【2023お茶の水女子大学・理・第3問】
\(f(x)=\displaystyle\int^{x}_{0}\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1+t^4}} dt\) とおく.以下の問いに答えよ.
(1) \(y=\log{\left(x+\sqrt{1+x^2}\right)}\) を微分せよ.
(2) \(0<x≦1\) において,\(\log{\left(x+\sqrt{1+x^2}\right)}<f(x)<x\) が成り立つことを示せ.
(3) \(x>1\) において,曲線 \(y=\log{\left(x+\sqrt{1+x^2}\right)}\) と曲線 \(y=f(x)\) は共有点をちょうど \(1\) つもつことを示せ.
解答・解説
(1) \(y=\log{\left(x+\sqrt{1+x^2}\right)}\) を微分せよ.
\(y^{\prime}=\displaystyle\frac{1+\displaystyle\frac{2x}{2\sqrt{1+x^2}}}{x+\sqrt{1+x^2}}=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1+x^2}}\)
(2) \(0<x≦1\) ,\(\log{\left(x+\sqrt{1+x^2}\right)}<f(x)<x\) が成り立つことを示せ.
\(0<x≦1\) のとき \(g(x)=x-f(x)=x-\displaystyle\int^{x}_{0}\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1+t^4}} dt\) とおく.
\(g^{\prime}(x)=1-\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1+x^4}}>0\)
よって \(g(x)\) は単調増加なので,
\(g(x)>g(0)=0-f(0)=0\)
よって \(f(x)<x\)
次に,\(0<x≦1\) のとき \(h(x)=f(x)-\log{\left(x+\sqrt{1+x^2}\right)}=\displaystyle\int^{x}_{0}\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1+t^4}} dt-\log{\left(x+\sqrt{1+x^2}\right)}\) とおく.
\(h^{\prime}(x)=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1+x^4}}-\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1+x^2}}\)
\(0<x≦1\) より \(x^4<x^2\) なので,\(h^{\prime}(x)>0\)
よって \(h(x)\) は単調増加なので,
\(h(x)>h(0)=f(0)-\log{1}=0\)
よって \(\log{\left(x+\sqrt{1+x^2}\right)}<f(x)\)
したがって,\(\log{\left(x+\sqrt{1+x^2}\right)}<f(x)<x\)
(3) \(x>1\) ,\(y=\log{\left(x+\sqrt{1+x^2}\right)}\) と \(y=f(x)\) は共有点をちょうど \(1\) つもつことを示せ.
\(x>1\) のとき
\(h(x)=f(x)-\log{\left(x+\sqrt{1+x^2}\right)}=\displaystyle\int^{x}_{0}\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1+t^4}} dt-\log{\left(x+\sqrt{1+x^2}\right)}\) とおく.
\(h^{\prime}(x)=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1+x^4}}-\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1+x^2}}\)
\(x>1\) より \(x^4>x^2\) なので,\(h^{\prime}(x)<0\)
よって \(h(x)\) は単調減少となる.
(2) より \(\log{(1+\sqrt{2})}<f(1)\) なので
\(h(1)=f(1)-\log{(1+\sqrt{2})}>0\)
\(x>1\) において \(h(x)\) は単調減少で,\(h(1)>0\) とわかったので,
\(x\) \(\rightarrow\) \(\infty\) のとき \(h(x)\) が負の値になることが分かれば,
\(h(x)=0\) はちょうど \(1\) つの解を持つことが確認できます!
また,\(f(x)=\displaystyle\int^{1}_{0}\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1+t^4}} dt+\displaystyle\int^{x}_{1}\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1+t^4}} dt=f(1)+\displaystyle\int^{x}_{1}\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1+t^4}} dt\) であり
\(0<x≦1\) のとき (2) より \(f(1)<1\) ,
また \(1+t^4>t^4\) より \(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{1+t^4}}<\displaystyle\frac{1}{t^2}\) から
\(f(x)<1+\displaystyle\int^{x}_{1} \displaystyle\frac{1}{t^2}dt\)
\(f(1)<1+\Bigl[-\displaystyle\frac{1}{t}\Bigr]^{x}_{1}=2-\displaystyle\frac{1}{x}<2\) で
\(\displaystyle\lim_{x\rightarrow\infty}\left(x+\sqrt{1+x^2}\right)=\infty\) より
\(\displaystyle\lim_{x\rightarrow\infty} h(x)=-\infty\)
以上から,\(h(x)=0\) は \(x>1\) にただ \(1\) つの解をもつ.
したがって,\(x>1\) において,曲線 \(y=\log{\left(x+\sqrt{1+x^2}\right)}\) と曲線 \(y=f(x)\) は共有点をちょうど \(1\) つもつ.
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