【2021 お茶の水女子大学 第1問 整数・素数】
次の問いに答えよ.
(1) \(k^2+2\) が素数となるような素 \(k\) をすべて見つけよ.また、それ以外にないことを示せ.
(2) 整数 \(l\) が \(5\) で割り切れないとき、 \(l^4-1\) が \(5\) で割り切れることを示せ.
(3) \(m^4+4\) が素数となるような素数 \(m\) は存在しないことを示せ.
考え方(ポイント)
まず整数問題すべてに共通して言えるPointは
- 積の形に変形
- 条件から範囲を絞る
- 倍数や余りに注目
整数問題の多くが、上の1〜3のいずれかで処理できます。
さらに上のポイントに加えて、方針が立たない時は次のポイントを考えましょう。
整数問題の極意 👉 実験する
※規則性や法則を見つけたい
※規則や法則を見つけ、証明を必ず与えるように!
ただ実験して規則や法則を見つけただけでは、ただの予想です!
方針が見えなければ実験!
・\(k=2\) のとき
\(k^2+2=6\) より素数でない
・\(k=3\) のとき
\(k^2+2=11\) より素数となり適する
・\(k=5\) のとき
\(k^2+2=27\) より素数でない
・\(k=7\) のとき
\(k^2+2=51\) より素数でない
・\(k=11\) のとき
\(k^2+2=123\) より素数でない
【予想】
\(k=3\) のときのみしか答えがない?
\(k≧5\) の素数とのときは\(k^2+2\) は \(3\) の倍数になる??
\(3\) の倍数についての証明
→ \(mod 3\) を利用
合同式が不安な方は
を参考にしてください。
(1)の解答
・\(k=2\) のとき
\(k^2+2=6\) より素数でない
・\(k=3\) のとき
\(k^2+2=11\) より素数となり適する
・\(k≧5\) のとき
以下、法を \(3\) として考える
\(k\) は \(5\) 以上の素数であるので \(k≡\pm1\) を考えればよい
\( k^2+2≡(\pm1)^2+2≡0\) となり、\(k^2+2\) は \(3\) の倍数となる.
\(3\) の倍数で素数であるのは \(3\) のみであるが、
\(k≧5\) のとき \(k^2+2>3\) であるから、\(k^2+2\) が \(3\) にならない.
したがって、\(k≧5\) のとき \(k^2+2\) が素数になる \(k\) は存在しない.
以上より、題意を満たすのは、\(k=3\) のみ
(2)の解答
\(5\) で割れる・割れないについての証明
→ \(mod 5\) を利用
以下、法を \(5\) として考える
\(l≡\pm1 , \pm2\) のとき
\(l^2≡1 , 4\) より
\(l^4≡1 , 16\) つまり、\(l^4≡1\)
よって、\(l^4-1≡0\)
したがって、\(l^4-1\) は \(5\) で割り切れる
(3)の解答
・\(m=5\) のとき
\(m^4+4=5^4+4=629=17\times 37\)
であるから、\(m^4+4\) は素数ではない.
・\(m≠5\) のとき
素数 \(m\) は \(5\) で割り切れないので、(2)の結果から、
\(m^4-1≡0\) \((mod 5)\)
よって、\( m^4+4≡5≡0\) \((mod 5)\) なので
\(m^4+4\) は \(5\) の倍数である.
つまり、\(m^4+4\) が素数と仮定すると、
\(m^4+4=5\) のときのみ
しかし、これを解くと \(m=\pm1\) となり、\(m\) が素数であることに矛盾する
したがって
\(m^4+4\) は素数になり得ない.
以上から題意は示された.
最後に(類題紹介)
(3)については、(1)と同様に実験をしてから証明する流れでもできる.
しかし、\(4\) 乗の計算が必要となるため、少し計算は大変である.
【今回の問題の類題】
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