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【2021京都大学・理系・第4問】曲線の長さ(数学Ⅲ:積分の応用)

積分まとめ

【2021京都大学・理系・第4問】

曲線 \(y=\log(1+\cos x)\) の \(0≦x≦\displaystyle\frac{\pi}{2}\) の部分の長さを求めよ.

曲線の長さについて

京都大学では、2009年、2002年にも曲線の長さが出題されています。

定期的に出題される問題になりますので、しっかりと確認をしておきましょう!

【2009京都大学】極方程式、媒介変数、曲線の長さ|r=1+cosθ(0≦θ≦π)
極方程式r=1+cosθの0≦θ≦πの部分の曲線の長さについて。媒介変数表示し、積分を用いて計算(三角関数の積分)。この1問で、三角関数の公式(加法定理、半角、倍角など)、積分、極方程式、媒介変数など様々なことが復習できる良問。2009年京大、理系、過去問演習、対策。
【2002京都大学】アルキメデスの螺旋|極方程式r=θの曲線の長さ
アルキメデスの螺旋の曲線の長さを求める問題。2002年京大過去問演習・対策。京都大学では、2009、2021年にも曲線の長さが出題されている。極方程式から媒介変数表示にし、積分を利用して求める。頻出・重要問題。

媒介変数された曲線の長さ

曲線 \(x=f(t)\) , \(y=g(t)\) ( \(\alpha≦t≦\beta\) ) の長さ \(L\) は

\(L=\displaystyle\int^{\beta}_{\alpha}\sqrt{\left(\displaystyle\frac{dx}{dt}\right)^2+\left(\displaystyle\frac{dy}{dt}\right)^2} dt=\displaystyle\int^{\beta}_{\alpha}\sqrt{\left\{f^{\prime}(t)\right\}^2+\left\{g^{\prime}(t)\right\}^2} dt\)

曲線の方程式が媒介変数 \(t\) を用いて \(x=f(t)\) , \(y=g(t)\) ( \(\alpha≦t≦\beta\) ) と表され,\(f(t)\) , \(g(t)\) の導関数はともに連続であるとき,この曲線の長さ \(L\) について

\(A (f(\alpha) , g(\alpha))\) ,\(B (f(\beta) , g(\beta))\) とする.

点 \(A\) から \(P (f(t) , g(t))\) までの曲線の長さを \(t\) の関数として考え,\(s(t)\) と表す.

また,\(t\) の増分 \(Δt\) に対する \(s(t)\) , \(f(t)\) , \(g(t)\) の増分をそれぞれ \(Δs\) , \(Δx\) , \(Δy\) とし, \(|Δt|\) が十分に小さいとき

\(|Δs| ≒ \sqrt{\left(Δx\right)^2+\left(Δy\right)^2}\) ・・・① と考えられる.

①より,\(\displaystyle\frac{Δs}{Δt} ≒ \sqrt{\left(\displaystyle\frac{Δx}{Δt}\right)^2+\left(\displaystyle\frac{Δy}{Δt}\right)^2}\) ・・・②

\(Δt \rightarrow 0\) のとき②より

\(\displaystyle\frac{ds}{dt}=\sqrt{\left\{f^{\prime}(t)\right\}^2+\left\{g^{\prime}(t)\right\}^2}\)

よって,\(s(t)\) は \(t\) の関数 \(\sqrt{\left\{f^{\prime}(t)\right\}^2+\left\{g^{\prime}(t)\right\}^2}\) の不定積分の \(1\) つであるから

\(\displaystyle\int^{\beta}_{\alpha}\sqrt{\left\{f^{\prime}(t)\right\}^2+\left\{g^{\prime}(t)\right\}^2} dt=s(\beta)-s(\alpha)\)

ここで,\(s(\alpha)=0\) , \(s(\beta)=L\) であるから

\(L=\displaystyle\int^{\beta}_{\alpha}\sqrt{\left\{f^{\prime}(t)\right\}^2+\left\{g^{\prime}(t)\right\}^2} dt\)

