【2023神戸大学・理系・第1問】
関数 \(f(x)\) を
\(f(x)=\begin{cases}\displaystyle\frac{1}{2}x+\displaystyle\frac{1}{2} (x≦1)\\2x-1 (x>1)\end{cases}\)
で定める.\(a\) を実数とし,数列 \(\left\{a_{n}\right\}\) を
\(a_{1}=a\),\(a_{n+1}=f(a_{n})\) (\(n=1,2,3,\cdots\))
で定める.以下の問に答えよ.
(1) すべての実数 \(x\) について \(f(x)≧x\) が成り立つことを示せ.
(2) \(a≦1\) のとき,すべての正の整数 \(n\) について \(a_{n}≦1\) が成り立つことを示せ.
(3) 数列 \(\left\{a_{n}\right\}\) の一般項を \(n\) と \(a\) を用いて表せ.
解答・解説
(1) すべての実数 \(x\) について \(f(x)≧x\) が成り立つことを示せ.
\(x≦1\) のとき
\(f(x)-x=\left(\displaystyle\frac{1}{2}x-\displaystyle\frac{1}{2}\right)-x=\displaystyle\frac{1}{2}(1-x)≧0\)
よって \(f(x)≧x\)
\(x>1\) のとき
\(f(x)-x=(2x-1)-x=x-1>0\)
よって \(f(x)>x\)
以上より,\(f(x)≧x\) が成り立つ.
(2) \(a≦1\) のとき,すべての正の整数 \(n\) について \(a_{n}≦1\) が成り立つことを示せ.
数学的帰納法(全段仮定)
(ⅰ) \(n = 1\) のとき
命題が成立することを示す
(ⅱ) \(n ≦ k\) のとき
命題が成立すると仮定し、\(n=k+1\) のとき命題が成立することを示す
数学的帰納法を利用して証明する.
( ⅰ ) \(n=1\) のとき
\(a_{1}=a≦1\) より成立.
( ⅱ ) \(n≦k\) のとき \(a_{k}≦1\) が成り立つと仮定すると
\(a_{k+1}=f(a_{k})=\displaystyle\frac{1}{2}a_{k}+\displaystyle\frac{1}{2}≦\displaystyle\frac{1}{2}\cdot 1+\displaystyle\frac{1}{2}=1\)
となり \(n=k+1\) のときも成立.
( ⅰ )( ⅱ )より,すべての正の整数 \(n\) について \(a_{n}≦1\) が成立.
(3) 数列 \(\left\{a_{n}\right\}\) の一般項を \(n\) と \(a\) を用いて表せ.
(1)の結果から,\(f(a_{n})≧a_{n}\)
つまり \(a_{n+1}≧a_{n}\) が成立するので,数列 \(\left\{a_{n}\right\}\) は単調増加な数列となる.
\(a_{1}=a>1\) のとき,すべての正の整数 \(n\) について \(a_{n}>1\) となるので
\(a>1\) のとき \(a_{n+1}=2a_{n}-1\) ・・・①
また(2)の結果から,\(a≦1\) のとき \(a_{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}a_{n}-\displaystyle\frac{1}{2}\) ・・・②
①より \(a_{n+1}-1=2(a_{n}-1)\)
よって \(a_{n}-1=(a-1)\cdot 2^{n-1}\)
\(\iff\) \(a_{n}=1+(a-1)\cdot 2^{n-1}\)
②より \(a_{n+1}-1=\displaystyle\frac{1}{2}(a_{n}-1)\)
よって \(a_{n}-1=(a-1)\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{n-1}\)
\(\iff\) \(a_{n}=1+(a-1)\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{n-1}\)
したがって,
\(a≦1\) のとき,\(a_{n}=1+(a-1)\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{n-1}\)
\(a>1\) のとき,\(a_{n}=1+(a-1)\cdot 2^{n-1}\)
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