【問題1】1980 東京大学
\(n , a , b , c , d\) は 0 または正の整数であって、
\(a^2+b^2+c^2+d^2=n^2-6\)
\(a+b+c+d=n\)
\(a≧b≧c≧d\)
を満たすものとする.このような数の組 \(( n , a , b , c , d )\) をすべて求めよ.
【問題2】2006 東京大学
\(n\) を正の整数とする.実数 \(x , y , z\) に対する方程式
\(x^n+y^n+z^n=xyz\) ・・・①
を考える.
(1) \(n=1\) のとき、①を満たす正の整数の組 \(( x , y , z )\) で、\(x≦y≦z\) となるものをすべて求めよ.
(2) \(n=3\) のとき、①を満たす正の整数の組 \(( x , y , z )\) は存在しないことを示せ.
整数問題のPoint
まず整数問題すべてに共通して言えるPointは
- 積の形に変形
- 条件から範囲を絞る
- 倍数や余りに注目
整数問題の多くが、上の1から3のいずれかで処理できます。
この3つのPointは絶対に頭の中に叩き込んでください!
【問題1】考え方・思考の仕方・解答
\(a^2+b^2+c^2+d^2=n^2-6\) ・・・①
\(a+b+c+d=n\) ・・・②
\(a≧b≧c≧d\) ・・・③ とおく.
《Step1》①と②の式→②を2乗
②を2乗すると
\((a+b+c+d)^2= a^2+b^2+c^2+d^2+2(ab+ac+ad+bc+bd+cd)=n^2\) より
①を代入して
\( n^2-6+2(ab+ac+ad+bc+bd+cd)=n^2\)
\( ab+ac+ad+bc+bd+cd=3\) ・・・④
《Step2》整数問題のPointの2つ目である「範囲を絞る」を考える
③、④より(\(d\) に注目して範囲を絞る)
\( ab+ac+ad+bc+bd+cd≧d\cdot d+ d\cdot d + d\cdot d + d\cdot d + d\cdot d + d\cdot d =6d^2\)
よって
\(3≧6d^2\)
これを満たす整数 \(d\) は \(d=0\) のみ
《Step3》《Step2》同様に「範囲を絞る」をもう一度
\(d=0\) のとき、③、④に代入すると
\(a≧b≧c≧0\) 、\( ab+ac+bc=3\) ・・・⑤
\(c\) に注目して範囲を絞ると
\( 3=ab+ac+bc≧3c^2\) より
\(c^2≦1\)
よって \(c=0 , 1\)
(ⅰ) \(c=0 \) のとき
⑤より、\( ab=3\)
\(a≧b≧0\) より\( a=3 , b=1\)
したがって、 \(( n , a , b , c , d )=( 4 , 3 , 1 , 0 , 0 )\)
(ⅱ) \(c=1 \) のとき
⑤より、\( ab+a+b=3\)
整数問題のPointの1つ目の「積の形」だね!
不安な人は「【整数問題】整数方程式(積の形・範囲の絞り込み・解と係数の関係)」を確認しましょう!
\( (a+1)(b+1) = 4\)
\(a≧b≧1\) より \(a+1≧b+1≧2\)
\(( a+1 , b+1 )=( 2 , 2 )\)
\(( a , b )=( 1 , 1 )\)
したがって、 \(( n , a , b , c , d )=( 3 , 1 , 1 , 1 , 0 )\)
以上より、
\(( n , a , b , c , d )=( 4 , 3 , 1 , 0 , 0 ) , ( 3 , 1 , 1 , 1 , 0 )\)
【問題2】考え方・思考の仕方・解答
【問題2】2006 東京大学
\(n\) を正の整数とする.実数 \(x , y , z\) に対する方程式
\(x^n+y^n+z^n=xyz\) ・・・①
を考える.
(1) \(n=1\) のとき、①を満たす正の整数の組 \(( x , y , z )\) で、\(x≦y≦z\) となるものをすべて求めよ.
(2) \(n=3\) のとき、①を満たす正の整数の組 \(( x , y , z )\) は存在しないことを示せ.
整数問題のPointの2つ目の「範囲で絞る」を考える
(1) \(n=1\) のとき、①は
\(x+y+z=xyz\) ・・・①´
①´と \(x≦y≦z\) より
\(x+y+x≦3z\) なので
\(xyz≦3z\)
\(z\) は正の整数なので割ると、
\(xy≦3\)
つまり \(xy=1 , 2 , 3\)
\(x≦y≦z\) に注意しながら
(ⅰ) \(xy=1\) のとき
\(( x , y )=( 1 , 1 )\)
このとき、①´を満たす \(z\) は存在しないため不適
(ⅱ) \(xy=2\) のとき
\(( x , y )=( 1 , 2 )\)
このとき、①´を満たす \(z=3\)
(ⅰ) \(xy=3\) のとき
\(( x , y )=( 1 , 3 )\)
このとき、①´に代入すると \(z=2\) となり、これは\(x≦y≦z\) に反するため不適
以上より、 \(( x , y , z )=( 1 , 2 , 3 )\)
(2)
\(n=3\) のとき、
\(x^3+y^3+z^3=xyz\)
・対称式(どの文字を入れ替えても同じ形の式になる)
→ \(x≦y≦z\) として考える
→整数問題のPointの2つ目の「範囲で絞る」を考えことができる
\(x≦y≦z\) のとき
\(xyz≦z^3\) より
\(x^3+y^3+z^3≦z^3\)
つまり
\(x^3+y^3≦0\) ・・・②
\(x>0 , y>0\) より、②を満たす \(x , y\) は存在しない.
\(x , y , z\) の大小関係が異なるときも同様に考えることができるため、以上より題意は示された.
【別解】相加平均・相乗平均の関係の利用
相加平均・相加平均の関係
・\( a , b , c ≧0\) のとき,
\(\displaystyle\frac{a+b+c}{3} \text{≧} \sqrt[3]{abc}\)
が成立.
等号成立条件は,\(a=b=c\) のとき.
背理法で考える.
\(x^3+y^3+z^3=xyz\) を満たす正の実数 \(x , y , z\) が存在すると仮定
相加平均・相乗平均の関係から、
\(\displaystyle\frac{x^3+y^3+z^3}{3} \text{≧} \sqrt[3]{x^3y^3z^3}=xyz\)
よって
\(\displaystyle\frac{xyz}{3} \text{≧} xyz\)
\(\displaystyle\frac{2}{3}xyz\text{≦}0\)
\(x , y , z\) は正の実数のため、矛盾.
したがって、\(x^3+y^3+z^3=xyz\) を満たす正の実数 \(x , y , z\) は存在しない
最後に
いかがだったでしょうか?
整数問題の多くは、「積の形」、「範囲を絞る」、「倍数や余りに注目」のいずれかで処理できる問題が非常に多いです。
その中でも今回は、「範囲を絞る」に注目して、東京大学の問題を用いて扱ってみました。
整数問題はセンスが必要??と勘違いしている人が多いですが、ほとんどの問題がパターンものです!
しっかりとPointをおさえて、正しく考えられるようにトレーニングをしていきましょう!
他のページでは整数問題に特化して様々な問題の考え方・思考の仕方を紹介しています。(他には学校の授業ではなかなか扱わないが入試で頻出テーマ)
ぜひ、参考にしてください!
また、○○のテーマ、分野において考え方・思考の仕方を扱ってほしいと言う希望がありましたら、コメント、問い合わせ、Twitterなどからお気軽にご連絡ください。
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