【2023関西医科大学(後期)医学部・第2問】
\(2\) つの関数を \(f(x)=x^2(x+1)^2(x-1)^2\) ,\(g(x)=x^2+1\) とおく.\(f(x)\) を \(g(x)\) で割ったときの商を \(Q\),余りを \(R\) とするとき,以下の設問に答えよ.
(1) \(0≦x≦1\) における \(y=f(x)\) の値域を求めよ.
(2) \(Q\) と \(R\) を求めよ.
(3) \(\displaystyle\int^{1}_{0} \displaystyle\frac{R}{g(x)}dx\) を求めよ.
(4) 円周率が \(3.2\) より小さいことを証明せよ.
解答・解説
(1) \(0≦x≦1\) における \(y=f(x)\) の値域を求めよ.
\(f(x)=x^2(x+1)^2(x-1)^2=(x^3-x^2)^2\) より
\(f^{\prime}(x)=2(x^3-x)(3x^2-1)=2x(x+1)(x-1)(3x^2-1)\)
より,\(f^{\prime}(x)=0\) のとき
\(x=0,\pm 1,\pm\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\)
\(0≦x≦1\) における増減表は次のようになる
\(x\) | \(0\) | ・・・ | \(\displaystyle\frac{1}{\sqrt{3}}\) | ・・・ | \(1\) |
\(f^{\prime}(x)\) | \(0\) | + | \(0\) | ー | \(0\) |
\(f(x)\) | \(0\) | ↗️ | \(\displaystyle\frac{4}{27}\) | ↘️ | \(0\) |
したがって \(0≦x≦1\) における \(y=f(x)\) の値域は \(0≦y≦\displaystyle\frac{4}{27}\)
(2) \(Q\) と \(R\) を求めよ.
\(f(x)=g(x)(x^4-3x^2+4)-4\) より
\(Q=x^4-3x^2+4\),\(R=-4\)
(3) \(\displaystyle\int^{1}_{0} \displaystyle\frac{R}{g(x)}dx\) を求めよ.
\(\displaystyle\int^{1}_{0}\displaystyle\frac{R}{g(x)} dx=-4\displaystyle\int^{1}_{0}\displaystyle\frac{1}{x^2+1} dx\)
\(x=\tan \theta\) \(\left(-\displaystyle\frac{\pi}{2}< \theta<\displaystyle\frac{\pi}{2}\right)\) とおくと,
\(dx=\displaystyle\frac{1}{\cos^2 \theta}d \theta\),
\(x\):\(0\) \(\rightarrow\) \(1\) のとき,\(\theta\):\(0\) \(\rightarrow\) \(\displaystyle\frac{\pi}{4}\) なので
(与式)\(=-4\displaystyle\int^{\frac{\pi}{4}}_{0}\displaystyle\frac{1}{\tan^2\theta+1}\cdot\displaystyle\frac{1}{\cos^2\theta}d\theta\)
\(1+\tan^2\theta=\displaystyle\frac{1}{\cos^2\theta}\) より
(与式)\(=-4\displaystyle\int^{1}_{0} d \theta\)
\(=-4\Bigl[ \theta \Bigr]^{\frac{\pi}{4}}_{0}\)
\(=-\pi\)
(4) 円周率が \(3.2\) より小さいことを証明せよ.
(2)より
\(\displaystyle\frac{f(x)}{g(x)}=Q+\displaystyle\frac{R}{g(x)}\) なので
\(\displaystyle\int^{1}_{0}\displaystyle\frac{f(x)}{g(x)}dx=\displaystyle\int^{1}_{0}(x^4-3x^2+4) dx+\displaystyle\int^{1}_{0}\displaystyle\frac{R}{g(x)} dx\)
(3)の結果から
\(\displaystyle\int^{1}_{0}\displaystyle\frac{f(x)}{g(x)}dx=\Bigl[\displaystyle\frac{1}{5}x^5-x^3+4x\Bigr]^{1}_{0}-\pi\)
\(=\displaystyle\frac{16}{5}-\pi=3.2-\pi\) ・・・①
ここで,\(0≦x≦1\) において \(f(x)≧0\) ,\(g(x)>0\) より
\(\displaystyle\frac{f(x)}{g(x)}≧0\)
よって,\(\displaystyle\int^{1}_{0}\displaystyle\frac{f(x)}{g(x)} dx>0\) ・・・②
①,②より,\(3.2-\pi>0\) \(\iff\) \(\pi<3.2\)
したがって,円周率は \(3.2\) より小さい.
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