【1994東京大学】
\(a=\sin^2 \displaystyle\frac{\pi}{5}\) , \(b=\sin^2 \displaystyle\frac{2\pi}{5}\) とおく.このとき,以下のことが成り立つことを示せ.
(1) \(a+b\) および \(ab\) は有理数である.
(2) 任意の自然数 \(n\) に対し \((a^{-n}+b^{-n})(a+b)^n\) は整数である.
(1) \(\displaystyle\frac{\pi}{5}\) ( \(36°\) ) ,\(\displaystyle\frac{2\pi}{5}\) ( \(72°\) ) の三角比の値
(1)考え方
\(\displaystyle\frac{\pi}{5}\) ( \(36°\) ) や \(\displaystyle\frac{2\pi}{5}\) ( \(72°\) ) の三角比の値については頻出です!
二等辺三角形を利用した考え方や,三角関数(加法定理、2倍角、3倍角の公式)を利用した考え方など様々です。
(1)解答・解説
\(\theta=\displaystyle\frac{\pi}{5}\) とおく.
\(5\theta=\pi\) より
\(3\theta=\pi-2\theta\) であるから
\(\cos 3\theta=\cos (\pi-2\theta)=-\cos 2\theta\) ・・・①
2 倍角の公式 \(\cos 2\theta=2\cos^2\theta-1\)
3 倍角の公式 \(\cos 3\theta=4\cos^3\theta-3\cos \theta\)
を①に代入すると、
\(4\cos^3\theta-3cos \theta=-(2\cos^2\theta-1)\)
\(4\cos^3\theta+2\cos^2\theta-3cos \theta-1=0\)
\(x=\cos \theta\) とおくと、\(\theta=\displaystyle\frac{\pi}{5}\) より \(0<x<1\) で
\(4x^3+2x^2-3x-1=0\)
左辺を \(f(x)\) とおくと
\(f(-1)=0\) なので
\((x+1)(4x^2-2x-1)=0\)
\(x=-1\)、\(\displaystyle\frac{1\pm\sqrt{5}}{4}\)
\(0<x<1\) より
\(x=\displaystyle\frac{1+\sqrt{5}}{4}\)
\(\cos \displaystyle\frac{\pi}{5}=\displaystyle\frac{1+\sqrt{5}}{4}\)
よって,
\(a=\sin^2\displaystyle\frac{\pi}{5}=1-\cos^2\displaystyle\frac{\pi}{5}=1-\left(\displaystyle\frac{1+\sqrt{5}}{4}\right)^2=\displaystyle\frac{5-\sqrt{5}}{8}\)
\(b=\sin^2\displaystyle\frac{2\pi}{5}=4\sin^2\displaystyle\frac{\pi}{5}\cos^2\displaystyle\frac{\pi}{5}=4\cdot\displaystyle\frac{5-\sqrt{5}}{8}\cdot\left(\displaystyle\frac{1+\sqrt{5}}{4}\right)^2=\displaystyle\frac{5+\sqrt{5}}{8}\)
ゆえに,\(a+b=\displaystyle\frac{5}{4}\) , \(ab=\displaystyle\frac{5}{16}\)
したがって,\(a+b\) および \(ab\) は有理数である.
(2) 2段仮定の数学的帰納法
(2)考え方
対称式と2段仮定の数学的帰納法を利用して証明しましょう!
教科書では学習しないかもしれませんが、とても有名解法になります!
解法の流れを覚えましょう!
対称式
Ⅲ.数学的帰納法(2段仮定)
(ⅰ) \(n = 1 , 2\) のとき
命題が成立することを示す
(ⅱ) \(n = k , k+1\) のとき命題が成立すると仮定し、
\(n=k+2\) のとき命題が成立することを示す
(2)解答・解説
\((a^{-n}+b^{-n})(a+b)^n=\displaystyle\frac{a^n+b^n}{a^nb^n}(a+b)^n=(a^n+b^n)\left(\displaystyle\frac{a+b}{ab}\right)^n\)
(1)より \(a+b=\displaystyle\frac{5}{4}\) , \(ab=\displaystyle\frac{5}{16}\) であるから
\(\displaystyle\frac{a+b}{ab}=4\) より
\((a^{-n}+b^{-n})(a+b)^n=(4a)^n+(4b)^n\)
ここで,\(p=4a\) , \(q=4b\) とおくと
(1)より \(p+q=4(a+b)=5\) , \(pq=16ab=5\) より \(p+q\) と \(pq\) はともに整数となる.
このとき,\(p^n+q^n\) が整数となることを示せば良い.
これを数学的帰納法を用いて示す.
( ⅰ ) \(n = 1 , 2\) のとき
\(p+q=5\) , \(p^2+q^2=(p+q)^2-2pq=15\) となりともに整数となり成立
( ⅱ ) \(n = k , k+1\) のとき \(p^n+q^n\) が整数となると仮定する
つまり,\(p^k+q^k\) , \(p^{k+1}+q^{k+1}\) がともに整数になると仮定すると
\(p^{k+2}+q^{k+2}=(p+q)(p^{k+1}+q^{k+1})-pq(p^{k}+q^{k})\) となり
\(p^{k+2}+q^{k+2}\) は整数となる.
( ⅰ ),( ⅱ )よりすべての自然数 \(n\) で \(p^n+q^n\) が整数となる
ゆえに,\((a^{-n}+b^{-n})(a+b)^n\) は整数である.
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