【2023お茶の水女子大学・理・第1問】
\(3\) 進法で表すと \(5\) 桁となるような自然数全体の集合を \(X\) とする.また,\(X\) に含まれる自然数 \(x\) に対して,\(x\) を \(3\) 進法で \(abcde_{(3)}\) と表すときの各桁の総和 \(a+b+c+d+e\) を \(S(x)\) とおく.例えば,\(10\) 進数 \(86\) は \(3\) 進法で \(10012_{(3)}\) と表されるため,\(S(86)=1+0+0+1+2=4\) である.
(1) \(10\) 進数 \(199\) を \(3\) 進法で表し,\(S(199)\) を求めよ.
(2) \(X\) の要素の個数を求めよ.
(3) \(X\) から \(1\) つ要素を選び,さらに,各面に \(1\),\(2\),\(3\),\(4\),\(5\),\(6\) の数字の \(1\) つずつが重複なく書かれた \(1\) 個のさいころを \(1\) 回投げる.ただし,\(X\) のどの要素が選ばれる確率も同じであるとする.選ばれた \(X\) の要素を \(x\),でためのさいころの数字を \(r\) とおいたとき,次の確率を求めよ.
( ⅰ ) \(x≧162\) かつ等式 \(S(x)=r\) が成り立つ確率.
( ⅱ ) \(x\) が \(9\) の倍数であって \(r\) が奇数であったときに,等式 \(S(x)=r\) が成り立つ確率.
解答・解説
(1) \(10\) 進数 \(199\) を \(3\) 進法で表し,\(S(199)\) を求めよ.
\(199=2\cdot 3^4+1\cdot 3^3+1\cdot 3^2+0\cdot 3+1\) より
\(10\) 進数の \(199\) を \(3\) 進法で表すと, \(21101_{(3)}\)
また,\(S(199)=2+1+1+0+1=5\)
(2) \(X\) の要素の個数を求めよ.
\(X\) に含まれる自然数 \(x\) は \(3\) 進法で表すと \(5\) 桁となるので \(3^4≦x<3^5\)
よって,\(3^5-3^4=162\) 個
(3)( ⅰ ) \(x≧162\) かつ等式 \(S(x)=r\) が成り立つ確率.
\(162=2\cdot 3^4+0\cdot 3^3+0\cdot 3^2+0\cdot 3+0\) より
\(x≧162\) \(\iff\) \(x≧20000_{(3)}\)
よって \(x=abcde_{(3)}\) と表すとき,\(a=2\)
(ア) \(r=1\) のとき
\(a=2\) より \(S(x)≧2\) なので \(r=1\) とならない.
(イ) \(r=2\) のとき
\(a=2\) かつ \(S(x)=2\) となるのは,\(x=20000_{(3)}\) の \(1\) 通り
(ウ) \(r=3\) のとき
\(a=2\) かつ \(S(x)=3\) となるのは,
\(\left\{b,c,d,e\right\}=\left\{1,0,0,0\right\}\) のときであるので, \(4\) 通り
(エ) \(r=4\) のとき
\(a=2\) かつ \(S(x)=4\) となるのは,
\(\left\{b,c,d,e\right\}=\left\{2,0,0,0\right\},\left\{1,1,0,0\right\}\) のときであるので,
\(4+\displaystyle\frac{4!}{2!2!}=10\) 通り
(オ) \(r=5\) のとき
\(a=2\) かつ \(S(x)=5\) となるのは,
\(\left\{b,c,d,e\right\}=\left\{2,1,0,0\right\},\left\{1,1,1,0\right\}\) のときであるので,
\(\displaystyle\frac{4!}{2!}+\displaystyle\frac{4!}{3!}=16\) 通り
(カ) \(r=6\) のとき
\(a=2\) かつ \(S(x)=6\) となるのは,
\(\left\{b,c,d,e\right\}=\left\{2,2,0,0\right\},\left\{2,1,1,0\right\},\left\{1,1,1,1\right\}\) のときであるので,
\(\displaystyle\frac{4!}{2!2!}+\displaystyle\frac{4!}{2!}+1=19\) 通り
(ア)〜(カ)より \(1+4+10+16+19=50\) 通り
したがって求める確率は,\(\displaystyle\frac{1}{6}\times \displaystyle\frac{1}{162}\times 50=\displaystyle\frac{25}{486}\)
(3)( ⅱ ) \(x\) が \(9\) の倍数であって \(r\) が奇数のときに,等式 \(S(x)=r\) が成り立つ確率.
\(x\) が \(9\) の倍数となるとき,\(d=e=0\)
よって \(a=1,2\),\(b,c\) は \(0\),\(1\),\(2\) のいずれかであるから,
\(x\) が \(9\) の倍数となるのは,\(2\times 3\times 3=18\) 通り
ゆえに \(x\) が \(9\) の倍数となる確率は \(\displaystyle\frac{18}{162}=\displaystyle\frac{1}{9}\) より
\(x\) が \(9\) の倍数かつ \(r\) が奇数となる確率は \(\displaystyle\frac{1}{9}\times \displaystyle\frac{1}{2}=\displaystyle\frac{1}{18}\)
次に,\(x\) が \(9\) の倍数かつ \(r\) が奇数かつ \(S(x)=r\) となる確率について.
(ア) \(r=1\) のとき
\(S(x)=1\) となるのは \(x=10000_{(3)}\) の \(1\) 通り
(イ) \(r=3\) のとき
\(S(x)=3\) となるのは
\(x=11100_{(3)},21000_{(3)},12000_{(3)},20100_{(3)},10200_{(3)}\) の \(5\) 通り
(ウ) \(r=5\) のとき
\(S(x)=5\) となるのは
\(x=22100_{(3)},21200_{(3)},12200_{(3)}\) の \(3\) 通り
(ア)〜(ウ)より \(x\) が \(9\) の倍数かつ \(r\) が奇数かつ \(S(x)=r\) となる確率は
\(\displaystyle\frac{1}{6}\times \displaystyle\frac{1}{162}+\displaystyle\frac{1}{6}\times \displaystyle\frac{5}{162}+\displaystyle\frac{1}{6}\times \displaystyle\frac{3}{162}=\displaystyle\frac{1}{108}\)
したがって求める条件付き確率は
\(\displaystyle\frac{\frac{1}{108}}{\frac{1}{18}}=\displaystyle\frac{1}{6}\)
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