【2021 東京学芸大学・第1問】
\(n+1\)、\(n^2+2\)、\(n^3+3\)、・・・、\(n^k+k\) がすべて素数となるような自然数 \(n\)、\(k\) が存在するとき、\(k\) の最大値を求めよ.
はじめに
パッと見では難しく見える問題かもしれませんが、難しくありません!
この問題が解けていない人の多くは、ただ問題を眺めているだけで、手を動かしていない(実験していない)と思われます.
整数問題のPointはたくさんありますが、整数問題の極意は実験!
実験すれば答えが見えてくる問題です.
実験せずに問題が解けなかった(方針が見えなかった)人は、今一度具体的に \(n = 1 , 2 , 3 , \cdots\) と実験をしてみてください.
Point:整数問題の極意➡実験する!
\(n+1\)、\(n^2+2\)、\(n^3+3\)、・・・、\(n^k+k\) ・・・① とおく
具体的に実験
\(n=1\) のとき
①は順に、\(2\)、\(3\)、\(4\) となり、\(4\) は素数ではないため
\(1\)、\(2\) 番目 ( \(k = 1 , 2\) )が素数
よって、\(k\) の最大値は \(2\)
\(n=2\) のとき
①は順に、\(3\)、\(6\) となり、\(6\) は素数ではないため
\(1\) 番目 ( \(k = 1\) )が素数
よって、\(k\) の最大値は \(1\)
\(n=3\) のとき
最初の数が \(4\) となり、\(4\) は素数ではないため
条件を満たす \(k\) は存在しない
\(n=4\) のとき
①は順に、\(5\)、\(18\) となり、\(18\) は素数ではないため
\(1\) 番目 ( \(k = 1\) )が素数
よって、\(k\) の最大値は \(1\)
\(n=5\) のとき
最初の数が \(6\) となり、\(6\) は素数ではないため
条件を満たす \(k\) は存在しない
実験から分かったこと
\(n = 2 , 4 , 6 , \cdots\) のとき(\(n\) が偶数のとき)
\(2\) 番目の \(n^2+2\) は \(2\) より大きい偶数となり、素数にならない
➡ \(k\) は高々 \(1\)
\( n = 3 , 5 , 7 , \cdots \) のとき(\(n\) が \(3\) 以上の奇数のとき)
\(1\) 番目の \(n+1\) は \(2\) より大きい偶数となり、素数にならない
➡ これを満たす \(k\) は存在しない
解答
\(n\) が偶数のとき
\(n^2+2\) は \(2\) より大きい偶数となり、素数とならない.
したがって、このとき \(k\) は高々 \(1\) である.
\(n\) が \(3\) 以上の奇数のとき
\(n+1\) は \(2\) より大きい偶数となり、素数とならない.
したがって、このとき \(k\) は存在しない.
\(n=1\) のとき
\(n+1=2\)、\(n^2+2=3\)、\(n^3+3=4\) となり、\(4\) は素数ではないため
\(1\)、\(2\) 番目 ( \(k = 1 , 2\) )が素数
よって、\(k\) の最大値は \(2\)
以上より、題意を満たす \(k\) の最大値は \(2\) である.
さいごに
いかがだったでしょう?見た目ほど難しい問題ではなかったと思います。
整数問題においては、方針がつかめないのであればしっかりと実験すること!
最後まで解けなくても、実験することで部分点が取れることも良くあります。
入試問題では、必ずしも経験したことがある問題が出題されるとは限りません。初見の問題に対して、実験から規則や法則を見つけ、そこから解答の方針を見つける演習を!
コメント