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【2021九州大学】等差×等比数列の総和、実験→予想・推測→数学的帰納法(全段仮定)

数列

【2021九州大学】

以下の問いに答えよ.

(1) \(n\) を自然数とするとき,\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}{k2^{k-1}}\) を求めよ.

(2) 次のように定義される数列 \(\left\{a_{n}\right\}\) の一般項を求めよ.

\(a_{1}=2\) , \(a_{n+1}=1+\displaystyle\frac{1}{2}\displaystyle\sum_{k=1}^{n}{(n+1-k)}a_{k}\)

(1)等差×等比数列の総和について

等差数列 \(\times\) 等比数列の総和(Σ)

⇒ 公比をかけて,差をとる.

(1)解答・解説

\(S_{n}=\displaystyle\sum_{k=1}^{n}{k2^{k-1}}\) とおく.

つまり,

\(S_{n}=\)\(1\cdot2^0\)\(+2\cdot2+3\cdot2^2+\cdots+n\cdot2^{n-1}\) ・・・①

①を \(2\) 倍すると

\(2S_{n}=\)\(1\cdot2+2\cdot2^2+3\cdot2^3+\cdots+(n-1)\cdot2^{n-1}\)\(+n\cdot2^n\)  ・・・②

①ー②より

\(-S_{n}=\)\(1\cdot2^0\)\(+2+2^2+2^3+\cdots+2^{n-1}\)\(-n\cdot2^n\)

\(-S_{n}=\displaystyle\frac{2^n-1}{2-1}-n\cdot2^n\)

よって,\(S_{n}=(n-1)\cdot2^n+1\)

(2)実験→予想・推測→数学的帰納法(全段仮定)

漸化式の一般項を求める作業は,基本的には暗記分野です。まずは基本パターンをしっかりとおさえましょう!

漸化式のおさえておきたい有名・頻出パターンは「【漸化式】有名・頻出13パターン解法まとめ|数学B数列」を参考にしてください。

本問では,「実験」を行い一般項を「予想・推測」し,数学的帰納法で証明するパターンになります。

また数学的帰納法は,一般的なものとは異なり,「全段仮定」を利用します。

全段仮定の数学的帰納法についての考え方は「【2010京都大学】数学的帰納法(全段仮定)|差がつく良問(数学B数列)」を参考にしてください!

【2010京都大学】数学的帰納法(全段仮定)|差がつく良問(数学B数列)
n≦kを満たすすべてのnで成り立つと仮定し,n=k+1のときに示す.数学的帰納法の有名3タイプのうちの「全段仮定法」.経験で差がつく入試問題.2010京大過去問演習・対策。数学B。また別解として背理法の紹介。

数学的帰納法(全段仮定)

(ⅰ) \(n = 1\) のとき

命題が成立することを示す

(ⅱ) \(n ≦ k\) のとき

命題が成立すると仮定し、\(n=k+1\) のとき命題が成立することを示す

全段仮定の数学的帰納法は,一般的な帰納法に比べると出題されるう頻度は少ないです。

しかし,経験がないとなかなか思いつく解法ではありません。(知っていれば簡単♩)

一般的な帰納法,2段仮定の数学的帰納法,そして本問の全段仮定の数学的帰納法の3タイプをしっかりとマスターしておきましょう!

(2)解答・解説

\(a_{1}=2\) , \(a_{n+1}=1+\displaystyle\frac{1}{2}\displaystyle\sum_{k=1}^{n}{(n+1-k)}a_{k}\) ・・・③

③に \(n=1\) を代入すると

\(a_{2}=1+\displaystyle\frac{1}{2}\displaystyle\sum_{k=1}^{1}{(2-k)}a_{k}\)

\(=1+\displaystyle\frac{1}{2}a_{1}=2\)

③に \(n=2\) を代入すると

\(a_{3}=1+\displaystyle\frac{1}{2}\displaystyle\sum_{k=1}^{2}{(3-k)}a_{k}\)

\(=1+\displaystyle\frac{1}{2}(2a_{1}+a_{2})=4\)

③に \(n=3\) を代入すると

\(a_{4}=1+\displaystyle\frac{1}{2}\displaystyle\sum_{k=1}^{3}{(4-k)}a_{k}\)

\(=1+\displaystyle\frac{1}{2}(3a_{1}+2a_{2}+a_{3})=8\)

よって,

\(n≧2\) のとき \(a_{n}=2^{n-1}\) ・・・④

と推測できる.④が成り立つことを数学的帰納法を用いて示す.

( ⅰ ) \(n=2\) のとき

\(a_{2}=2\) となり成立する

( ⅱ ) \(n=2,3,4,\cdots,l\) ( \(l≧2\) )となるすべての自然数で④が成立すると仮定する.

③に \(n=l\) を代入すると

\(a_{l+1}=1+\displaystyle\frac{1}{2}\displaystyle\sum_{k=1}^{l}{(l+1-k)}a_{k}\)

\(=1+\displaystyle\frac{1}{2}\left\{l\cdot a_{1}+\displaystyle\sum_{k=2}^{l}{(l+1-k)a_{k}}\right\}\)

仮定より

\(a_{l+1}=1+\displaystyle\frac{1}{2}\left\{2l+\displaystyle\sum_{k=2}^{l}{(l+1-k)2^{k-1}}\right\}\)

\(=1+l+\displaystyle\frac{1}{2}\displaystyle\sum_{k=2}^{l}{(l+1-k)2^{k-1}}\)

\(=1+l+\displaystyle\frac{1}{2}\left\{(l+1)\displaystyle\sum_{k=2}^{l}{2^{k-1}-\displaystyle\sum_{k=2}^{l}{k\cdot2^{k-1}}}\right\}\)

(1)の結果より

\(a_{l+1}=1+l+\displaystyle\frac{1}{2}\left\{(l+1)\cdot\displaystyle\frac{2(2^{l-1}-1)}{2-1}-\left\{1+(l-1)\cdot2^l-1\right\}\right\}=2^l\)

したがって,\(n=l+1\) のときも成立する.

以上より,

\(a_{n}=\begin{cases}2    ( n=1 )\\2^{n-1} ( n≧2 )\end{cases}\)

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