【2007佐賀大学・文化教育(前)】
次の命題について、真ならば証明し、偽ならば反例をあげよ.
(1) 有理数と有理数の和は有理数である.
(2) 無理数と無理数の和は無理数である.
(3) 無理数と無理数の積は無理数である.
(4) 無理数の無理数乗は無理数である.
命題の真偽について
命題の真偽を苦手とする生徒は非常に多い・・・。
命題の真偽が正しく判断できるようになるためには、
① 有名な真偽問題・反例を覚える(経験する)
② 数学の底力を上げる
の2つが必要です。
①について。
命題の真偽の問題については、正直知らないと思い付かないような有名問題がいくつか存在します。
そのような問題については、経験しておかないと初見で正しい判断をすることは非常に難しいです。
今回の問題も、ぜひ経験しておいてほしい問題の1つです。
②について。
命題の真偽が苦手だからと命題の演習ばかりしてても、命題の問題ができるようになるわけではなりません。実際に命題の真偽で問われる問題は、数学全範囲から出題されることが多いため、数学の総合力が必要になります。ですから、命題の真偽の勉強はとりあえず後回しにして、他分野の基礎をしっかりと固めることが大切です!そうすると、気がついたら命題の真偽の正答率もアップします。
(1) 有理数と有理数の和は有理数?
答えは、『 真 』
《証明》
整数 \(a\)、\(b\)、\(c\)、\(d\) ( ただし、\(b\not=0\)、\(d\not=0\) )について、\(2\) つの有理数 \(\displaystyle\frac{a}{b}\)、\(\displaystyle\frac{c}{d}\) を考える.
\(\displaystyle\frac{a}{b}+\displaystyle\frac{c}{d}=\displaystyle\frac{ad+bc}{bd}\)
\(ad+bc\)、\(bd\) はともに整数であるから、\(\displaystyle\frac{a}{b}+\displaystyle\frac{c}{d}\) は有理数となる.
(2) 無理数と無理数の和は無理数?
答えは、『 偽 』
《反例》
\(2\) つの無理数 \(\sqrt{2}\)、\(-\sqrt{2}\) を考えると、これらの \(2\) つの和は \(0\) となり、有理数となる.
(3) 無理数と無理数の積は無理数?
答えは、『 偽 』
《反例》
\(2\) つの無理数 \(\sqrt{2}+1\)、\(\sqrt{2}-1\) を考えると、これらの \(2\) つの積は
\((\sqrt{2}+1)(\sqrt{2}-1)=1\) となり、有理数となる.
(4) 無理数の無理数乗は無理数?
解法①
\(\sqrt{2}^{\sqrt{2}}\) が有理数と仮定すると,これが反例となり偽である.
\(\sqrt{2}^{\sqrt{2}}\) が無理数と仮定すると,
\(\left(\sqrt{2}^{\sqrt{2}}\right) ^{\sqrt{2}}=\sqrt{2}^2=2\)
よってこれが反例となり偽である.
解法②
答えは、『 偽 』
《反例》
\(2\) つの無理数 \(\sqrt{2}\)、\(\log_{2}{9}\) を考えると、
\(\sqrt{2}^{\log_{2}{9}}=2^{\frac{1}{2}\log_{2}{9}}=2^{\log_{2}{3}}=3\)となり、有理数となる.
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