【2010神戸大学・文(一部)】
空間内に \(4\) 点 \(O\) , \(A\) , \(B\) , \(C\) があり,
\(OA=3\) , \(OB=OC=4\) , \(\angle BOC=\angle COA=\angle AOB=\displaystyle\frac{\pi}{3}\)
であるとする.\(3\) 点 \(A\) , \(B\) , \(C\) を通る平面に垂線 \(OH\) をおろす.
\(\overrightarrow{a}=\overrightarrow{OA}\) , \(\overrightarrow{b}=\overrightarrow{OB}\) , \(\overrightarrow{c}=\overrightarrow{OC}\) とし,
\(\overrightarrow{OH}=r\overrightarrow{a}+s\overrightarrow{b}+t\overrightarrow{c}\)
と表すとき, \(r\) , \(s\) , \(t\) を求めよ.
考え方・ポイント
Point:対称性の利用
まず初めに,問題の条件(図)を見て意識してほしいことが,図形の『対称性』についてである.
\(OB=OC=4\) , \(\angle AOB=\angle AOC=\displaystyle\frac{\pi}{3}\) , \(OA\) は共通であるから,
\(\triangle OAB≡\triangle OAC\) である.
このことから,線分 \(BC\) の中点を \(M\) としたとき,
四面体 \(OABC\) は,平面 \(OAM\) に関して対称な立体であることがわかる.
対象性から,\(s=t\) であることが分かり,文字数を\(1\) つ減らすことができた!
どうしてこんなこととに気がつけるの??
ただの偶然??
気がつけるかどうかではなく,疑ってかかるように意識しましょう!
作問者としては,適当な数字で問題を作っているわけではありません!意図的な値に設定していることが多く,対称性のある図形の問題は多くは出題されています!
文字数を\(1\) 文字でも減らせると後々の計算が楽になるから,最初に考える習慣を身につけます!
共面条件
共面条件とは,異なる \(4\) 点が同一平面上に並ぶときの条件
(※ \(4\) 点が同一直線状であるときは除く)
\(4\) 点 \(A\),\(B\),\(C\), \(P\) が同一平面上にあるとき
① \(A\) を始点として考える( \(k\),\(l\) は実数 )
\(\overrightarrow{AP}=k\overrightarrow{AB}+l\overrightarrow{AC}\)
② \(O\) を始点として考える( \(s\),\(t\),\(u\) は実数 )
\(\overrightarrow{OP}=s\overrightarrow{OA}+t\overrightarrow{OB}+u\overrightarrow{OC}\) かつ \(s+t+u=1\)
垂直条件
平面 \(\alpha\) 上の異なる \(2\) つのベクトル \(\overrightarrow{x}\) , \(\overrightarrow{y}\) ( ただし,\(\overrightarrow{x}\) , \(\overrightarrow{y}\) は零ベクトルでなく,互いに平行ではない ) に対して,
平面 \(\alpha\) \(\perp \overrightarrow{n}\)
\(\iff\) \(\overrightarrow{x} \perp \overrightarrow{n}\) かつ \(\overrightarrow{y} \perp \overrightarrow{n}\)
\(\iff\) \(\overrightarrow{x}\cdot\overrightarrow{n}=0\) かつ \(\overrightarrow{y}\cdot\overrightarrow{n}=0\)
共面条件,垂直条件を用いた頻出な有名問題の演習は「【頻出】四面体の体積|空間ベクトル(共面条件・垂直条件)」
解答
\(\overrightarrow{a}\cdot\overrightarrow{b}=3\cdot 4\cdot \cos \displaystyle\frac{\pi}{3}=6\) ,
\(\overrightarrow{b}\cdot\overrightarrow{c}=4\cdot 4\cdot \cos \displaystyle\frac{\pi}{3}=8\) ,
\(\overrightarrow{c}\cdot\overrightarrow{a}=4\cdot 3\cdot \cos \displaystyle\frac{\pi}{3}=6\) .
\(OB=OC=4\) , \(\angle AOB=\angle AOC=\displaystyle\frac{\pi}{3}\) , \(OA\) は共通であるから,
\(\triangle OAB≡\triangle OAC\) である.
このことから,線分 \(BC\) の中点を \(M\) としたとき,
四面体 \(OABC\) は,平面 \(OAM\) に関して対称な立体であり,
対称性から \(s=t\) ・・・① を満たす.
①より
\(\overrightarrow{OH}=r\overrightarrow{a}+s\overrightarrow{b}+s\overrightarrow{c}\)
とおける.このとき,点 \(H\) は平面 \(ABC\) 上であるから
\(r+s+s=1\) \(\iff\) \(r+2s=1\) ・・・②
共面条件②の「係数の和が \(1\) 」になることを利用した
また \(OH \perp\) 平面 \(ABC\) より, \(\overrightarrow{OH} \perp \overrightarrow{AB}\)
つまり \(\overrightarrow{OH}\cdot \overrightarrow{AB}=0\)
よって,\((r\overrightarrow{a}+s\overrightarrow{b}+s\overrightarrow{c})(\overrightarrow{b}-\overrightarrow{a})=0\)
これを計算してまとめると \(r=4s\) ・・・③
②,③より,\(r=\displaystyle\frac{2}{3}\) , \(s=t=\displaystyle\frac{1}{6}\)
したがって,\(\overrightarrow{OH}=\displaystyle\frac{2}{3}\overrightarrow{a}+\displaystyle\frac{1}{6}\overrightarrow{b}+\displaystyle\frac{1}{6}\overrightarrow{c}\)
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