2022立命館大学・全学統一方式[文系2/2実施]
2月2日に実施された、立命館大学・全学統一方式(文系)の入試問題【整数問題】です。
文系で数学が苦手な人からすると、パッと見た感じたくさん記号が登場し、難しく見えるかもしれませんが、しっかりと「具体化」や整数問題の極意である「実験」を行うことで、簡単に処理することが出来る問題です。
これからまだ私立受験、国公立2次試験を控える受験生や、数学Aの整数の分野を学習済みの高校1、2年にとってもよい演習問題となります。
このような基本問題をしっかりと勉強し、実力アップをしていきましょう!
考え方・方針の立て方
(a) について
ただただ \(50\) 以下の素数を書き並べることで答えが求まります。
(b) について
下記でも行いますが、具体的に実験を行いましょう!
(c) について
合同式が利用できると、解答がスッキリ&早く処理できます。
新しい記号などに抵抗がある人が多いですが、様々な計算をしなくて済む、便利な道具です。特に整数問題においては必須アイテム!
合同式に不安がある人は、
を確認してみてください。
集合の記号についての確認
集合の表し方について
集合の表し方は2つあります。
① 要素を{ }の中に書き並べる方法
② { }の中に | (縦線)を書き、縦線よりも右側に \(x\) のみたす条件を書く方法
例:\(1\) 桁の偶数の集合 \(A\) は
①の場合は、\(A=\left\{ 2 , 4 , 6 , 8 \right\}\)
②の場合は、\(A=\left\{ 2x | 1≦x≦4 , x は整数 \right\}\)
ちなみにこのとき、集合 \(A\) は \(4\) 個の要素を持つので、\(n(A)=4\) と表せる.
かつ、または、包含関係などの記号
2つの集合 \(A\)、\(B\) に対して、
・上左図の赤の斜線部分を、\(A\cap B\) で表し、共通部分という.
・上右図の赤の斜線部分を、\(A\cup B\) で表し、和集合という.
※\(n(A\cup B)=n(A)+n(B)-n(A\cap B)\) の関係が成り立つ.
右図のような2つの集合 \(A\)、\(B\) に対して、
集合 \(A\) に集合 \(B\) が含まれるとき、
\(A\supset B\) と表す.
また、要素 \(a\) が集合 \(A\) に属し、集合 \(B\) に属さないとき、
\(a\in A\)、\(a\notin B\) と表す.
整数問題の極意は実験!
この問題を見て、特に何も迷うことなく問題が解ける人はスルーしてください。
方針が今一見えない方は、しっかりと実験(具体的な値で考える)をしましょう!
整数問題の多くは、実験をすることで規則や法則、方針や答えが見えてきます。
実験
(b) について
それでは具体的な値で実験をしていきましょう!
例えば、\(k=0\) とすると
\(B_{0}=\left\{q | q=7m , m は整数 \right\}\)
つまり、\(50\) 以下の自然数が全体集合であることに注意すれば、
\(B_{0}=\left\{ 7 , 14 , 21 , 28 , 35 , 42 , 49 \right\}\) となるので、
\(n\left(B_{0}\right)=7\) ( \(7\) 個の要素 ) となる.
このように \(k = 1 , 2 , \cdots\) と調べた上で、最も要素の個数が多いものを求めなさいと言う問題です。
解答
(a)~(c) の解答
まず初めに、自然数 \(1\) ~ \(50\) を下の表のようにまとめる.
(a) 自然数 \(1\) ~ \(50\) の中で素数である数は、上の表の背景を黄色で表した数字であるから、
\(n(A)=15\)
(b) 上の表より、\(1\) 段目 ( \(k=1\) ) のとき、最も要素の個数が多くなる.
したがって、\(n(B_{k})\) が最大となる \(k=1\)
\(k=1\) のとき
\(n(B_{1})=8\)、\(n(A\cap B_{1})=2\)、また (a) の結果と
\(n(A\cup B_{1})=n(A)+n(B_{1})-n(A\cap B_{1})\) より
\(n(A\cup B_{1})=15+8-2=21\)
(c) \(x\in B_{3}\)、\(y\in B_{5}\) より、整数 \(s , t\) を用いて、
\(x=7s+3\)、\(y=7t+5\) とおくことができる.
\(x\times y=(7s+3)(7t+5)=7(7st+5s+3t+2)+1\) であるから、
\(x\times y\) を \(7\) で割った余りは \(1\)
上と同じように、
\(x\in B_{3}\) より \(x=7s+3\) とおき、
\(a\) が \(B_{1}\)、\(B_{2}\)、\(B_{3}\)、・・・と1つ1つ確認すれば答えは求まる.
しかしこれはなかなか大変であるので、ここで合同式を利用して解答を作成する.
(c) について:合同式を利用した解答
以下すべて、mod 7 として考える.
\(x\in B_{3}\)、\(y\in B_{5}\) より、
\(x≡3\)、\(y≡5\) であるから、
\(xy≡3\times 5=15≡1\)
したがって、\(x\times y\) を \(7\) で割った余りは \(1\)
\(x\in B_{3}\) より \(x≡3\)
・\(a≡1\) のとき \(ax≡3\) となり条件を満たす.
・\(a≡2\) のとき \(ax≡6\) となり条件を満たさない.
・\(a≡3\) のとき \(ax≡9≡2\) となり条件を満たさない.
・\(a≡4\) のとき \(ax≡12≡5\) となり条件を満たさない.
・\(a≡5\) のとき \(ax≡15≡1\) となり条件を満たさない.
・\(a≡6\) のとき \(ax≡18≡4\) となり条件を満たさない.
・\(a≡0\) のとき \(ax≡0\) となり条件を満たさない.
したがって、条件を満たすのは \(a≡1\) のとき
つまり、\(k=1\) を満たす中の素数を考えればよいので、
求める \(a\) の値は、\(a = 29 , 43\)
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