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【2023九州大学・理系・第2問】数列(漸化式)の収束、発散について

数列

【2023九州大学・理系・第2問】

\(\alpha\) を実数とする.数列 \(\left\{a_{n}\right\}\) が

\(a_{1}=\alpha\) ,\(a_{n+1}=|a_{n}-1|+a_{n}-1\) ( \(n=1,2,3,\cdots\cdots\) )

で定められるとき,以下の問いに答えよ.

(1) \(\alpha≦1\) のとき,数列 \(\left\{a_{n}\right\}\) の収束,発散を調べよ.

(2) \(\alpha>2\) のとき,数列 \(\left\{a_{n}\right\}\) の収束,発散を調べよ.

(3) \(1<\alpha<\displaystyle\frac{3}{2}\) のとき,数列 \(\left\{a_{n}\right\}\) の収束,発散を調べよ.

(4) \(\displaystyle\frac{3}{2}≦\alpha<2\) のとき,数列 \(\left\{a_{n}\right\}\) の収束,発散を調べよ.

考え方・方針の立て方について

具体的に実験

以前学習した「【漸化式】有名・頻出13パターン解法まとめ|数学B数列」の中には,絶対値が入った漸化式はなかったのでどうしたら・・・

基本パターンの漸化式ではありませんね!

絶対値については原則として場合分けをしなければいけませんので、 \(n=1,2,3,\cdots\) と具体的に代入してみて,実験から方針を立てましょう!

困った時は具体的に実験!大切です!

\(a_{n+1}=|a_{n}-1|+a_{n}-1\) ・・・① に \(n=1\) を代入すると

\(a_{2}=|a_{1}-1|+a_{1}-1=|\alpha-1|+\alpha-1\)

( ⅰ ) \(\alpha≦1\) のとき

\(a_{2}=-(\alpha-1)+\alpha-1=0\)

さらに①に \(n=2\) を代入すると

\(a_{3}=|a_{2}-1|+a_{2}-1=|0-1|+0-1=0\)

あっ!!このあとは同じことを繰り返すので,

\(a_{n}=0\) になりますね!

( ⅱ ) \(\alpha>1\) のとき

\(a_{2}=(\alpha-1)+\alpha-1=2(\alpha-1)\)

さらに①に \(n=2\) を代入すると

\(a_{3}=|a_{2}-1|+a_{2}-1=|2(\alpha-1)-1|+2(\alpha-1)-1=|2\alpha-3|+2\alpha-3\)

さらに \(\alpha\) が \(\displaystyle\frac{3}{2}\) より大きいか小さいかで場合分けが必要になりますね!

つまり,(3)や(4)の問題の条件が見えてきます!

実験はここでストップしますが,まだ方針が見えなければ \(\alpha≧\displaystyle\frac{3}{2}\) ,\(\alpha<\displaystyle\frac{3}{2}\) について場合分けしてみましょう!

解答・解説

(1) \(\alpha≦1\) のとき,\(\left\{a_{n}\right\}\) の収束,発散

\(\alpha≦1\) のとき \(n≧2\) の自然数 \(n\) において \(a_{n}=0\) であることを数学的帰納法を用いて証明する.

( ⅰ ) \(n=2\) のとき

\(a_{2}=|a_{1}-1|+a_{1}-1=|\alpha-1|+\alpha-1\)

\(\alpha≦1\) より \(a_{2}=0\)

( ⅱ ) \(n=k\) のとき,\(a_{k}=0\) と仮定する

\(a_{k+1}=|a_{k}-1|+a_{k}-1=|0-1|+0-1=0\)

( ⅰ ),( ⅱ )より,\(n≧2\) の自然数 \(n\) において \(a_{n}=0\)

したがって,数列 \(\left\{a_{n}\right\}\) は \(0\) に収束する.

(2) \(\alpha>2\) のとき,\(\left\{a_{n}\right\}\) の収束,発散

\(\alpha>2\) のとき すべての自然数 \(n\) において \(a_{n}>2\) であることを数学的帰納法を用いて証明する.

( ⅰ ) \(n=1\) のとき

\(a_{1}=\alpha>2\)

( ⅱ ) \(n=k\) のとき,\(a_{k}>2\) と仮定する

\(a_{k+1}=|a_{k}-1|+a_{k}-1=2(a_{k}-1)\)

\(a_{k}>2\) より \(a_{k}-1>1\) より \(a_{k+1}=2(a_{k}-1)>2\)

( ⅰ ),( ⅱ )より,\(n≧2\) の自然数 \(n\) において \(a_{n}>2\)

したがって,\(a_{n+1}=|a_{n}-1|+a_{n}-1\)

\(\iff\) \(a_{n+1}=2(a_{n}-1)\)

\(\iff\) \(a_{n+1}-2=2(a_{n}-1)\)

数列 \(\left\{a_{n}-2\right\}\) は初項が \(\alpha-2\) ,公比が \(2\) の等比数列なので

\(a_{n}-2=(\alpha-2)\cdot 2^{n-1}\)

よって \(a_{n}=(\alpha-2)\cdot 2^{n-1}+2\)

\(\alpha-2>0\) より数列 \(\left\{a_{n}\right\}\) は正の無限大に発散する.

(3) \(1<\alpha<\displaystyle\frac{3}{2}\) のとき,\(\left\{a_{n}\right\}\) の収束,発散

\(1<\alpha<\displaystyle\frac{3}{2}\) のとき

\(a_{2}=2(\alpha-1)\) となり \(0<a_{2}<1\) となるので,

(1)の結果を利用すると,\(n≧3\) の自然数において \(a_{n}=0\)

したがって,数列 \(\left\{a_{n}\right\}\) は \(0\) に収束する.

(4) \(\displaystyle\frac{3}{2}≦\alpha<2\) のとき,\(\left\{a_{n}\right\}\) の収束,発散

\(\displaystyle\frac{3}{2}≦\alpha<2\) のとき

すべての自然数 \(n\) で \(a_{n}>1\) となると仮定すると,

\(a_{n+1}=2(a_{n}-1)\) となり(2)の結果を利用すると

\(a_{n}=(\alpha-2)\cdot 2^{n-1}+2\)

\(\displaystyle\frac{3}{2}≦\alpha<2\) のとき

\(\alpha-2<0\) より数列 \(\left\{a_{n}\right\}\) は負の無限大に発散となるが,

これは \(a_{n}>1\) であることに矛盾する.

したがって,ある自然数 \(n\) に対して \(a_{n}≦1\) となり,

(1)の結果から数列 \(\left\{a_{n}\right\}\) は \(0\) に収束する.

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