【問題】
(1) 方程式 \(xy-x-y-1=0\) を満たす自然数の組 \(( x , y )\) をすべて求めよ.
(2) \(x , y , z\) は異なる自然数とする.
\(\displaystyle\frac{1}{x}+\displaystyle\frac{1}{y}+\displaystyle\frac{1}{z}=1\) を満たすとき,\(x+y+z\) を求めよ.
(3) 次の方程式の整数解をすべて求めよ.
① \(x^2-6xy+5y^2-6x+10y+16=0\)
② \(3x^2-2xy+2y^2-4x+5y+2=0\)
(4) \(x\) の2次方程式 \(x^2-kx+k+1=0\) が整数解をもつように、整数 \(k\) の値を求めよ.
整数問題のPoint
まず整数問題すべてに共通して言えるPointは
- 積の形に変形
- 条件から範囲を絞る
- 倍数や余りに注目
整数問題の多くが、上の1から3のいずれかで処理できます。
この3つのPointは絶対に頭の中に叩き込んでください!
(1) 方程式 \(xy-x-y-1=0\) を満たす自然数の組 \(( x , y )\) をすべて求めよ.
(考え方)+(解答)
Pointの1つ目である「積の形に変形したい!」
\(xy-x-y-1=(x-1)(y-1)-2\) より
\((x-1)(y-1)=2\) より
\(x-1\) と \(y-1\) をかけて「2」になればよいので、
「1と2」、「2と1」、「-1と―2」、「-2と-1」の4組をそれぞれ調べればよい!
もちろんそれでもOKだけど、
Pointの2つ目の絞り込みを考えてみよう!
\( x , y \) は自然数であるから
\( x≧1 \)、\( y≧1 \) より、
\( x-1≧0 \)、\( y-1≧0 \)
\(x-1\) と \(y-1\) をかけて「2」になればよいので、
「1と2」、「2と1」の2組だけ調べればよい!
※今回はせいぜい4組だからよいが、もっとたくさんあるときはとても有効.
範囲の絞り込みは考える癖を!
したがって
\(( x-1 , y-1 ) = ( 2 , 1 ) , ( 1 , 2 )\)
よって、\(( x , y ) = ( 3 , 2 ) , ( 2 , 3 )\)
(2) \(x , y , z\) は異なる自然数とする.\(\displaystyle\frac{1}{x}+\displaystyle\frac{1}{y}+\displaystyle\frac{1}{z}=1\) を満たすとき,\(x+y+z\) を求めよ.
(※対称式・・・文字を入れ替えても同じ式)
(考え方)+(解答)
(2) \(x>y>z≧1\) とおく.
Pointの2つ目の絞り込みを考えてみよう!
\(0 < \displaystyle\frac{1}{x} < \displaystyle\frac{1}{y} < \displaystyle\frac{1}{z}\) なので
\(\displaystyle\frac{3}{x} < \displaystyle\frac{1}{x}+\displaystyle\frac{1}{y}+\displaystyle\frac{1}{z} < \displaystyle\frac{3}{z}\)
つまり
\(\displaystyle\frac{3}{x} < 1 < \displaystyle\frac{3}{z}\)
よって、\(1 < \displaystyle\frac{3}{z}\) から \(z < 3\)
\(z\) は自然数より \(z=1 , 2 \)
(ⅰ) \(z=1\) のとき
与式は、\(\displaystyle\frac{1}{x}+\displaystyle\frac{1}{y}+1=1\)
つまり、\(\displaystyle\frac{1}{x}+\displaystyle\frac{1}{y}=0\) となり、この式を満たす自然数 \(x , y\) は存在しない.
(ⅱ) \(z=2 \) のとき
与式より、\(\displaystyle\frac{1}{x}+\displaystyle\frac{1}{y}=\displaystyle\frac{1}{2}\)
両辺を \(2xy\) 倍して、
\(xy-2x-2y=0\)
(1)と同じ問題になったね!
\((x-2)(y-2)=4\)
\(x>y>z=2\) より、
\(x-2>y-2>0\)
よって \(( x-2 , y-2 )=( 4 , 1 )\)
つまり、\(( x , y )=( 6 , 3 )\)
このとき、
\(x+y+z = 6+3+2 = 11\)
(3) 次の①、②の方程式の整数解をすべて求めよ.
(3)次の方程式の整数解をすべて求めよ.
① \(x^2-6xy+5y^2-6x+10y+16=0\)
② \(3x^2-2xy+2y^2-4x+5y+2=0\)
①の考え方について
①と②は見た感じだと、ほぼ同じ問題で同じ解法??
確かに問題の形は似ているけど、
①はPointの1つ目の積の形へ
②はPointの2つ目の範囲の絞り込み
で考えていく問題だよ!
何が違うの?そしてどうやって見分けたの?
私は最初の3つの項に注目!
