【2021数学ⅠA(第2日程)】第4問(整数の性質)
(1)問題と解答・解説《ア〜オ》
(1)解答・解説《ア〜オ》
\(m\) は正の整数,\(a\),\(b\),\(c\),\(d\) は整数.
\(a^2+b^2+c^2+d^2=m\) ,\(a≧b≧c≧d≧0\) ・・・①
①より,\(a^2≦a^2+b^2+c^2+d^2≦a^2+a^2+a^2+a^2\)
よって,\(a^2≦m≦4a^2\) ・・・②
\(m=14\) のとき,②より
\(a^2≦14≦4a^2\) \(\iff\) \(\displaystyle\frac{7}{2}≦a^2≦14\)
これをみたす \(0\) 以上の整数 \(a\) は,\(a=2,3\)
・\(a=2\) のとき
①より,\(2^2+b^2+c^2+d^2=14\)
\(b^2+c^2+d^2=10\) ・・・③
③と \(2≧b≧c≧d≧0\) より
\(b^2≦b^2+c^2+d^2≦b^2+b^2+b^2=3b^2\)
③より,\(b^2≦10≦3b^2\) \(\iff\) \(\displaystyle\frac{10}{3}≦b^2≦10\)
これをみたす \(0≦b≦2(=a)\) の整数 \(b\) は,\(b=2\) のみ
このとき③より,
\(2^2+c^2+d^2=10\)
\(c^2+d^2=6\)
しかしこれを満たす整数 \(c\) , \(d\) は存在しない.
よって,\(a=2\) は不適
・\(a=3\) のとき
①より,\(3^2+b^2+c^2+d^2=14\)
\(b^2+c^2+d^2=5\) ・・・④
④と \(3≧b≧c≧d≧0\) より
\(b^2≦b^2+c^2+d^2≦b^2+b^2+b^2=3b^2\)
④より,\(b^2≦5≦3b^2\) \(\iff\) \(\displaystyle\frac{5}{3}≦b^2≦5\)
これをみたす \(0≦b≦3(=a)\) の整数 \(b\) は,\(b=2\) のみ
このとき④より,
\(2^2+c^2+d^2=5\)
\(c^2+d^2=1\)
これを満たす \(2≧c≧d≧0\) の整数は,
\(c=1\) ,\(d=0\)
よって,\((a,b,c,d)=(3,2,1,0)\) ・・・《ア〜エ》
また,\(m=28\) のとき②より
\(a^2≦28≦4a^2\) \(\iff\) \(7≦a^2≦28\)
これをみたす \(0\) 以上の整数 \(a\) は,\(a=3,4,5\)
・\(a=3\) のとき
①より,\(3^2+b^2+c^2+d^2=28\)
\(b^2+c^2+d^2=19\) ・・・⑤
⑤と \(3≧b≧c≧d≧0\) より
\(b^2≦b^2+c^2+d^2≦b^2+b^2+b^2=3b^2\)
⑤より,\(b^2≦19≦3b^2\) \(\iff\) \(\displaystyle\frac{19}{3}≦b^2≦19\)
これをみたす \(0≦b≦3(=a)\) の整数 \(b\) は,\(b=3\) のみ
このとき⑤より,
\(3^2+c^2+d^2=19\)
\(c^2+d^2=10\)
これを満たす \(3≧c≧d≧0\) の整数は,
\(c=3\) ,\(d=1\)
よって,\((a,b,c,d)=(3,3,3,1)\)
・\(a=4\) のとき
①より,\(4^2+b^2+c^2+d^2=28\)
\(b^2+c^2+d^2=12\) ・・・⑥
⑥と \(4≧b≧c≧d≧0\) より
\(b^2≦b^2+c^2+d^2≦b^2+b^2+b^2=3b^2\)
⑥より,\(b^2≦12≦3b^2\) \(\iff\) \(4≦b^2≦12\)
これをみたす \(0≦b≦4(=a)\) の整数 \(b\) は,\(b=2,3\)
\(b=2\) のとき,⑥より
\(2^2+c^2+d^2=12\)
\(c^2+d^2=8\)
これを満たす \(2≧c≧d≧0\) の整数は,
\(c=d=2\)
よって,\((a,b,c,d)=(4,2,2,2)\)
\(b=3\) のとき,⑥より
\(3^2+c^2+d^2=12\)
\(c^2+d^2=3\)
これを満たす整数 \(c\),\(d\) は存在しない.
