【2020奈良県立医科大学・医・第5問】
実数全体で定義された連続関数 \(f(x)\) が以下の \(2\) 条件をみたしているとする.
・条件( ⅰ ):任意の \(x\) に対して \(f(x)≧0\)
・条件( ⅱ ):任意の \(x\not=0\) と任意の \(\alpha>1\) に対して \(f(\alpha x)>\alpha f(x)\)
(1) 条件( ⅱ )を用いて,任意の \(\beta\) ( \(0<\beta<1\) ) に対して \(\beta f(1)>f(\beta)\) となることを示せ.
(2) \(f(0)\) の値を求めよ.
(3) \(x>y>0\) に対し \(f(x)>f(y)\) が成り立つことを示せ.
解答・解説
(1) \(\beta f(1)>f(\beta)\) となることの証明
\(\beta\) を \(0<\beta<1\) をみたす任意の実数とする.
このとき \(\alpha=\displaystyle\frac{1}{\beta}\) とすると \(\alpha>1\)
\(x\not=0\) のとき条件( ⅱ )より
\(f\left(\displaystyle\frac{x}{\beta}\right)>\displaystyle\frac{1}{\beta}f(x)\)
さらに,\(\beta\not=0\) より \(x=\beta\) とすると
\(f\left(\displaystyle\frac{\beta}{\beta}\right)>\displaystyle\frac{1}{\beta}f(\beta)\)
\(\iff\) \(\beta f(1)>f(\beta)\) ( ∵ \(\beta>0\) )
よって題意は示された.
(2) \(f(0)\) の値
\(f(x)\) は実数全体で定義された連続関数であるから,
\(f(0)=\displaystyle\lim_{\beta\rightarrow +0}f(\beta)\) となる.
(1)の結果と条件( ⅰ )より
\(0≦f(\beta)<\beta f(1)\)
よって,
\(0≦\displaystyle\lim_{\beta\rightarrow +0}f(\beta)<\displaystyle\lim_{\beta\rightarrow +0}\beta f(1)=0\)
はさみうちの原理から
\(f(0)=\displaystyle\lim_{\beta\rightarrow +0}f(\beta)=0\)
したがって,\(f(0)=0\)
(3) \(f(x)>f(y)\) となる証明
\(x>y>0\) より
\(\displaystyle\frac{x}{y}>1\) かつ \(y\not=0\)
よって条件( ⅱ )より
\(f(x)=f\left(\displaystyle\frac{x}{y}\cdot y\right)>\displaystyle\frac{x}{y}f(y)>f(y)\)
したがって,\(f(x)>f(y)\) が成り立つ.
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