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2003東京大学・文理共通(一部)[第4問整数・数列] 対称式、1の位、合同式

東京大学

【2003東京大学・第4問・文理共通(一部)】

\(2\) 次方程式 \(x^2-4x-1=0\)  の \(2\) つの実数解のうち大きいものを \(\alpha\)、小さいものを \(\beta\) とする.

\(n = 1 , 2 , 3 , \cdots\)  に対し、\(s_{n}=\alpha^n+\beta^n\) とおく.

(1) \(s_{1}\)、\(s_{2}\)、\(s_{3}\) を求めよ.また、\(n≧3\) に対し、\(s_{n}\) を \(s_{n-1}\) と \(s_{n-2}\) で表せ.

(2) \(\beta^3\) 以下の最大の整数を求めよ.

(3) \(\alpha^{2003}\) 以下の最大の整数の \(1\) の位の数を求めよ.

(1) 考え方・方針の立て方・解答

解と係数の関係

\(ax^2+bx+c=0\) の2解が \(x = \alpha , \beta \) のとき、

\(\alpha + \beta = -\displaystyle\frac{b}{a}\)、\(\alpha \beta = \displaystyle\frac{c}{a}\)

 

おえておきたい対称式関係の公式

・\(p^2+q^2=(p+q)^2-2pq\)

・\(p^3+q^3=(p+q)^3-3pq(p+q)\)

・\(p^{n+1}+q^{n+1}=(p+q)(p^n+q^n)-pq(p^{n-1}+q^{n-1})\)

※数学的帰納法(2段仮定)とセットでよく使用します!この関係式は絶対に覚えておきましょう!(または自分で導けるように!)

 

(1) 解答

解と係数の関係から、\(\alpha+\beta=4\)、\(\alpha\beta=-1\)

\(s_{1}=\alpha+\beta=4\)

\(s_{2}=\alpha^2+\beta^2=(\alpha+\beta)^2-2\alpha\beta=18\)

\(s_{3}=\alpha^3+\beta^3=(\alpha+\beta)^3-3\alpha\beta(\alpha+\beta)=76\)

\(\alpha^{n}+\beta^{n}=(\alpha+\beta)(\alpha^{n-1}+\beta^{n-1})-\alpha\beta(\alpha^{n-2}+\beta^{n-2})\) より

\(s_{n}=4s_{n-1}+s_{n-2}\)

(2) 考え方・方針の立て方・解答

解法Ⅰ:地道に頑張る

\(2\) 次方程式 \(x^2-4x-1=0\)  の \(2\) つの実数解のうち小さいものが \(\beta\) であるから、

\(\beta=2-\sqrt{5}\)、\(\beta^2-4\beta-1=0\) が成り立つ.

\(\beta^2-4\beta-1=0\) より、

\(\beta^2=4\beta+1\) なので、

\(\beta^3=4\beta^2+\beta=4(4\beta+1)+\beta=17\beta+4\)

したがって、\(\beta^3=17(2-\sqrt{5})+4=38-17\sqrt{5}\)

\(17\sqrt{5}=\sqrt{1445}\) で、

\(38=\sqrt{1444}<\sqrt{5}<\sqrt{1521}=39\) より

\(-1<\beta^3<0\)

ゆえに、\(\beta^3\) 以下の最大の整数は \(-1\)

 

解法Ⅱ:(3)に繋げるために

上の解法Ⅰでも当然答えは求まるため悪くはない.

しかし、地道に計算する方法では、さすがに \(\alpha^{2003}\) は・・・

つまり、(2)の考え方、答えをどのように(3)に繋げるかを考えて解答を改めて考える。

【解答】

\(\beta=2-\sqrt{5}\) 、\(2<\sqrt{5}<3\) より

\(-1<\beta<0\) となる.

よって、\(-1<\beta^3<0\)

 

※非常に単純であるが、意外と気がつかない.

もちろん最初から気が付ければそれが理想的であるが、私は最初はとりあえず地道に答えを捕まえた.(数学的発想が乏しい自分が悲しくなります・・・しかし、数学的な発想力が乏しくても、実験から答えを導いていくことは出来る!)

