【2023新潟大学・理系・第3問】
\(k\) を実数とする.全体集合を実数全体の集合とし,その部分集合 \(A\) ,\(B\) を次のように定める.
\(A=\left\{ x | x^3-x^2-(k^2+4k+4)x+k^2+4k+4=0\right\}\)
\(B=\left\{ x | x^3-(k^2+3k+3)x^2+k^2x-k^4-3k^3-3k^2=0\right\}\)
次の問いに答えよ.
(1) \(k=-1\) のとき,集合 \(A\) ,\(B\) ,\(A\cap B\) ,\(A\cup B\) を,\(\left\{a,b,c\right\}\) のように集合の要素を書き並べて表す方法により,それぞれ表せ.空集合になる場合は,空集合を表す記号で答えよ.
(2) 集合 \(B\) が集合 \(A\) の部分集合となるような \(k\) の値をすべて求めよ.そのような \(k\) の値が存在しない場合は,その理由を述べよ.
(3) 集合 \(A\cup B\) の要素の個数を求めよ.
解答・解説
(1) \(k=-1\) のとき,集合 \(A\) ,\(B\) ,\(A\cap B\) ,\(A\cup B\) を集合の要素を書き並べて表す方法により,それぞれ表せ.
\(k=-1\) のとき
\(A=\left\{ x | x^3-x^2-x+1=0\right\}=\left\{x|(x-1)^2(x+1)=0\right\}=\left\{-1,1\right\}\)
\(B=\left\{ x | x^3-x^2+x-1=0\right\}=\left\{x|(x-1)(x^2+1)=0\right\}=\left\{1\right\}\)
よって,\(A\cap B=\left\{1\right\}\) ,\(A\cup B=\left\{-1,1\right\}\)
(2) 集合 \(B\) が集合 \(A\) の部分集合となるような \(k\) の値をすべて求めよ.そのような \(k\) の値が存在しない場合は,その理由を述べよ.\(A=\left\{ x | x^3-x^2-(k^2+4k+4)x+k^2+4k+4=0\right\}\)
集合 \(A\) について
\(f(x)=x^3-x^2-(k^2+4k+4)x+k^2+4k+4\) とおくと,\(f(1)=0\) より
\(f(x)=(x-1)\left\{x-(k^2+4k+4)\right\}=(x-1)\left\{x^2-(k+2)^2\right\}\)
\(=(x-1)(x+k+2)(x-k-2)\) より
\(A=\left\{1,-k-2,k+2\right\}\)
集合 \(B\) について
\(g(x)=x^3-(k^2+3k+3)x^2+k^2x-k^4-3k^3-3k^2\) とおくと
\(g(x)=x^3-(k^2+3k+3)x^2+k^2x-k^2(k^2+3k+3)\)
\(=x(x^2+k^2)-(k^2+3k+3)(x^2+k^2)\)
\(=(x^2+k^2)(x-k^2-3k-3)\)
\(k\) は実数より \(k^2≧0\) なので,\(x^2+k^2=0\) をみたす実数解は \(k=0\)
このとき
\(A=\left\{-2,1,2\right\}\) ,\(B=\left\{0,3\right\}\) となり題意を満たさないため不適.
次に \(x=k^2+3k+3\) のとき
題意を満たすのは次のいずれかとなる.
( ⅰ ) \(k^2+3k+3=1\) のとき
\(k^2+3k+2=0\) \(\iff\) \((k+2)(k+1)=0\)
よって \(k=-2,-1\)
・\(k=-2\) のとき,\(A=\left\{0,1\right\}\) ,\(B=\left\{1\right\}\) となり適する.
・\(k=-1\) のとき,\(A=\left\{-1,1\right\}\) ,\(B=\left\{1\right\}\) となり適する.
( ⅱ ) \(k^2+3k+3=-k-2\) のとき
\(k^2+4k+5=0\) となるが,\((k+2)^2+1>0\) なので
\(k\) は実数解をもたない.
( ⅲ ) \(k^2+3k+3=k+2\) のとき
\((k+1)^2=0\) より \(k=-1\)
このとき,\(A=\left\{-1,1\right\}\) ,\(B=\left\{1\right\}\) となり適する.
したがって,求める \(k\) の値は \(k=-2,-1\)
(3) 集合 \(A\cup B\) の要素の個数を求めよ.
(2)より \(A=\left\{1,-k-2,k+2\right\}\) の要素の個数は
\(1=-k-2\) \(\iff\) \(k=-3\)
\(1=k+2\) \(\iff\) \(k=-1\)
\(-k-2=k+2\) \(\iff\) \(k=-2\)
つまり \(k=-3,-2,-1\) のとき \(2\) 個となり,それ以外のとき \(3\) 個となる.
また集合 \(B\) の要素の個数は,
\(k=0\) のとき \(2\) 個となり,\(k\not=0\) のとき \(1\) 個となる.
(2)の結果を配慮すると,求める集合の要素の個数は
・\(k=-2,-1\) のとき \(2\) 個
・\(k=-3\) のとき \(3\) 個
・\(k=0\) のとき \(5\) 個
・\(k\not=-3,-2,-1,0\) のとき \(4\) 個
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