曲線 \(y=f(x)\) の長さ

曲線 \(y=f(x)\)  ( \(a≦x≦b\) ) の長さ \(L\) は

\(L=\displaystyle\int^{b}_{a}\sqrt{1+\left(\displaystyle\frac{dy}{dx}\right)^2} dx=\displaystyle\int^{b}_{a}\sqrt{1+\left\{f^{\prime}(x)\right\}^2} dx\)

曲線 \(x=t\) , \(y=g(t)\) と考えると,

\(\displaystyle\frac{dx}{dt}=1\) , \(\displaystyle\frac{dy}{dt}=\displaystyle\frac{dy}{dx}\cdot\displaystyle\frac{dx}{dt}=\displaystyle\frac{dy}{dx}=f^{\prime}(x)\)

となるので,上で求めた

\(L=\displaystyle\int^{\beta}_{\alpha}\sqrt{\left(\displaystyle\frac{dx}{dt}\right)^2+\left(\displaystyle\frac{dy}{dt}\right)^2} dt=\displaystyle\int^{\beta}_{\alpha}\sqrt{\left\{f^{\prime}(t)\right\}^2+\left\{g^{\prime}(t)\right\}^2} dt\)

に代入すると得られる.

2021京大:解答・解説

【2021京都大学・理系・第4問】

曲線 \(y=\log(1+\cos x)\) の \(0≦x≦\displaystyle\frac{\pi}{2}\) の部分の長さを求めよ.

求める曲線の長さを \(L\) とする.

\(y=\log(1+\cos x)\) について,

\(y^{\prime}=\displaystyle\frac{-\sin x}{1+\cos x}\) より

\(1+\left(y^{\prime}\right)^2=1+\displaystyle\frac{\sin^2x}{(1+\cos x)^2}\)

\(=\displaystyle\frac{2+2\cos x}{(1+\cos x)^2}=\displaystyle\frac{2}{1+\cos x}\)

ここで半角の公式から,\(\cos^2\displaystyle\frac{x}{2}=\displaystyle\frac{1+\cos x}{2}\) より

\(1+\left(y^{\prime}\right)^2=\displaystyle\frac{1}{\cos^2\displaystyle\frac{x}{2}}\) であるから

\(0≦x≦\displaystyle\frac{\pi}{2}\) において \(\cos \displaystyle\frac{x}{2}>0\) であるから

\(L=\displaystyle\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}\sqrt{1+\left(y^{\prime}\right)^2} dx=\displaystyle\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}\displaystyle\frac{1}{\cos\frac{x}{2}} dx\)

\(t=\displaystyle\frac{x}{2}\) とおくと

\(L=2\displaystyle\int^{\frac{\pi}{4}}_{0}\displaystyle\frac{1}{\cos t} dt\)

分母分子に \(\cos t\) をかけると

\(L=2\displaystyle\int^{\frac{\pi}{4}}_{0}\displaystyle\frac{\cos t}{\cos^2 t} dt=2\displaystyle\int^{\displaystyle\frac{\pi}{4}}_{0}\displaystyle\frac{\cos t}{1-\sin^2 t} dt\)

\(u=\sin t\) とおくと

\(L=2\displaystyle\int^{\frac{1}{\sqrt{2}}}_{0}\displaystyle\frac{1}{1-u^2} du\)

\(=2\displaystyle\int^{\frac{1}{\sqrt{2}}}_{0}\displaystyle\frac{1}{2}\left(\displaystyle\frac{1}{1-u}+\displaystyle\frac{1}{1+u}\right)du\)

\(=\Bigl[-\log(1-u)+\log(1+u)\Bigr]^{\frac{1}{\sqrt{2}}}_{0}\)

\(=2\log(\sqrt{2}+1)\)

【数学Ⅲ】積分解法手順(フローチャート)まとめ|例題・演習
基本的な積分公式、ルート(根号)、三角関数、指数・対数関数、分数式などの積分のフローチャート。置換積分、部分積分など、基本問題、有名問題を集めました。例題演習としてご利用ください。数学Ⅲ:積分法解放まとめ。定期考査・2次試験対策。過去問演習。

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