【2021和歌山県立医科大学・医学部・第2問】
自然数 \(a\),\(b\),\(c\),\(n\) があり,\(a,b,c≦9\) であるとする.\(p\),\(q\),\(r\) を
\(p=2n^2+1\),\(q=np\),\(r=100a+10b+c-1\)
のように定め,さらに \(r\) は \(3\) で割り切れるとする.
(1) \(a+b+c-1\) は \(3\) で割り切れることを示せ.
(2) \(n\) が \(3\) で割り切れないとき,\(p\) は \(3\) で割り切れることを示せ.
(3) \(q\) は \(3\) で割り切れることを示せ.
(4) \(p\) は \(5\) で割り切れないことを示せ.
(5) \(n=a+b+c-1\) であり,\(q\) と \(r\) がともに \(15\) で割り切れるとする.このとき,\(r\) を最大,および最小にする \(a\),\(b\),\(c\) をそれぞれ求めよ.
合同式について
整数問題を扱う上で,合同式は必須アイテムです!
合同式の基本的な使い方については,
を確認しましょう!
解答・解説
(1) \(a+b+c-1\) は \(3\) で割り切れることを示せ.
\(mod 3\) として考える.
\(100a≡a\) ,\(10b≡b\) より
\(r=100a+10b+c-1≡a+b+c-1\)
\(r≡0\) より,\(a+b+c-1≡0\)
よって,\(a+b+c-1\) は \(3\) で割り切れる.
(2) \(p\) は \(3\) で割り切れることを示せ.
\(mod 3\) として考える.
\(n\) が \(3\) で割り切れないとき
\(n≡1\) または \(n≡2\)
このとき,\(n^2≡1\) より
\(p=2n^2+1≡2+1=3≡0\)
よって \(p\) は \(3\) で割り切れる.
(3) \(q\) は \(3\) で割り切れることを示せ.
( ⅰ ) \(n\) が \(3\) で割り切れるとき
\(q=np\) より,\(q\) は \(3\) で割り切れる.
( ⅱ ) \(n\) が \(3\) で割り切れないとき
(2)の結果から, \(p\) は \(3\) で割り切れる.
\(q=np\) より,\(q\) は \(3\) で割り切れる.
よって,\(q\) は \(3\) で割り切れる.
(4) \(p\) は \(5\) で割り切れないことを示せ.
\(mod 5\) として考える.
( ⅰ ) \(n≡0\) のとき
\(p=2n^2+1≡1\) より
\(p\) は \(5\) で割り切れない.
( ⅱ ) \(n≡\pm1\) のとき
\(p=2n^2+1≡3\) より
\(p\) は \(5\) で割り切れない.
( ⅲ ) \(n≡\pm2\) のとき
\(p=2n^2+1=9≡4\) より
\(p\) は \(5\) で割り切れない.
よって,\(p\) は \(5\) で割り切れない.
(5) \(r\) を最大,および最小にする \(a\),\(b\),\(c\)
(3)の結果から,\(q\) は \(3\) で割り切れる.
さらに \(q=np\) であり,(4)の結果から,
\(p\) は \(5\) で割り切れないため,
\(q\) が \(5\) で割り切れるとき,\(n\) は \(5\) で割り切れる.
よって,
「 \(q\) が \(15\) で割り切れる 」\(\iff\) 「 \(n\) が \(5\) で割り切れる 」・・・①
また,\(r\) が \(3\) で割り切れるとき
(1)の結果から \(n=a+b+c-1\) は \(3\) で割り切れる.
さらに,\(r\) が \(5\) で割り切れるとき
\(100a+10b≡0\) ( \(mod 5\) ) より
\(r=100a+10b+c-1≡c-1\) ( \(mod 5\) )
\(1≦c≦9\) より,\(c-1\) が \(5\) で割り切れるのは,\(c=1,6\)
つまり,\(r\) が \(5\) で割り切れるとき,\(c=1,6\)
よって,
「 \(r\) が \(15\) で割り切れる 」\(\iff\) 「 \(n\) が \(3\) で割り切れる かつ \(c=1,6\) 」・・・②
①,②より
\(q\) と \(r\) がともに \(15\) で割り切れるとき,
\(c=1,6\) かつ \(n\) が \(15\) で割り切れる
ここで,\(1≦a,b,c≦9\) より \(2≦n≦26\) であるから, \(n\) が \(15\) で割り切れるのは,\(n=15\)
よって,\(n=a+b+c-1\) から
\(15=a+b+c-1\) \(\iff\) \(a+b=16-n\)
( ⅰ ) \(c=1\) のとき
\(a+b=15\) より
\((a,b)=(9,6),(8,7),(7,8),(6,9)\)
( ⅱ ) \(c=6\) のとき
\(a+b=10\) より
\((a,b)=(9,1),(8,2),\cdots,(2,8),(1,9)\)
以上から,\(q\) と \(r\) がともに \(15\) で割り切れるとき,\(r\) を最大,および最小にする \(a\),\(b\),\(c\) はそれぞれ
\(a=9\),\(b=6\),\(c=1\) のとき最大,\(a=1\),\(b=9\),\(c=6\) のとき最小
コメント