【2009京都大学・第5問(文)】
\(p\) を素数,\(n\) を正の整数とするとき,\((p^n)!\) は \(p\) で何回割り切れるか.
考え方:具体的に実験!
実験①:\(p=2\)、\(n=3\) のとき
\(p=2\)、\(n=3\) として考えてみましょう.
このとき、「\((2^3)!=8!\) は \(2\) で何回割り切れるか」を考えればよいと言うことになります.
もちろん \(8!\) ぐらいであればゴリゴリと計算すれば答えは出せるが、それでは意味がありません.
どのような値になっても答えが作れるような解法(一般化できる解法)を以下のように考えていきます.
まず下の画像を見て下さい.
\(8!\) を積の形になおし、数字の下に○を付けました.
この○が表す意味は、\(2\) を約数に何個持つかを表しています.
例えば
・\(8=2^3\) であるから、\(2\) が \(3\) 個ある.それを○○○と表した.
・\(7\) であれば、\(2\) を約数に持たないため、○は書いていない.
このとき、
「\((2^3)!=8!\) は \(2\) で何回割り切れるか」と言う問は、
「○が全部で何個あるか?」という問と同じです.
つまり、○の個数を数えればよいわけであるが、この○の数え方が重要!!
これをただただ数えるだけでは、数が大きくなった時に、限界がきます.
そこで、次の画像を見て下さい.
○のカウントの仕方は、横に何個ずつあるか、段ごとでカウントしていきます.
その理由としては、
\(1\) 段目については必ず \(2\) つ置きに○が現れます.
\(2\) 段目については必ず \(2^2=4\) つ置きに○が現れます.
\(3\) 段目については必ず \(2^3=8\) つ置きに○が現れます.
つまり、
\(1\) 段目の○の個数は、\(8\div 2 = 4\) 個
\(2\) 段目の○の個数は、\(8\div 2^2 = 2\) 個
\(3\) 段目の○の個数は、\(8\div 2^3 = 1\) 個
と計算を用いてカウントすることが出来ます.
よって、\(4+2+1=7\)
実験②:\(p=3\)、\(n=5\) のとき
もう少し大きな値で具体的に実験してみます.
\(p=3\)、\(n=5\) とする.
つまり、「\((3^5)!=243!\) は \(3\) で何回割り切れるか」を考えればよい.
\(1\) 段目の○の個数は、\(243\div 3 = 81\) 個
\(2\) 段目の○の個数は、\(243\div 3^2 = 27\) 個
\(3\) 段目の○の個数は、\(243\div 3^3 = 9\) 個
\(4\) 段目の○の個数は、\(243\div 3^4 = 3\) 個
\(5\) 段目の○の個数は、\(243\div 3^5 = 1\) 個
よって、\(81+27+9+3+1=121\) 個
※この方法を用いれば、数が大きくなっても(文字になっても)同様に扱うことが出来ます.
解答
【2009 京都大学】
\(p\) を素数,\(n\) を正の整数とするとき,\((p^n)!\) は \(p\) で何回割り切れるか.
\(1\) から \(p^n\) までの \(p^n\) 個の数のうち、
\(p\) で割り切れる数は、\(p^n\div p = p^{n-1}\) 個
\(p^2\) で割り切れる数は、\(p^n\div p^2 = p^{n-2}\) 個
\(p^3\) で割り切れる数は、\(p^n\div p^3 = p^{n-3}\) 個
・・・・(これを繰り返す)
\(p^{n-1}\) で割り切れる数は、\(p^n\div p^{n-1} = p\) 個
\(p^n\) で割り切れる数は、\(p^n\div p^n = 1\) 個
したがって、\((p^n)!\) は \(p\) で
\(p^{n-1}+ p^{n-2}+ p^{n-3}+\cdots+p+1=\displaystyle\frac{p^n-1}{p-1}\) (回)割り切れる.
補足:ガウス記号について
今回の問題はすべて綺麗に割り切れたため、特に気にすることがなかったのですが、
例えば、「\(10 !\) は \(2\) で何回割り切れるか」という問題を考えてみます.
基本的な考え方は同じなのですが、
\(1\) 段目は、\(10\div 2 = 5\) よって \(5\) 個
\(2\) 段目は、\(10\div 2^2 = 2.5\) となるため、整数部分の \(2\) 個となる.
\(3\) 段目は、\(10\div 2^3 = 1.25\) となるため、整数部分の \(1\) 個となる.
このように、割り切れない場合、整数部分を考えればよいが、これをガウス記号を用いて
\(\displaystyle\left[\frac{10}{2}\right]+\displaystyle\left[\frac{10}{2^2}\right]+\displaystyle\left[\frac{10}{2^3}\right]=5+2+1=8\) と書ける.
ガウス記号
実数 \(x\) に対して,\(x\) を超えない最大の整数を,\([x]\) と表す.
[ ] をガウス記号という.
つまり、\([x]\) は、\(x\) の整数部分
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