①の最初の3項は \(x^2-6xy+5y^2=(x-y)(x-5y)\) と
因数分解できるのにたいし、②は無理!
なるほど!
とりあえず①は(1)と同じように解けると言うことだけど、
どうやって因数分解を・・・?
\(x^2-6xy+5y^2-6x+10y+a=(x-y+b)(x-5y+c)\)
とおいて、恒等式を考えよう.
右辺は理解できたけど、左辺の \(a\) はなぜ?
問題文の「16」で因数分解できる保証はないので、とりあえず文字で置いただけだよ!
なるほど!あとは右辺を展開して係数比較を行えば・・・
\(a=5 , b=-1 , c=-5\) となったよ!
【①の解答】
\(x^2-6xy+5y^2-6x+10y+5=(x-y-1)(x-5y-5) \) より、
\(x^2-6xy+5y^2-6x+10y+16=(x-y-1)(x-5y-5)+11\) なので、
\((x-y-1)(x-5y-5)=-11\)
\(( x-y-1 , x-5y-5 ) = ( 1 , -11 ) , ( 11 , -1 ) , ( -1 , 11 ) , ( -11 , 1 )\) の4組より、それぞれを解くと
\(( x , y ) = ( 4 , 2 ) , ( 14 , 2 ) , ( -4 , -4 ) , ( -14 , -4 )\)
②の考え方について
整数解をもつ ⇒ 実数解をもつ
※逆は成立しないため、確認作業が必要!
与式を \(x\) について降べきの順に並べると、
\(3x^2-2(y+2)x+2y^2+5y+2=0\) ・・・(ア)
整数解があると言うことは、実数解があると言うこと.
つまり、(ア)は \(x\) の2次方程式と考えることが出来るので、「(判別式)≧0」を使って範囲を絞る!
【②の解答】
与式を \(x\) について降べきの順に並べると、
\(3x^2-2(y+2)x+2y^2+5y+2=0\) ・・・(ア)
(ア)の判別式をDとすると
\(\displaystyle\frac{D}{4} = (y+2)^2-3(2y^2+5y+2)≧0\)
\(-5y^2-11y-2≧0\)
\(5y^2+11y+2≦0\)
\((5y+1)(y+2)≦0\)
\(-2≦y≦\displaystyle\frac{-1}{5}\)
\(y\) は整数より、\(y=-2 , -1\)
(ⅰ) \(y=-2\) のとき
(ア)より \(3x^2=0\)
よって \(x=0\)
\(( x , y ) = ( 0 , -2 ) \)
(ⅱ) \(y=-1\) のとき
(ア)より \(3x^2-2x-1=0\)
\((3x+1)(x-1)=0\)
\(x\) は整数より \(x=1\)
\(( x , y ) = ( 1 , -1 ) \)
(4) \(x\) の2次方程式 \(x^2-kx+k+1=0\) が整数解をもつように、整数 \(k\) の値を求めよ.
(考え方)+(解答)
因数分解できないけど、(3)の②と同じように判別式を考えればいけるぞ!!
(判別式) \(=k^2-4\cdot(k+1)=k^2-4k-4≧0\)
解の公式を利用して \(k ≦ 2-2\sqrt{2} , 2+2\sqrt{2} ≦ k\)
あれ?範囲が絞られていない・・・??
考え方は悪くないよ!
問題によってはこれで範囲が絞られて最後まで解けるから!
ただ今回は絞れなかっただけ
解と係数の関係
\(ax^2+bx+c=0\) の2解が \(x = \alpha , \beta \) のとき、
\(\alpha + \beta = -\displaystyle\frac{b}{a}\)
\(\alpha \beta = \displaystyle\frac{c}{a}\)
整数解を \(x = \alpha , \beta \) \(( \alpha ≦ \beta )\)とおく.
解と係数の関係から、
\(\alpha + \beta = k\)
\(\alpha \beta = k+1\)
\( k\) を消去して
\(\alpha \beta = \alpha + \beta + 1\)
あっ!?これは(1)の問題と同じだ!!
\(( \alpha – 1 )( \beta – 1 ) = 2\)
\(\alpha – 1 ≦ \beta – 1\) より
\(( \alpha – 1 , \beta – 1 )=( -2 , -1 ) , ( 1 , 2 ) \)
\(( \alpha, \beta )=( -1 , 0 ) , ( 2 , 3 ) \)
したがって、\(k = \alpha + \beta \) より、\(k = -1 , 5\)
最後に
いかがだったでしょうか?
方程式の整数解(1次不定方程式を除く)だけでも、これだけ様々なタイプがあります。
1次不定方程式については【整数問題】1次不定方程式 \(ax+by=c\)(共通テスト・センター試験過去問)を参考に。
見た目だけでは判断しづらい問題もありますし、解と係数の関係など、発想としてなかなか出てこない問題もありますので、ここでしっかり経験値を積み、入試で応用できるように自分の力にしていってください!
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