その上で、次につなげるためにと考え、上の別解を考えた.このことから、\(-1<\beta^{2003}<0\) であることも簡単に言えるため、(3)につながる.

(3) 考え方・方針の立て方・解答

\(s_{2003}=\alpha^{2003}+\beta^{2003}\) より、

\(\alpha^{2003}=s_{2003}-\beta^{2003}\) ・・・①

また(2)の結果から、\(-1<\beta^{2003}<0\) ・・・②

①、②より、\(s_{2003}<\alpha^{2003}<s_{2003}+1\)

また(1)の結果から、\(s_{n}\) は自然数であるから

参考:数学的帰納法(2段仮定)

\(s_{n}\) は自然数であることを、数学的帰納法(2段仮定)を用いて証明する.

(ⅰ) \(n = 1 , 2\) のとき

\(s_{1}=4\)、\(s_{2}=18\) なので自然数となる.

(ⅱ) \(k≧3\) で \(n = k-2 , k-1\) のとき

\(s_{n}\) が自然数であると仮定する.

つまり、\(s_{k-2}\)、\(s_{k-1}\) が自然数と仮定する.

(1)より \(s_{k}=4s_{k-1}+s_{k-2}\) なので、

\(s_{k}\) は自然数となる.

(ⅰ)、(ⅱ)より、\(s_{n}\) は自然数となる.

 

※この証明は、覚えてもいいぐらいの超有名問題!

数学的帰納法(2段仮定)については、

【差がつく・頻出】数学的帰納法(2段仮定)・対称式

を確認しましょう!

\(\alpha^{2003}\) 以下の最大の整数は、\(s_{2003}\) である.

1の位 ⇒ mod 10 で考える

以下、mod 10 として考える.

\(s_{1}=4\)、\(s_{2}=18≡8\)、\(s_{3}=76≡6\) 、

\(s_{n}=4s_{n-1}+s_{n-2}\) より、

\(s_{4}=4s_{3}+s_{2}≡4\times6+8≡2\)

\(s_{5}=4s_{4}+s_{3}≡4\times2+6≡4\)

\(s_{6}=4s_{5}+s_{4}≡4\times4+2≡8\)

・・・

\(s_{n}=4s_{n-1}+s_{n-2}\) より、連続する \(2\) つの項によって次の項の \(1\) の位の数は \(4\)、\(8\)、\(6\)、\(2\) を繰り返す.

\(2003=4\times500+3\) より、\(s_{2003}\) の \(1\) の位の数は \(6\)

したがって、\(\alpha^{2003}\) 以下の最大の整数の \(1\) の位の数は \(6\)

1の位は規則性を持つことが多いため、実験から答えを推測することは比較的容易!
しかし、規則性を持つことをしっかり説明できないと、減点されます。

類題演習:2017東京大学

【2017東京大学・第4問・文理共通】

\(p=2+\sqrt{5}\) とおき、自然数 \(n = 1 , 2 , 3 , \cdots\) に対して

\(a_{n}=p^n+\left(-\displaystyle\frac{1}{p}\right)^n\)

と定める.以下の問いに答えよ.

(1) \(a_{1}\)、\(a_{2}\) の値を求めよ.

(2) \(n≧2\) とする.積 \(a_{1}a_{n}\) を、\(a_{n+1}\) と \(a_{n-1}\) を用いて表せ.

(3) \(a_{n}\) は自然数であることを示せ.

(4) \(a_{n+1}\) と \(a_{n}\) の最大公約数を求めよ.

本問(2003年東京大学)との類題です。演習にどうぞ!

↓ 考え方、解答、解説 ↓

2017東京大学・文理共通[第4問整数・数列] 2段仮定の帰納法、ユークリッド互除法
対称式、数学的帰納法(2段仮定)、ユークリッド互除法という典型問題。 頻出有名問題で、経験の差が大きく影響する良問。考え方、流れ、方針を確認。

 

 

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