【1985お茶の水女子大学】
\(a\),\(b\),\(c\) は整数で,\(a^3+2b^3+4c^3=2abc\) とする.
(1) \(a\),\(b\),\(c\) はいずれも偶数であることを示せ.
(2) \(a=b=c=0\) であることを示せ.
無限下降法
無限下降法とは・・・
背理法の一種で,自然数の部分集合には必ず最小の元が存在する性質を利用した証明方法.
(※ 17 世紀の数学者フェルマーによって始められた)
無限下降法の考え方・解法の流れ
ある自然数 \(n_{1}\) に対し,命題 \(P(n_{1})\) が成り立つと仮定する.
自然数 \(n_{1}\) より小さい自然数 \(n_{2}\) に対して,命題 \(P(n_{2})\) が成り立つことを示す.
これを繰り返すことにより,命題 \(P(n)\) に対し自然数の無限列 \(n_{1}>n_{2}>n_{3}>\cdots\) で成り立つが,これは自然数の部分集合には最小の元が存在することに矛盾する.
解答
(1)
\(a^3+2b^3+4c^3=2abc\) ・・・①
①より,\(a^3=2(abc-b^3-2c^3)\)
よって \(a^3\) は偶数であるから,\(a\) も偶数となる.
\(a=2a_{1}\) ( \(a_{1}\) は整数 ) とおける.
①より, \(8a_{1}^3+2b^3+4c^3=4a_{1}bc\)
\(4a_{1}^3+b^3+2c^3=2a_{1}bc\) ・・・②
\(b^3=2(a_{1}bc-2a_{1}^3-c^3)\)
よって \(b^3\) は偶数であるから,\(b\) も偶数となる.
\(b=2b_{1}\) ( \(b_{1}\) は整数 ) とおける.
②より,\(4a_{1}^3+8b_{1}^3+2c^3=4a_{1}b_{1}c\)
\(2a_{1}^3+4b_{1}^3+c^3=2a_{1}b_{1}c\) ・・・③
\(c^3=2(a_{1}b_{1}c-a_{1}^3-2b_{1}^3)\)
よって \(c^3\) は偶数であるから,\(c\) も偶数となる.
したがって,\(a\),\(b\),\(c\) はいずれも偶数である.
(2)
(1)より,\(c=2c_{1}\) ( \(c_{1}\) は整数 ) とおける.
③より,\(2a_{1}^3+4b_{1}^3+8c_{1}^3=4a_{1}b_{1}c_{1}\)
\(a_{1}^3+2b_{1}^3+4c_{1}^3=2a_{1}b_{1}c_{1}\)
\(a^3+2b^3+4c^3=2abc\) ・・・①に
\(a_{1}\),\(b_{1}\),\(c_{1}\) を代入した式になったね!
(1)の結果から,\(a_{1}\),\(b_{1}\),\(c_{1}\) はいずれも偶数となる.
この結果より,\(a\),\(b\),\(c\) は何度でも \(2\) で割り切れることになるため,
\(a=b=c=0\) である.
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