【2015 早稲田大学】
1 から 10 までの自然数からなる集合{ 1 , 2 , 3 , ・・・, 10 }の中から異なる 3 つの数を選ぶとする.このとき、選んだ数の和が 3で割り切れる確率を求めよ.
Point:剰余類
選んだ数の和が 3 の倍数であればよいので、
(ⅰ) 数の和が「3」のとき
これを満たすものは存在しないため、0 通り
(ⅱ) 数の和が「6」のとき
( 1 , 2 , 3 )の 1 通り
(ⅲ) 数の和が「9」のとき
・・・・・
これを繰り返していけば確かに答えは求まるが・・・
だけどすごく大変・・・
ジョウヨルイ??
何だそれは!?
具体的な問題を交えて考え方を解説
【例題】
1 から 10 までの自然数からなる集合{ 1 , 2 , 3 , ・・・, 10 }の中から異なる 3 つの数を選ぶとする.このとき、選んだ数の和が 2で割り切れる確率を求めよ.
※「3で割り切れる」を「2で割り切れる」に変更した.
この問題だったら・・・
もちろん上と同じように 1 つ 1 つ頑張って探す方法をとる人もいるだろう。
しかし、
「偶数」と「奇数」に注目して、
( 偶数 , 偶数 , 偶数 ) や ( 偶数 , 奇数 , 奇数 ) を考える人が出てくるだろう.
まさにこの考え方が今回のPointである「剰余類」の考え方である.
偶数や奇数とは?
・偶数・・・2 で割ったとき、余りが 0 となるグループ
・奇数・・・2 で割ったとき、余りが 1 となるグループ
つまり、2 で割ったときの余りによってグループ分けしている.
そして
( 偶数 , 偶数 , 偶数 ) のペアの時は余りに注目し、
偶数+偶数+偶数≡0+0+0 ≡ 0 (mod 2)
( 偶数 , 奇数 , 奇数 ) のペアの時は余りに注目し、
偶数+奇数+奇数≡0+1+1 ≡ 0 (mod 2)
と考えているわけだ.
2015早稲田 考え方・解答
改めて今回の問題を考えよう
【2015 早稲田大学】
1 から 10 までの自然数からなる集合{ 1 , 2 , 3 , ・・・, 10 }の中から異なる 3 つの数を選ぶとする.このとき、選んだ数の和が 3で割り切れる確率を求めよ.
本問においては、
3 で割ったときの余りが 0 , 1 , 2 でグループ分けを行うことで、偶奇のように単純に扱うことが出来る.
このように、何かで割った余りでグループ分けを行っていくことを、「剰余類」という.
【解答】
3で割って余りが 0 になる数を集合A
3で割って余りが 1 になる数を集合B
3で割って余りが 2 になる数を集合C
つまり、
A={3 , 6 , 9}、B={1 , 4 , 7 , 10}、C={2 , 5 , 8}
と 3 つのグループに分ける
このとき題意を満たすのは、
(ⅰ) Aのグループから3つ数を選ぶ
(ⅱ) Bのグループから3つ数を選ぶ
(ⅲ) Cのグループから3つ数を選ぶ
(ⅳ) A、B、Cのグループから1つずつ数を選ぶ
のときである
(ⅰ)のとき
\(_{3}\rm{C}_{3}=1\) 通り
(ⅱ)のとき
\(_{4}\rm{C}_{3}=4\) 通り
(ⅲ)のとき
\(_{3}\rm{C}_{3}=1\) 通り
(ⅳ)のとき
\(_{3}\rm{C}_{1}\times_{4}\rm{C}_{1}\times_{3}\rm{C}_{1}=36\) 通り
以上から、\(1+4+1+36=42\)
全事象は
\(_{10}\rm{C}_{3}=120\)
したがって、\(\displaystyle\frac{42}{120}=\displaystyle\frac{7}{20}\)
最後に
剰余類の考え方は、「場合の数・確率」や「整数」の分野で頻出です。
特に剰余類の中でも、2で割った余りでグループ分け(つまり偶数・奇数)と、3で割った余りでグループ分けを使う問題は物凄く多い。
その中でも3で割った余りでグループ分けをする問題は、大学入試において差がつく問題になります。
(逆に言うと、偶数・奇数で考える問題は、多くの受験生ができます。)
だからこそ、まずは3で割った余りでグループ分けをすることで問題が処理できるように経験値を積みましょう!
それぞれの分野で、絶対に押さえておきたい、差がつく問題というものが多く存在します。
それであるにも関わらず、なかなか学校の授業では扱われません。だからこそ、このサイトではそのような問題を中心に取り上げていきますので、志望校合格につながるように、お役立てください!
【参考】場合の数・確率
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