【2021浜松医科大学・医学部・第1問】
以下の問いに答えよ.なお,必要があれば等式
\(a^3+b^3+c^3-3abc=(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)\)
を利用してもよい.
(1) 実数 \(a\),\(b\),\(c\) に対して,不等式
\(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca≧0\)
を証明せよ.また,等号が成り立つときの \(a\),\(b\),\(c\) の条件を求めよ.
(2) 正の実数 \(x\),\(y\),\(z\) に対して,\(P\),\(Q\),\(R\) を
\(P=\displaystyle\frac{x+y+z}{3}\),\(Q=\sqrt[3]{xyz}\),\(\displaystyle\frac{1}{R}=\displaystyle\frac{1}{3}\left(\displaystyle\frac{1}{x}+\displaystyle\frac{1}{y}+\displaystyle\frac{1}{z}\right)\)
とおく.このとき,不等式 \(P≧Q≧R\) を証明せよ.また,各等号が成り立つときの \(x\),\(y\),\(z\) の条件を求めよ.
解答・解説
(1)
\(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}(2a^2+2b^2+2c^2-2ab-2bc-2ca)\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}\left\{(a^2-2ab+b^2)+(b^2-2bc+c^2)+(c^2-2ca+a^2)\right\}\)
\(=\displaystyle\frac{1}{2}\left\{(a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2\right\}≧0\)
\(a=b\) かつ \(b=c\) かつ \(c=a\)
つまり、\(a=b=c\) のとき
上の証明方法は有名な流れです!
他の証明方法は下記を参考に!
(2)3文字の相加・相乗・調和平均の関係
正の実数 \(x\),\(y\),\(z\) に対して,\(P\),\(Q\),\(R\) を
\(P=\displaystyle\frac{x+y+z}{3}\),\(Q=\sqrt[3]{xyz}\),\(\displaystyle\frac{1}{R}=\displaystyle\frac{1}{3}\left(\displaystyle\frac{1}{x}+\displaystyle\frac{1}{y}+\displaystyle\frac{1}{z}\right)\)
とおく.このとき,不等式 \(P≧Q≧R\) の関係を
「相加平均・相乗平均・調和平均の関係」と言います。
とても有名で,入試頻出問題ですからぜひ覚えておきましょう!
また,2文字については「相加・相乗・調和平均の関係・証明【2008奈良女子大学】」を参考に!
正の実数 \(X\),\(Y\),\(Z\) に対して,(1)の結果から
\(X^2+Y^2+Z^2-XY-YZ-ZX≧0\) が成立する.
この不等式に,\(X+Y+Z≧0\) をかけると
\((X+Y+Z)(X^2+Y^2+Z^2-XY-YZ-ZX)≧0\)
\(X^3+Y^3+Z^3-3XYZ≧0\)
よって,\(\displaystyle\frac{X^3+Y^3+Z^3}{3}≧XYZ\)
等号成立は,\(X=Y=Z\) のとき
ここで,\(X=\sqrt[3]{x}\),\(Y=\sqrt[3]{y}\),\(Z=\sqrt[3]{z}\) とすると
\(\displaystyle\frac{x+y+z}{3}≧\sqrt[3]{xyz}\)
つまり,\(P≧Q\) が成立.
等号成立は,\(\sqrt[3]{x}=\sqrt[3]{y}=\sqrt[3]{z}\)
つまり,\(x=y=z\) のとき
次に,\(X=\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{x}}\),\(Y=\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{y}}\),\(Z=\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{z}}\) とすると
\(\displaystyle\frac{1}{3}\left(\displaystyle\frac{1}{x}+\displaystyle\frac{1}{y}+\displaystyle\frac{1}{z}\right)≧\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{xyz}}\)
つまり,\(\displaystyle\frac{1}{R}≧\displaystyle\frac{1}{Q}\)
\(Q\),\(R\) は正より逆数をとると \(Q≧R\) が成立.
等号成立は,\(\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{x}}=\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{y}}=\displaystyle\frac{1}{\sqrt[3]{z}}\)
つまり,\(x=y=z\) のとき
したがって,\(P≧Q≧R\) が成立し,等号成立は \(x=y=z\) のとき
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