【2022九州大学(後期)】
正の整数 \(1 , 2 , 3 , \cdots\) を自然数と呼ぶ.以下の問いに答えよ.
(1) 次の不等式を満たす自然数 \(x\) , \(y\) の組 \((x,y)\) をすべて求めよ.
\(0<\left|\displaystyle\frac{1}{2}-\displaystyle\frac{x}{y}\right|<\displaystyle\frac{1}{y^2}\)
(2) 次の不等式を満たす自然数 \(x\) , \(y\) の組 \((x,y)\) をすべて求めよ.
\(\left|\displaystyle\frac{1}{2}-\displaystyle\frac{x^2}{y^2}\right|<\displaystyle\frac{2}{y^3}\)
整数問題のPoint
まず整数問題すべてに共通して言えるPointは
- 積の形に変形
- 条件から範囲を絞る
- 倍数や余りに注目
まず分母を払った上で、積(因数分解)の形に変形しましょう!
解答・解説
(1) \(0<\left|\displaystyle\frac{1}{2}-\displaystyle\frac{x}{y}\right|<\displaystyle\frac{1}{y^2}\)
\(0<\left|y^2-2xy\right|<2\)
\(y\) は自然数であるから
\(0<y\left|y-2x\right|<2\)
\(y\left|y-2x\right|\) は整数であるから
\(y\left|y-2x\right|=1\)
よって \(y=1\) のみ
このとき \(\left|1-2x\right|=1\)
\(1-2x=\pm1\) \(\iff\) \(x=0,1\)
\(x>0\) より \(x=1\)
したがって,\((x,y)=(1,1)\)
(2) \(\left|\displaystyle\frac{1}{2}-\displaystyle\frac{x^2}{y^2}\right|<\displaystyle\frac{2}{y^3}\)
両辺を \(2y^3\) 倍すると
\(\left|y^3-2x^2y\right|<4\)
\(y\left|y^2-2x^2\right|<4\)
\(y\left|y^2-2x^2\right|\) は \(0\) 以上の整数より
\(y\left|y^2-2x^2\right|=0,1,2,3\)
( ⅰ ) \(y\left|y^2-2x^2\right|=0\) のとき
\(y>0\) より \(y^2-2x^2=0\)
\(y=\sqrt{2}x\)
\(\sqrt{2}=\displaystyle\frac{x}{y}\) となり
これは \(\sqrt{2}\) が無理数であることに矛盾する.
( ⅱ ) \(y\left|y^2-2x^2\right|=1\) のとき
\(y=1\) のみ
このとき,\(\left|1-2x^2\right|=1\)
\(1-2x^2=\pm1\)
\(x^2=0,1\)
\(x>0\) より \(x=1\)
よって,\((x,y)=(1,1)\)
( ⅲ ) \(y\left|y^2-2x^2\right|=2\) のとき
\(y=1\) または \(y=2\)
・\(y=1\) のとき
\(\left|1-2x^2\right|=2\)
\(1-2x^2=\pm2\)
これを満たす自然数 \(x\) は存在しない.
・\(y=2\) のとき
\(2\left|4-2x^2\right|=2\)
\(\left|x^2-2\right|=\displaystyle\frac{1}{2}\)
これを満たす自然数 \(x\) は存在しない.
( ⅳ ) \(y\left|y^2-2x^2\right|=3\) のとき
\(y=1\) または \(y=3\)
・\(y=1\) のとき
\(\left|1-2x^2\right|=3\)
\(1-2x^2=\pm3\)
\(x^2=-1,2\)
これを満たす自然数 \(x\) は存在しない.
・\(y=3\) のとき
\(3\left|9-2x^2\right|=3\)
\(\left|9-2x^2\right|=1\)
\(9-2x^2=\pm1\)
\(x^2=4,5\)
\(x\) は自然数より \(x=2\)
よって,\((x,y)=(2,3)\)
以上より,\((x,y)=(1,1),(2,3)\)
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