・\(a=5\) のとき
①より,\(5^2+b^2+c^2+d^2=28\)
\(b^2+c^2+d^2=3\)
これを満たす整数は,\(b=c=d=1\) のみ
よって,\((a,b,c,d)=(5,1,1,1)\)
したがって,①を満たす整数 \(a\),\(b\),\(c\),\(d\) の組の個数は,\(3\) 個・・・《オ》
(2)問題と解答・解説《カ》
(2)解答・解説《カ》
\(a\) が奇数のとき,整数 \(n\) を用いて \(a=2n+1\) と表す.
\(a^2-1=(a+1)(a-1)=4n(n+1)\)
\(n(n+1)\) は偶数であるから,整数 \(l\) を用いて
\(n(n+1)=2l\) とおける.
よって,\(a^2-1=4\cdot 2l=8l\)
これより,\(a^2-1\) は \(8\) の倍数である.
したがって,\(h=8\) ・・・《カ》
よって \(a\) が奇数のとき,
\(a^2-1=8l\) \(\iff\) \(a^2=8l+1\) より
\(a^2\) を \(8\) で割ったときの余りは \(1\) である.
また,\(a\) が偶数のとき,\(a=2n\) ( \(n\) は整数 ) とおくと \(a^2=4n^2\)
\(k\) を整数として
\(n\) が偶数のとき \(n=2k\) とすると,\(a^2=8k^2\)
\(n\) が奇数のとき \(n=2k+1\) とすると,\(a^2=4(2k+1)^2=8(2k^2+2k)+4\) より
\(a^2\) を \(8\) で割った余りは \(0\) または \(4\)
(3)問題と解答・解説《キ》
(3)解答・解説《キ》
(2)より \(a^2+b^2+c^2+d^2\) を \(8\) で割った余りは
偶数 | 奇数 | \(a^2+b^2+c^2+d^2\) を \(8\) で割った余り |
\(4\) 個 | \(0\) 個 | \(0\) または \(4\) |
\(3\) 個 | \(1\) 個 | \(1\) または \(5\) |
\(2\) 個 | \(2\) 個 | \(2\) または \(6\) |
\(1\) 個 | \(3\) 個 | \(3\) または \(7\) |
\(0\) 個 | \(4\) 個 | \(4\) |
\(a^2+b^2+c^2+d^2\) が \(8\) の倍数ならば,整数 \(a\),\(b\),\(c\),\(d\) のうち偶数であるものの個数は,\(4\) 個・・・《キ》
(4)問題と解答・解説《ク〜シ》
(4)解答・解説《ク〜シ》
\(m=224\) のとき①より
\(a^2+b^2+c^2+d^2=224=8\times 28\) ・・・⑦
\(a^2+b^2+c^2+d^2\) は \(8\) の倍数であるから (3) より
\(a\),\(b\),\(c\),\(d\) はすべて偶数となる.
よって整数 \(x\),\(y\),\(z\),\(w\) ( \(x≧y≧z≧w≧0\) ) を用いて
\(a=2x\),\(b=2y\),\(c=2z\),\(d=2w\) とおける.
⑦に代入すると,
\(\left(2x\right)^2+\left(2y\right)^2+\left(2z\right)^2+\left(2w\right)^2=8\times 28\)
\(x^2+y^2+z^2+w^2=8\times 7\) ・・・⑧
\(x^2+y^2+z^2+w^2\) は \(8\) の倍数であるから (3) より
\(x\),\(y\),\(z\),\(w\) はすべて偶数となる.
よって整数 \(x^{\prime}\),\(y^{\prime}\),\(z^{\prime}\),\(w^{\prime}\) ( \(x^{\prime}≧y^{\prime}≧z^{\prime}≧w^{\prime}≧0\) ) を用いて
\(x=2x^{\prime}\),\(y=2y^{\prime}\),\(z=2z^{\prime}\),\(w=2w^{\prime}\) とおける.
