【2005京都大学・第4問文理共通】
\(a^3-b^3=65\) を満たす整数の組 \(( a , b )\) をすべて求めよ.
整数問題のPoint
まず整数問題すべてに共通して言えるPointは
- 積の形に変形
- 条件から範囲を絞る
- 倍数や余りに注目
整数問題の多くが、上の1から3のいずれかで処理できます。
この3つのPointは絶対に頭の中に叩き込んでください!
考え方・思考の仕方・解答
《Step1》積の形に変形
整数問題のPointの1つ目である、「積の形に変形」を考えると
\(a^3-b^3 = (a-b)(a^2+ab+b^2)=65=5\times13\) より
\(( a-b , a^2+ab+b^2 ) = ( ±1 , ±65 ) , ( ±5 , ±13 ) , ( ±13 , ±5 ) , ( ±65 , ±1 )\)
の8組の可能性がある
《Step2》範囲の絞り込み
上の8組全てを計算しても良いが、さすがに大変・・・.
そこで整数問題のPointの2つ目の「条件から範囲を絞る」を考えてみましょう。
絞り方① 正 or 負
まずはざっくりと、「正」か「負」かを考えてみる。.
\(a^2+ab+b^2 = (a+\displaystyle\frac{b}{2})^2+\displaystyle\frac{3}{4}b^2 \text{≧} 0\)
条件から\(( a , b ) ≠ ( 0 , 0 )\) より
\(a^2+ab+b^2 > 0\) ・・・①
①より、
\(( a-b , a^2+ab+b^2 ) = ( 1 , 65 ) , ( 5 , 13 ) , ( 13 , 5 ) , ( 65 , 1 )\) の4組に絞れた!
絞り方② 大小関係
\(a-b\) と \(a^2+ab+b^2\) の差がどれだけあるかについて考える。
\((a^2+ab+b^2)-(a-b) = a^2+(b-1)a+b^2+b\)
平方完成すると
\((a+\displaystyle\frac{b-1}{2})^2+\displaystyle\frac{3(b+1)^2}{4}-1 ≧ -1\)
よって差が−1以上となる組み合わせを考えれば良いので、
\(( a-b , a^2+ab+b^2 ) = ( 1 , 65 ) , ( 5 , 13 )\) の2組に絞れた!
《Step3》倍数に注目!
《Step2》で2組まで絞れたため、それぞれにおいて場合分けを行いましょう.
(ⅰ)\(( a-b , a^2+ab+b^2 ) = ( 1 , 65 )\) のとき
\(a=b+1\) を \(a^2+ab+b^2=65\) に代入して式を整理すると、
\(3b^2+3b=64\)
解の公式を用いて、 \(b\) が整数にならないことを確認しても良いが ・・・
整数問題のPointの3つ目でもある、「倍数や余りに注目」を考える癖があると、この式をみた瞬間に不適であると判断できる!
そしてこの発想は様々な場面で利用するため、このような発想を持っていなかった人はぜひ身につけてください!
(左辺)\(= 3b(b+1)\) となり3の倍数であるが、(左辺)は3の倍数でないため、(ⅰ)を満たす整数解は存在しない.
(ⅱ)\(( a-b , a^2+ab+b^2 ) = ( 5 , 13 )\)
\(a=b+5\) を \(a^2+ab+b^2=13\) に代入して式を整理すると、
\(b^2+5b+4=0\)
\((b+1)(b+4)=0\)
\(b = -1 , -4\)
以上から、\(( a , b )=( 1 , -4 ) , ( 4 , -1 )\)
最後に
いかがだったでしょうか?
同じ問題は出題されませんが、同じ形式の問題はよく出題されます。
整数問題の基本となる考え方を、本問を用いて考え方を中心に解説しました。
練習では、ただ解けるだけの勉強ではなく、どのように考えていくのかを大切に勉強しましょう!
他にも整数問題や、授業では扱わないが重要・頻出テーマを扱っています。
もしよかったら他の記事も読んで受験勉強にお役立てください。
コメント
はじめまして。
①qiitaでリンクしました。ありがとうございました。
https://qiita.com/mrrclb48z/items/ea652acebc37911ee406
②コメントでwolframalphaのリンクしていいでしょうか?
https://www.wolframalpha.com/input?i=x3-y3%3D65&lang=ja
よろしくお願いします。
はじめまして。マスマス学ぶをご覧いただきありがとうございます。
ご利用いただいて大丈夫です。少しでも誰かのお役に立てれば幸いです。