【2023北海道大学・理系・第1問】
複素数平面上における図形 \(C_{1}\),\(C_{1}\),\(\cdots\cdots\),\(C_{n}\),\(\cdots\cdots\) は次の条件 (\(A\)),(\(B\)) をみたすとする.ただし,\(i\) は虚数単位とする.
(\(A\)) \(C_{1}\) は原点 \(O\) を中心とする半径 \(2\) の円である.
(\(B\)) 自然数 \(n\) に対して,\(z\) が \(C_{n}\) 上を動くとき \(2w=z+1+i\) で定まる \(w\) の描く図形が \(C_{n+1}\) である.
(1) すべての自然数 \(n\) に対して,\(C_{n}\) は円であることを示し,その中心を表す複素数 \(\alpha_{n}\) と半径 \(r_{n}\) を求めよ.
(2) \(C_{n}\) 上の点と \(O\) との距離の最小値を \(d_{n}\) とする.このとき,\(d_{n}\) を求めよ.また,\(\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}d_{n} \) を求めよ.
解答・解説
(1)
すべての自然数 \(n\) に対して,\(C_{n}\) は円であることを数学的帰納法を用いて示す.
( ⅰ ) \(n=1\) のとき
条件 (\(A\)) より \(C_{1}\) は原点 \(O\) を中心とする半径 \(2\) の円であるから成立する.
( ⅱ ) \(n=k\) のとき
\(C_{k}\) は中心 \(\alpha_{k}\),半径 \(r_{k}\) の円と仮定する.
条件 (\(B\)) より \(C_{k+1}\) は
\(|z-\alpha_{k}|=r_{k}\) かつ \(2w=z+1+i\) を満たす.
\(z=2w-(1+i)\) を代入すると
\(|2w-(1+i)-\alpha_{k}|=r_{k}\)
\(\left|w-\displaystyle\frac{\alpha_{k}+1+i}{2}\right|=\displaystyle\frac{r_{k}}{2}\)
よって,中心 \(\displaystyle\frac{\alpha_{k}+1+i}{2}\),半径 \(\displaystyle\frac{r_{k}}{2}\) の円を表すので,\(n=k+1\) のときも成立.
( ⅰ ),( ⅱ )より,すべての自然数 \(n\) に対して,\(C_{n}\) は円である.
また,
条件 (\(A\)) より\(C_{1}\) は原点 \(O\) を中心とする半径 \(2\) の円であるから
\(\alpha_{1}=0\),\(r_{1}=2\)
さらに上の証明の ( ⅱ ) から
\(\alpha_{n+1}=\displaystyle\frac{\alpha_{n}+1+i}{2}\) ,\(r_{n+1}=\displaystyle\frac{r_{n}}{2}\)
\(\alpha_{n+1}=\displaystyle\frac{\alpha_{n}+1+i}{2}\) より
\(\alpha_{n+1}-(1+i)=\displaystyle\frac{1}{2}\left\{\alpha_{n}-(1+i)\right\}\)
\(\alpha_{n}-(1+i)=\left\{\alpha_{1}-(1+i)\right\}\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{n-1}\)
よって,\(\alpha_{n}=(1+i)\left\{1-\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{n-1}\right\}\)
また \(r_{n+1}=\displaystyle\frac{r_{n}}{2}\) より
\(r_{n}=r_{1}\cdot\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{n-1}\)
よって,\(r_{n}=\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{n-2}\)
(2)
\(C_{n}\) 上の点と原点の距離の最小値 \(d_{n}\) は,
直線 \(O\alpha_{n}\) と円 \(C_{n}\) の \(2\) 交点のうち,点 \(O\) に近い方
よって
\(d_{n}=||\alpha_{n}|-r_{n}|\)
\(=\left|\sqrt{2}\left\{1-\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{n-1}\right\}-\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{n-2}\right|\)
したがって,\(d_{n}=\left|\sqrt{2}-(\sqrt{2}+2)\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{n-1}\right|\)
また,\(\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}\left(\displaystyle\frac{1}{2}\right)^{n-1}=0\) より
\(\displaystyle\lim_{n\rightarrow\infty}d_{n}=\sqrt{2}\)
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