【2006京都大学・第4問(理)】
2以上の自然数 \(n\) に対し、\(n\) と \(n^2+2\) がともに素数になるのは \(n=3\) の場合に限ることを示せ.
【2021奈良女子大学】
\(p^2-1=24q\) を満たす素数 \(p\) と素数 \(q\) の組 \(( p , q )\) をすべて求めよ.
はじめに(京都・奈良女子大学の整数問題から)
上の京都大学、奈良女子大学の整数問題(素数に関する問題)をみて、方針はたちますか?
様々な別解は考えられますが、ともに共通した考え方で処理できる問題です。
特に奈良女子大学の問題では、途中で「あれ??」となる人が多いのではないでしょうか?
整数問題の中でも「素数」に関する問題は多く、その中でも経験の差がモノを言う問題の1つです。
ここでは、しっかりと考え方・思考の仕方を学び、他の問題に活かせるようにしていきましょう!
そのために下の例題をまず最初に考えてみます。
【例題】4より大きい素数の平方を6で割った余りは?
👉おそらく答えは「1」になる?
- \(6m-2\)
- \(6m-1\)
- \(6m\)
- \(6m+1\)
- \(6m+2\)
- \(6m+3\)
【例題・解答】
2006 京都大学
2以上の自然数 \(n\) に対し、
\(n\) と \(n^2+2\) がともに素数になるのは \(n=3\) の場合に限ることを示せ.
(ⅰ)\(n=2\) のとき
\(n^2+2=6\) となり素数にならないため不適.
(ⅱ)\(n=3\) のとき
\(n^2+2=11\) となり題意を満たす.
(ⅲ)\(n\) が4以上の素数のとき
\(n\) は2の倍数でも3の倍数でもないため、自然数 \(m\) を用いて、\(n=6m±1\) とおける.
\(n^2+2=(6m±1)^2+2=3(12m^2±4m+1)\)
2021奈良女子大学
考え方・思考の仕方・解答
整数問題のPoint
- 積の形に変形
- 条件から範囲を絞る
- 倍数や余りに注目
「素数」は積の形に弱い!
例:仮に素数 \(p\) に対して、\(p=ab\) の形に式変形をすることが出来れば、
\(a=1\) または \(b=1\) である必要がある.※逆の確認が必要!
上のPointから、多くの受験生が、積の形に変形することは思いつくでしょう!
\(p^2-1=24q\) より
\((p-1)(p+1)=2^3\times 3q\)
かけて \(2^3\times 3q\) になる組み合わせがたくさん・・・
\(p= 2 , 3\) のとき、\(p^2-1=24q\) を満たす素数 \(q\) は存在しない.
\(p\) が4以上の素数のとき、2でも3でも割り切れないので、
自然数 \(m\) を用いて \(p=6m±1\) とおける.
(ⅰ)\(p=6m+1\) のとき
\(p^2-1=24q\) に代入して式をまとめると、
\(m(3m+1)=2q\)
上と同じ積の形だけど、組み合わせがさっきよりはるかに少ないね!
\(m<3m+1 , 3m+1≧4\) より
\(( m , 3m+1 )=( 1 , 2q ) , ( 2 , q )\)
よって
\(( m , p , q )=( 1 , 7 , 2 ) , ( 2 , 13 , 7 )\)
(これはともに条件を満たす)
(ⅱ)\(p=6m-1\) のとき
\(p^2-1=24q\) に代入して式をまとめると、
\(m(3m-1)=2q\)
\( 3m-1≧2\) より
\(( m , 3m-1 )=( 1 , 2q ) , ( 2 , q ) , ( q , 2 )\)
よって
\(( m , p , q )=( 1 , 5 , 1 ) , ( 2 , 11 , 5 ) , ( 1 , 5 , 1 )\)
\(q\) は素数であるから、
\(( m , p , q )=( 2 , 11 , 5 )\)
したがって
\(( p , q )=( 7 , 2 ) , ( 11 , 5 ) , ( 13 , 7 )\)
最後に
整数問題において、「素数」は頻出テーマです。
もちろん全ての問題がこれで解決というわけではありませんが、1つの引き出しとして今回の考え方を持っておきましょう!
同じ問題は出題されませんが、同じ形式の問題はよく出題されます。
整数問題が苦手な人は、ただがむしゃらに問題を解くのではなく、良問で考え方をしっかりと理解し、力をつけていくようにしましょう!
他にも整数問題の考え方・思考の仕方を紹介しています。よかったら読んでください。
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