【2001京都大学・第3問(文)】
任意の整数 \(n\) に対し、 \(n^9-n^3\) は \(9\) で割り切れることを示せ.
【剰余類】\(n\) を○で割った余りで場合分け
倍数証明において最も頻出解法の1つに、『ある数で割った余りに注目して \(n\) を場合分け』を行う剰余類と呼ばれる考え方があります。
本問において単純な発想としては、 『\(9\) で割り切れることを示せ』という問いですから、\(n\) を \(9\) で割った余りに注目し、\(9\) つの場合分け( \(n=9k,9k+1,\cdots,9k+8\) )をして考えるということです。
ただ流石に \(9\) つの場合分けは大変ですから、最初に式変形をして工夫を行いましょう!
解答①
\(n^9-n^3=n^3(n^3-1)(n^3+1)\) ・・・①
整数 \(k\) を用いて
(ア)\(n=3k\) のとき
\(n^3=(3k)^3=9(3k^3)\)
であるから、①は \(9\) の倍数.
(イ)\(n=3k+\) のとき
\(n^3-1=(3k+1)^3=27k^3+27k^2+9k=9(3k^3+3k^2+k)\)
であるから、①は \(9\) の倍数.
(ウ)\(n=3k-\) のとき
\(n^3+1=(3k-1)^3=27k^3-27k^2+9k=9(3k^3-3k^2+k)\)
であるから、①は \(9\) の倍数.
(ア)〜(ウ)より、任意の整数 \(n\) に対し、 \(n^9-n^3\) は \(9\) で割り切れる
参考別解:合同式の利用
\(n^9-n^3=n^3(n^3-1)(n^3+1)\) ・・・①
以下では、\(mod9\) として考える.
(ア)\(n≡0\) のとき、\(n^3≡0\)
(イ)\(n≡\pm1\) のとき、\(n^3-1≡0\)
(ウ)\(n≡\pm2\) のとき、\(n^3+1≡9≡0\)
(エ)\(n≡\pm3\) のとき、\(n^3≡27≡0\)
(オ)\(n≡\pm4\) のとき、\(n^3-1≡63≡0\)
①と(ア)〜(オ)より、任意の整数 \(n\) に対し、 \(n^9-n^3\) は \(9\) で割り切れる
解答②:連続する整数の積を利用
\(x^3-y^3=(x-y)^3+3xy(x-y)\) より、\(x=n^3\)、\(y=n\) とすると
\(n^9-n^3=(n^3-n)^3+3n^4(n^3-n)\) ・・・②
ここで
\(n^3-n=(n-1)n(n+1)\) となり、連続する \(3\) 整数の積であるから、\(3\) の倍数となる.
よって、\((n^3-n)^3\)、\(3n^4(n^3-n)\) はともに \(9\) の倍数となるため、②より任意の整数 \(n\) に対し、 \(n^9-n^3\) は \(9\) で割り切れる.
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