⑧に代入すると,
\(\left(2x^{\prime}\right)^2+\left(2y^{\prime}\right)^2+\left(2z^{\prime}\right)^2+\left(2w^{\prime}\right)^2=8\times 28\)
\((x^{\prime})^2+(y^{\prime})^2+(z^{\prime})^2+(w^{\prime})^2=14\)
(1)の結果から,これを満たす整数 \(x^{\prime}\),\(y^{\prime}\),\(z^{\prime}\),\(w^{\prime}\) は
\((x^{\prime},y^{\prime},z^{\prime},w^{\prime})=(3,2,1,0)\)
これより,\((x,y,z,w)=(6,4,2,0)\)
したがって,\((a,b,c,d)=(12,8,4,0)\) ・・・《ク〜シ》
(5)問題と解答・解説《ス〜タ》
(5)解答・解説《ス〜タ》
\(896=7\times 2^7\) より
\(7\) の倍数で,\(896\) の約数で正の整数 \(m\) は
\(m=7,7\times 2,7\times 2^3,\cdots,7\times 2^7\) のいずれか.
(あ) \(m=7\) のとき
\(a^2+b^2+c^2+d^2=7\) ,\(a≧b≧c≧d≧0\)
を満たす整数 \(a\),\(b\),\(c\),\(d\) の組は
\((a,b,c,d)=(2,1,1,1)\) の \(1\) 組
(い) \(m=7\times 2=14\) のとき
(1)の結果から,整数 \(a\),\(b\),\(c\),\(d\) の組は \(1\) 組
(う) \(m=7\times 2^2=28\) のとき
(1)の結果から,整数 \(a\),\(b\),\(c\),\(d\) の組は \(3\) 組
(え) \(m=7\times 2^3\) のとき
\(a^2+b^2+c^2+d^2=7\times 2^3\) ,\(a≧b≧c≧d≧0\)
\(a^2+b^2+c^2+d^2\) は \(8\) の倍数であるから,(4)と同様に考え
\(x^2+y^2+z^2+w^2=7\times 2\) ,\(x≧y≧z≧w≧0\)
これを満たす整数 \(x\),\(y\),\(z\),\(w\) の組は(1)より \(1\) 組
よって,整数 \(a\),\(b\),\(c\),\(d\) の組は の \(1\) 組
(お) \(m=7\times 2^4\) のとき
(え)と同様に考え
\(x^2+y^2+z^2+w^2=7\times 2^2=28\) ,\(x≧y≧z≧w≧0\)
(1)よりこれを満たす整数 \(x\),\(y\),\(z\),\(w\) の組は \(3\) 組
よって,整数 \(a\),\(b\),\(c\),\(d\) の組は の \(3\) 組
(か) \(m=7\times 2^5=224\) のとき
(4)の結果から,これを満たす整数 \(a\),\(b\),\(c\),\(d\) の組は の \(1\) 組
(き) \(m=7\times 2^6\) のとき
(4)と同様に考え
\((x^{\prime})^2+(y^{\prime})^2+(z^{\prime})^2+(w^{\prime})^2=7\times 2^2=28\)
(1)より,これを満たす整数 \(x^{\prime}\),\(y^{\prime}\),\(z^{\prime}\),\(w^{\prime}\) は \(3\) 組
よって整数 \(a\),\(b\),\(c\),\(d\) の組は \(3\) 組
(く) \(m=7\times 2^7\) のとき
(4)と同様に考え
\((x^{\prime})^2+(y^{\prime})^2+(z^{\prime})^2+(w^{\prime})^2=7\times 2^3\)
(え)の結果から,これを満たす整数 \(x^{\prime}\),\(y^{\prime}\),\(z^{\prime}\),\(w^{\prime}\) は \(1\) 組
よって整数 \(a\),\(b\),\(c\),\(d\) の組は \(1\) 組
したがって,条件を満たすものは \(3\) 個・・・《ス》
そのうち最大のものは \(m=7\times 2^6=\)\(448\) ・・・《セ〜タ》
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