【2007京都大学・第5問(文系)】
\(n\) を \(1\) 以上の整数とするとき,次の \(2\) つの命題はそれぞれ正しいか.正しいときは証明し,正しくないときはその理由を述べよ.
命題 \(p\):ある \(n\) に対して,\(\sqrt{n}\) と \(\sqrt{n+1}\) は共に有理数である.
命題 \(q\):すべての \(n\) に対して,\(\sqrt{n+1}-\sqrt{n}\) は無理数である.
考え方:答えを予想,方針について
証明の方針を考える前に,命題 \(p\) , \(q\) が正しいかどうかどうかを予想しましょう!
命題 \(p\)について
\(\sqrt{N}\) が有理数となるとき, \(N\) は自然数であるから,\(\sqrt{N}\) は自然数となる.
\(\sqrt{N} = 1 , 2 , 3 , \cdots\) のとき,\(N = 1 , 4 , 9 , \cdots\) であるから,
連続する \(2\) つの自然数に対して,\(\sqrt{N}\) と \(\sqrt{N+1}\) が共に自然数(有理数)にはならないと予想できる.
またどのように導くかについては,命題 \(q\) を意識し,
『 \(\sqrt{n+1}-\sqrt{n}\) 』を考えてみるのがよいだろう!
命題 \(q\)について
有理数や無理数に関する証明であるから,背理法を用いて考える.
解答
(1)
自然数 \(N\) に対して,\(\sqrt{N}\) が有理数ならば \(\sqrt{N}\) は整数となる.
ここで,\(0<\sqrt{n+1}-\sqrt{n}=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{n+1}+\sqrt{n}}<1\) より
\(\sqrt{n}\) が有理数(整数)であるとき,\(\sqrt{n+1}\) は整数にならない.
よって,\(\sqrt{n+1}\) は有理数でなく無理数である.
したがって,命題 \(p\) は正しくない
(2)
ある自然数 \(n\) に対して,\(\sqrt{n+1}-\sqrt{n}\) は有理数であると仮定すると,
互いに素な自然数 \(a\) , \(b\) を用いて
\(\sqrt{n+1}-\sqrt{n}=\displaystyle\frac{a}{b}\) ・・・① とおける.
\((\sqrt{n+1}-\sqrt{n})(\sqrt{n+1}+\sqrt{n})=1\) より,①を代入して
\(\displaystyle\frac{a}{b}(\sqrt{n+1}+\sqrt{n})=1\)
\(\iff\) \(\sqrt{n+1}+\sqrt{n}=\displaystyle\frac{b}{a}\) ・・・②
①,②より
\(\sqrt{n+1}=\displaystyle\frac{1}{2}\left(\displaystyle\frac{a}{b}+\displaystyle\frac{b}{a}\right)\)
\(\sqrt{n}=\displaystyle\frac{1}{2}\left(\displaystyle\frac{b}{a}-\displaystyle\frac{a}{b}\right)\)
よって,\(\sqrt{n}\),\(\sqrt{n+1}\) はともに有理数となるが,これは命題 \(p\) に矛盾する.
したがって,すべての \(n\) に対して,\(\sqrt{n+1}-\sqrt{n}\) は無理数
つまり,命題 \(q\) は正しい.
コメント
(1)の回答の一行目、
どんなn∈N(n≧1)についても、(√n∈Q)→(√n∈Z)
…じゃないですか?
今書いてあることは証明中で役に立たないかな?と。
そもそも√2が無理数だと示せ、系をよく出す大学なので、それを一般化したより強い主張を証明なく使っていいものか…躊躇われますね。
マスマス学ぶをご覧いただき誠にありがとうございます。
大変申し訳ありません。考え方のところでは”ルート”をそれぞれ入れていたのですが、解答のところで入力間違いをしておりました。ただちに修正させていただきました。
間違いをご指摘いただき誠にありがとうございました。
より一層間違いがないように注意しながら、受験生に微力でも役立てられる内容を提供していきますので、これからもどうぞよろしくお願いします。
コメントいただき誠にありがとうございました。