【2006京都大学・後期・第3問】
さいころを \(n\) 個同時に投げるとき、
出た目の和が \(n+3\) になる確率を求めよ.
確率を苦手とする受験生は多く、差が付きやすい分野の1つです。
確率を苦手とする受験生のほとんどが、「公式に頼ろうとする」、「いきなり解答を書きだそうとする」、「解答を見て分かった気になった勉強をしている」ことが非常に多い!自分にこの点が当てはまったら要注意!
しっかりと考え方・方針の立て方を勉強し、答えを読んで分かった気になる勉強法から卒業しましょう!
考え方・方針の立て方
一般化された問題について
本問では、さいころを \(n\) 回投げます.このように \(n\) (文字)が登場して来たら、いきなり解答を作ろうとはせずに、小さい例で実験をしましょう!
そして解答の方針・答えのが予想できるまでひたすら実験を繰り返し、しっかりと方針がたってから解答を書き出すように!
この大問に \(30\) 分の時間が使えるとしたならば、\(20\) ~ \(25\) 分は実験に時間を使っても良いです!それぐらいしっかりと手を動かして、実験をしましょう!
実験
・\(n=1\) のとき
\(1\) 個のさいころを振って出た目の和が \(4\) となればよい.
つまり \(4\) の目が出ればよいので、\(\displaystyle\frac{1}{6}\)
・\(n=2\) のとき
\(2\) 個のさいころを振って出た目の和が \(5\) となればよい.
\(( 1 , 4 )\)、\(( 2 , 3 )\) の組合せがあり、それぞれの順列を考えると、\(\displaystyle\frac{4}{6^2}=\displaystyle\frac{1}{9}\)
・\(n=3\) のとき
\(3\) 個のさいころを振って出た目の和が \(6\) となればよい.
\(( 1 , 1 , 4 )\)、\(( 1 , 2 , 3 )\)、\(( 2 , 2 , 2 )\) の組合せがある.
順列を考えると、
\(( 1 , 1 , 4 )\) のとき \(3\) 通り
\(( 1 , 2 , 3 )\) のとき \(3!=6\) 通り
\(( 2 , 2 , 2 )\) のとき \(1\) 通り
よって、\(\displaystyle\frac{3+6+1}{6^3}=\displaystyle\frac{5}{108}\)
・\(n=4\) のとき
\(4\) 個のさいころを振って出た目の和が \(7\) となればよい.
\(( 1 , 1 , 1 , 4 )\)、\(( 1 , 1 , 2 , 3 )\)、\(( 1 , 2 , 2 , 2 )\) の組合せがある.
順列を考えると、
\(( 1 , 1 , 1 , 4 )\) のとき \(_{4}C_{1}=4\) 通り
\(( 1 , 1 , 2 , 3 )\) のとき \(_{4}C_{2}\times 2=8\) 通り
\(( 1 , 2 , 2 , 2 )\) のとき \(_{4}C_{3}=4\) 通り
(※主たる目的は方針をつかむことであるため、これ以降確率を求める作業は省略)
・\(n=5\) のとき
\(5\) 個のさいころを振って出た目の和が \(8\) となればよい.
\(( 1 , 1 , 1 , 1 , 4 )\)、\(( 1 , 1 , 1 , 2 , 3 )\)、\(( 1 , 1 , 2 , 2 , 2 )\) の組合せがある.
順列を考えると、
\(( 1 , 1 , 1 , 1 , 4 )\) のとき \(_{5}C_{1}\) 通り
\(( 1 , 1 , 1 , 2 , 3 )\) のとき \(_{5}C_{2}\times 2\) 通り
\(( 1 , 1 , 2 , 2 , 2 )\) のとき \(_{5}C_{3}\) 通り
そろそろ方針が見えてきたのではないだろうか??
まだ見えないのであればさらに続けてみましょう!
解答作成に入る前の注意
方針が見えると、すぐに解答を書きたくなる気持ちはすごく分かる.
しかしここで1度手を止めて、確認して欲しいことがある!
この作業を怠ることで、大きく減点されてしまう可能性がある!!
今から自分で作ろうとするその式には、\(n\) の条件はありませんか??
それを一度確認してみてください!!
解答
(ⅰ) \(n=1\) のとき
\(1\) 個のさいころを振って出た目の和が \(4\) となればよい.
つまり \(4\) の目が出ればよいので、\(\displaystyle\frac{1}{6}\)
(ⅱ) \(n=2\) のとき
\(2\) 個のさいころを振って出た目の和が \(5\) となればよい.
\(( 1 , 4 )\)、\(( 2 , 3 )\)、(( 3 , 2 )\)、\(( 4 , 1 )\) の \(4\) 通り.
よって、\(\displaystyle\frac{4}{6^2}=\displaystyle\frac{1}{9}\)
(ⅲ) \(n≧3\) のとき
\(n\) 個のさいころを振って出た目の和が \(n+3\) となるのは、
(ア) \(( 1 , 1 , \cdots , 1 , 1 , 4 )\)
\(1\) が\(n-1\) 個、\(4\) が \(1\) 個のとき
(イ) \(( 1 , 1 , \cdots , 1 , 2 , 3 )\)
\(1\) が\(n-2\) 個、\(2\) と \(3\) が \(1\) 個ずつのとき
(ウ) \(( 1 , 1 , \cdots , 2 , 2 , 2 )\)
\(1\) が\(n-3\) 個、\(2\) が \(3\) 個のとき
の(ア)~(ウ)のいずれかのときである.
(ア)のとき \(_{n}C_{1}\) 通り
(イ)のとき \(_{n}C_{2}\times 2\) 通り
(ウ)のとき \(_{n}C_{3}\) 通り
したがって、\(\displaystyle\frac{_{n}C_{1}+_{n}C_{2}\times 2+_{n}C_{3}}{6^n}=\displaystyle\frac{n(n+1)(n+2)}{6^{n+1}}\) ・・・①
①に \(n = 1 , 2\) を代入してみると、(ⅰ)、(ⅱ)を満たす.
以上より、求める確率は \(\displaystyle\frac{n(n+1)(n+2)}{6^{n+1}}\)
補足説明
上の解答の(ⅲ)の(ウ)を処理する際に、\(n-3\) が登場する.
そのため、\(n≧3\) という条件が必要になる.
この条件を見落とし、いきなり解答を作成した場合、答えはあっているかもしれないが、大きく減点される可能性があるため要注意!
2006年の京都大学の後期試験は、↓の問題がとても有名ですね!
分野は全く違いますが、良問ですので良かったら参考にしてください。
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