【問題10】2004 京都大学
複素数 \(\alpha\) に対してその共役な複素数を \(\overline{\alpha}\) で表す.
\(\alpha\) を実数でない複素数とする.複素数平面内の円 \(C\) が \(1\)、\(-1\)、\(\alpha\) を通るならば、\(C\) は \(-\displaystyle\frac{1}{\overline{\alpha}}\) も通ることを示せ.
ここでは、数学Ⅲで学習する複素数平面について、実践問題(入試問題)を使って、ポイント(考え方)まとめをしていきます。
正直に言いますと、教科書をやっただけでは、入試レベルの問題に対応するのは難しいです。
ですから、教科書と入試レベルの橋渡しとして、過去に出題された入試問題を例に、複素数平面においておさえておきたい(入試でよく出る考え方)をまとめていきます。
基本的な考え方をしっかりと身に付け、2次試験で得点源にできるようにしていきましょう!
考え方
証明問題全般に言えること
証明問題において、方針が見えない、途中で手が止まった場合については、示したいことを言い換える(ゴールから逆算する)ことを意識しましょう!
方針・考え方
円 \(C\) が \(1\)、\(-1\) を通る
☞ \(1\)、\(-1\) の垂直二等分線上に円 \(C\) の中心がある
☞ 円 \(C\) の中心は実数 \(k\) を用いて、\(( 0 , ki )\) とおける.
このとき、(ゴールからの逆算)
\(2\) 点 \(ki\) と \(-\displaystyle\frac{1}{\overline{\alpha}}\) の距離が、
\(2\) 点 \(ki\) と \(1\) の距離に等しいことが示せたら、\(C\) は \(-\displaystyle\frac{1}{\overline{\alpha}}\) も通ることを示すことができる.
つまり、\(\left| -\displaystyle\frac{1}{\overline{\alpha}}-ki \right|=| 1-ki |\) を示せばよい.
さらにゴールからの逆算を続けます。
\(\left| -\displaystyle\frac{1}{\overline{\alpha}}-ki \right|^2=| 1-ki |^2\)
\(\iff \left(-\displaystyle\frac{1}{\overline{\alpha}}-ki\right)\left(-\displaystyle\frac{1}{\alpha}+ki\right)=(1-ki)(1+ki)\)
展開して式を整理すると
\(\alpha\cdot\overline{\alpha}+k\alpha i-k\overline{\alpha}i-1=0\) を示せばよい!
👆 示したいことを言い換えて、ゴールをすり替えた!
あとは問題の中で使っていない条件から、この関係式を頑張って導けばよい。
☞ まだ使っていない条件としては、\(\alpha\) が円 \(C\) 上にあること
解答
円 \(C\) が \(1\)、\(-1\) を通るので、円 \(C\) の中心は、
\(1\)、\(-1\) の垂直二等分線上にある.
よって、円 \(C\) の中心は実数 \(k\) を用いて、\(( 0 , ki )\) とおける.
\(C\) が \(-\displaystyle\frac{1}{\overline{\alpha}}\) を通ることを示すためには、
\(2\) 点 \(ki\) と \(-\displaystyle\frac{1}{\overline{\alpha}}\) の距離が、
\(2\) 点 \(ki\) と \(1\) の距離に等しいことが示せればよい.
つまり、\(\left| -\displaystyle\frac{1}{\overline{\alpha}}-ki \right|=| 1-ki |\) を示せばよいので、
\(\left| -\displaystyle\frac{1}{\overline{\alpha}}-ki \right|^2=| 1-ki |^2\)
\(\iff \left(-\displaystyle\frac{1}{\overline{\alpha}}-ki\right)\left(-\displaystyle\frac{1}{\alpha}+ki\right)=(1-ki)(1+ki)\)
展開して式を整理すると
\(\alpha\cdot\overline{\alpha}+k\alpha i-k\overline{\alpha}i-1=0\) ・・・①を示すことが出来ればよい.
ここで、\(\alpha\) は円 \(C\) 上の点であるから、
\(| 1-ki |=| \alpha-ki |\) より
\((1-ki)(1+ki)=(\alpha-ki)(\overline{\alpha}+ki)\)
\(1+k^2=\alpha\cdot\overline{\alpha}+k\alpha i-k\overline{\alpha} i+k^2\)
よって、\(\alpha\cdot\overline{\alpha}+k\alpha i-k\overline{\alpha} i-1=0\)
したがって、①が成立するので、題意は示された.
別解
考え方:4点が同一円周上にある
4点が同一円周上にあるためには
① 円周角の定理の逆が成立
② 体角の和が180°
③ 方べきの定理の逆が成立
別解:解答
\(\alpha=| \alpha |(\cos \theta+i\sin \theta)\) とおく.
\(\displaystyle\frac{1}{\alpha}=\displaystyle\frac{1}{| \alpha |}\left\{\cos (-\theta)+i\sin (-\theta)\right\}=\displaystyle\frac{1}{| \alpha |}(\cos \theta-i\sin \theta)\) なので、
\(\displaystyle\frac{1}{\overline{\alpha}}=\displaystyle\frac{1}{| \alpha |}(\cos \theta+i\sin \theta)\)
\(-\displaystyle\frac{1}{\overline{\alpha}}=-\displaystyle\frac{1}{| \alpha |}(\cos \theta+i\sin \theta)\)
ここで、\(O( 0 )\)、\(A ( 1 )\)、\(B ( -1 )\)、\(C (\alpha)\)、\(D \left(-\displaystyle\frac{1}{\overline{\alpha}}\right)\) とおく.
\(OA\times OB=1\times 1=1\)
\(OC\times OD=| \alpha |\times \displaystyle\frac{1}{| \alpha |}=1\)
よって、\(OA\times OB=OC\times OD\) となり、方べきの定理の逆が成り立つので、4点 \(A\)、\(B\)、\(C\)、\(D\) は同一円周上にある.
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