【2009大阪教育大学】
(1) \(s\) , \(t\) は実数で,\(s>0\) と \(st≧4\) を満たすとする.
このとき,\(s+t≧4\) が成り立つことを示せ.
(2) \(x\) , \(y\) は実数で,\(x>0\) と \(x^8(y-x^2)≧4\) を満たすとする.
このとき,\(x(x+y)≧4\) が成り立つことを示せ.
考え方:不等式の証明について
不等式の証明の解き方(まとめ)
【1】差をとる
【2】グラフの利用
【3】最小値をとらえる
【4】有名不等式(相加相乗平均など)の利用
【5】その他(凸関数の利用など)
【1】〜【5】の詳細については、【数学Ⅱ】不等式の証明(まとめ)解法5つ を参考にしてください。
相加平均・相乗平均の関係
【相加平均・相乗平均の関係】
\(A≧0 , B≧0\) のとき
\(A+B≧2\sqrt{AB}\)
等号成立は、\(A=B\) のとき
「相加平均・相乗平均の関係」は受験数学において頻出であり、最重要テーマの 1 つです.そして「相加平均・相乗平均の関係」に関しては、分野を問わず出題されることが多いため、ただ公式を覚えているだけでは使い物になりません.
「いつ・どのタイミングで使うのか」が非常に重要になります.
また,基本的な問題で相加平均・相乗平均の確認をしたい場合は、
相加平均・相乗平均の関係はいつ使う?使うタイミングの見抜き方(基本)
を確認してください.
相加平均・相乗平均を使うタイミング
次の2つの形を見たら相加平均・相乗平均の関係を疑え!
1.逆数の和の形
👉 ルートの中で約分され、文字が消える!
2.和と積の形
👉\(和≧2\sqrt{積}\)
具体的な例題を用いたより詳細の説明については
相加平均・相乗平均の関係はいつ使う?使うタイミングの見抜き方(発展)
をご確認ください。
解答(1)
(1) \(s\) , \(t\) は実数で,\(s>0\) と \(st≧4\) を満たすとする.
このとき,\(s+t≧4\) が成り立つことを示せ.
和( \(s+t\) )と積( \(st\) ) に関する不等式の証明ですから,相加平均・相乗平均の関係を利用したい!と思えるようになりましょう!
\(s\) , \(t\) は実数で,\(s>0\) と \(st≧4\) であるから,\(t>0\) であり,相加・相乗平均の関係から
\(s+t≧2\sqrt{st}≧2\sqrt{4}=4\)
よって,\(s+t≧4\)
等号成立は,\(s+t=4\) かつ \(s=t\) \(\iff\) \(s=t=2\) のとき成立する.
解答(2)
(2) \(x\) , \(y\) は実数で,\(x>0\) と \(x^8(y-x^2)≧4\) を満たすとする.
このとき,\(x(x+y)≧4\) が成り立つことを示せ.
\(x^8(y-x^2)≧4\) より, \(x^5\cdot x^3(y-x^2)≧4\)・・・①
\(x\) , \(y\) は実数で,\(x>0\) であるから,\(x^3>0\) , \(x^3(y-x^2)>0\) なので,相加・相乗平均の関係から
\(x^5+x^3(y-x^2)≧2\sqrt{x^5\cdot x^3(y-x^2)}\)
①より,\(x^5+x^3(y-x^2)≧2\sqrt{4}=4\) \(\iff\) \(x^3y≧4\) ・・・②
等号成立は,\(x^5=x^3(y-x^2)=2\)
\(\iff\) \(x=2^{\frac{1}{5}}\) , \(y=2^{\frac{7}{5}}\) のとき
次に,\(x^3y=x^2\cdot xy\) であり,\(x^2>0\) , \(xy>0\) であるから,相加・相乗平均の関係より,
\(x^2+xy≧2\sqrt{x^3y}\)
②より,\(x^2+xy≧2\sqrt{4}≧4\)
したがって,\(x(x+y)≧4\)
(2)の問題はなかなか難しい・・・。
この問題を見て相加相乗平均が思いついた人は優秀!
それではなぜ気がつけるのか??
今回は(1)があるから気がつける問題。
(1)→(2)→(3)→・・・と問題がつながっていく,次のヒントになっていることは非常に多い!手が止まったら1つ前で何をやったのか、1つ後で何を聞かれているのかをチェックする習慣を!
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