・応用問題
x>0,x^8(y-x^2)≧4を満たすとき,x(x+y)≧4の不等式の証明。有名・頻出の相加平均・相乗平均の関係を利用する発展・応用問題。誘導の流れに乗って考える。 数学2。2次試験対策、過去問演習。

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