【2019女子栄養大学】
\(n\) を整数とする.\(x\) についての \(2\) 次方程式
\(x^2-2nx+2n+7=0\) の解がすべて整数となるような \(n\) の値をすべて求めよ.
整数問題のPoint
まず整数問題すべてに共通して言えるPointは
- 積の形に変形
- 条件から範囲を絞る
- 倍数や余りに注目
整数問題の多くが、上の1から3のいずれかで処理できます。
この3つのPointは絶対に頭の中に叩き込んでください!
整数方程式の問題をあまり経験したことがない方は、整数方程式の有名問題を一通り紹介した
をご参考に!
考え方Ⅰ:値の絞り込みで考えてみる
本問は \(2\) 次方程式であること、『整数解をもつ ⇒ 実数解をもつ』と考えることができるので、
判別式 \(D≧0\) で値の絞り込みは出来ないかと考える
\(D=(-2n)^2-4\times1\times(2n+7)≧0\)
\(n^2-2n1;7≧0\)
\(n≦1-2\sqrt{2} , 1+2\sqrt{2}≦n\)
範囲が絞り込めていない・・・
本問ではこの考え方は残念ながら失敗
考え方Ⅱ:解と係数の関係の利用で考えてみる
解と係数の関係
\(ax^2+bx+c=0\) の2解が \(x = \alpha , \beta \) のとき、
\(\alpha + \beta = -\displaystyle\frac{b}{a}\)、\(\alpha \beta = \displaystyle\frac{c}{a}\)
\(x^2-2nx+2n+7=0\) の整数解を、\(x=\alpha,\beta\) とおく
解と係数の関係より、
\(\alpha+\beta=2n\)、\(\alpha\beta=2n+7\)
\(n\) を消去すると、
\(\alpha\beta=\alpha+\beta+7\)
この形になれば、『 ( )( )=整数 』
に変形する典型問題!
解答:解と係数の利用
\(x^2-2nx+2n+7=0\) の整数解を、\(x=\alpha,\beta\) とおく( \(\alpha≦\beta\) )
\(\alpha≦\beta\) と条件を追加しました!
この条件があると、後々に絞り込みで利用でき便利!
解と係数の関係より、
\(\alpha+\beta=2n\)、\(\alpha\beta=2n+7\)
\(\alpha\beta=\alpha+\beta+7\)
\((\alpha-1)(\beta-1)=8\)
積が \(8\) となるものすべてを考えればよいが、上手に絞り込みを行うことで計算が楽になります!
下では、上で設定した \(\alpha≦\beta\) を利用した絞り込みと、「偶数・奇数」を利用した絞り込みを紹介します。
\(\alpha≦\beta\) より、\(\alpha-1≦\beta-1\)
また、\(\alpha+\beta=2n\) ( 偶数 )
\(\alpha\beta=2n+7=2(n+3)+1\) ( 奇数 ) であることから、
\(\alpha\)、\(\beta\) はともに奇数であることが分かる.
よって、\(\alpha-1\)、\(\beta-1\) はともに偶数であることに注意すると、
\((\alpha-1,\beta-1)=(-4,-2) , (2,4)\)
\((\alpha,\beta)=(-3,-1) , (3,5)\)
したがって、\(2n=\alpha+\beta\) より
\(n=-2, 4\)
別解
\(x^2-2nx+2n+7=0\)
\(2(x-1)n=x^2+7\) ・・・①
ここで \(x=1\) と仮定すると、
① \(\iff\) \(0=8\) となり矛盾
よって、\(x\not=1\) より、
\(n=\displaystyle\frac{x^2+7}{2(x-1)}\)
(分子の次数) ≧ (分母の次数)
☞ 次数下げ ( 割り算 )
※上のポイントは、整数問題に限らず、様々な場面で利用します。しっかりと覚えておきましょう!
\(n=\displaystyle\frac{1}{2}\left(x+1+\displaystyle\frac{8}{x-1}\right)\)
\(n\) は整数であるから、
「\(\displaystyle\frac{8}{x-1}\) が整数」 かつ 「\(x+1+\displaystyle\frac{8}{x-1}\) が偶数」でなければいけない.
まず、「\(\displaystyle\frac{8}{x-1}\) が整数」であるためには、\(x-1\) が \(8\) の約数になるため、
\(x-1=-8,-4,-2,-1,1,2,4,8\) \(\iff\) \(x=-7,-3,-1,0,2,3,5,9\)
このとき、「\(x+1+\displaystyle\frac{8}{x-1}\) が偶数」となるのは、
\(x=-3,-1,3,5\) のとき
したがって、\(n=-2,4\)
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