【問題】
\(p\)、\(q\) は素数で、\(p<q\) とする.
\(\displaystyle\frac{1}{p}+\displaystyle\frac{1}{q}=\displaystyle\frac{1}{r}\) を満たす整数 \(r\) は存在しないことを示せ.
考え方
背理法の利用
\(\displaystyle\frac{1}{p}+\displaystyle\frac{1}{q}=\displaystyle\frac{1}{r}\) を満たす整数 \(r\) が存在ると仮定して矛盾を導こう!
背理法については以下を参考に
整数問題 & 素数について
整数問題のPoint
まず整数問題すべてに共通して言えるPointは
- 積の形に変形
- 条件から範囲を絞る
- 倍数や余りに注目
整数問題の多くが、上の1から3のいずれかで処理できます。
「素数」は積の形に弱い!
例:仮に素数 \(p\) に対して、\(p=ab\) の形に式変形をすることが出来れば、
\(a=1\) または \(b=1\) である必要がある.
解答(その1)
\(p\)、\(q\) は素数で、\(p<q\) とする.
\(\displaystyle\frac{1}{p}+\displaystyle\frac{1}{q}=\displaystyle\frac{1}{r}\) を満たす整数 \(r\) は存在しないことを示せ.
\(\displaystyle\frac{1}{p}+\displaystyle\frac{1}{q}=\displaystyle\frac{1}{r}\) ・・・ ①
を満たす整数 \(r\) が存在すると仮定する.
このとき、① を \(pqr\) 倍すると
\(r(p+q)=pq\) ・・・ ②
\(p\)、\(q\) は素数だから、
\(r = 1 , p , q , pq\)
・\(r=1\) のとき
②より、\(p+q=pq\)
\(p(q-1)=q\)
\(p≧2\)、\(q-1≧2\) であるから、これは \(q\) が素数であることに反する.
・\(r=p\) のとき
②より、\(p+q=q\)
よって \(p=0\) となり、これは \(p\) が素数であることに反する.
・\(r=q\) のとき
②より、\(p+q=p\)
よって \(q=0\) となり、これは \(q\) が素数であることに反する.
・\(r=pq\) のとき
②より、\(p+q=1\)
これは \(p≧2\)、\(q≧3\) に反する.
以上から、①を満たす整数 \(r\) は存在しない
解答(その2)・考え方
\(a\) と \(b\) が互いに素のとき
\(a\) と \(b\) が互いに素
\(\iff\) \(a+b\) と \(ab\) が互いに素
《証明》
\(a\) と \(b\) が互いに素であるとする.
このとき、\(a+b\) と \(ab\) が互いに素でないと仮定すると、
\(\begin{cases}a+b=Ap・・・(ア)\\ab=Bp ・・・(イ)\end{cases}\)
(\(A\)、\(B\) は整数)
を満たす素数 \(p\) が存在する.
(イ)より、\(a\)、\(b\) の一方は \(p\) の倍数であるから、仮に \(a=kp\) とおくと、
(ア)より、\(kp+b=Ap\)
\(b=p(A-k)\)
このとき \(b\) も \(p\) の倍数となる.
これは \(a\) と \(b\) が互いに素であることに矛盾する.
したがって、
\(a\) と \(b\) が互いに素 \(\iff\) \(a+b\) と \(ab\) が互いに素
解答(その2)
\(p\)、\(q\) は素数で、\(p<q\) とする.
\(\displaystyle\frac{1}{p}+\displaystyle\frac{1}{q}=\displaystyle\frac{1}{r}\) を満たす整数 \(r\) は存在しないことを示せ.
\(\displaystyle\frac{1}{p}+\displaystyle\frac{1}{q}=\displaystyle\frac{1}{r}\) より
\(r=\displaystyle\frac{pq}{p+q}\) ・・・ ①
\(p\)、\(q\) は素数で、\(p<q\) より
\(p\)、\(q\) は互いに素である.
ゆえに、\(p+q\) と \(pq\) も互いに素であるので、①を満たす \(r\) が存在すると仮定すると、
\(p+q=1\) ・・・②
しかし、②を満たす素数\(p\)、\(q\) は存在しない.
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