【1993東京大学・理・第2問】
整数からなる数列 \left\{ a_{n} \right\} を漸化式
\begin{cases}a_{1}=1 , a_{2}=3\\a_{n+2}=3a_{n+1}-7a_{n}\end{cases} (n = 1 , 2 \cdots)
によって定める.
(1) a_{n} が偶数となることと、n が 3 の倍数となることは同値であることを示せ.
(2) a_{n} が 10 の倍数となるための条件を(1)と同様の形式で求めよ.
考え方・方針について
方針が見えなければ実験!
整数問題の極意は実験です!実験の中から規則、法則を見つけ(予想し)、それをきっかけに解答を作成していきます!
\begin{cases}a_{1}=1 , a_{2}=3\\a_{n+2}=3a_{n+1}-7a_{n}\end{cases} より
a_{3}=3a_{2}-7a_{1}=2
a_{4}=3a_{3}-7a_{2}=-15
・・・
と計算していくと、下記の表のような値が求まる.
n | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
a_{n} | 1 | 3 | 2 | -15 | -59 | -72 | 197 | 1095 | 1906 |
2の倍数 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||
5の倍数 | 〇 | 〇 |
このことから、確かに n が 3 の倍数のとき( 3 つおき )に、a_{n} は偶数であることが確認できる.
また、(2)の話になるが、おそらく n が 4 の倍数のとき( 4 つおき )に、a_{n} は 5 の倍数になりそうであるため、a_{n} が 10 の倍数となるための条件は、n が 12 の倍数のときであることが予想される.
つまり、(1)、(2)ともに周期的に 2 の倍数や 5 の倍数になることを示せばよい.
・(1)では 3 つ置きの周期性を言えばよいので、
mod 2 と考えたときに、a_{n+3}≡a_{n}
・(2)では 4 つ置きの周期性を言えばよいので、
mod 5 と考えたときに、a_{n+4}≡a_{n} が示せればよい.
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解答
\begin{cases}a_{1}=1 , a_{2}=3\\a_{n+2}=3a_{n+1}-7a_{n}\end{cases} (n = 1 , 2 \cdots) より
a_{1}=1 , a_{2}=3 , a_{3}=2 , a_{4}=-15 ・・・①
a_{n+2}=3a_{n+1}-7a_{n} ・・・② とおく.
(1) mod 2 で考える.
②において、3≡7≡1 より、
a_{n+3}=3a_{n+2}-7a_{n+1}≡a_{n+2}-a_{n+1}
また②より
a_{n+3}≡a_{n+2}-a_{n+1}≡(a_{n+1}-a_{n})-a_{n+1}≡-a_{n}≡a_{n}
つまり、a_{n+3} と a_{n} の偶奇 (2 で割ったときの余り) は一致する.
①より、a_{1} は奇数、a_{2} は奇数、a_{3} は偶数なので、
a_{n} が偶数となるのは、n が 3 の倍数のとき
以上より題意は示された.
(2) mod 5 で考える.
a_{n+4}≡3a_{n+3}-7a_{n+2}\\≡3a_{n+3}+3a_{n+2}\\≡3(3a_{n+2}+3a_{n+1})+3a_{n+2}\\≡2a_{n+2}+4a_{n+1}\\≡2(3a_{n+1}+3a_{n})+4a_{n+1}\\≡a_{n}
つまり、a_{n+4} と a_{n} とは、5 で割ったときの余りが一致する.
①より、a_{1}=1 , a_{2}=3 , a_{3}=2 , a_{4}=-15 であるから、
a_{n} が 5 の倍数となるのは、n が 4 の倍数のとき
したがって、(1)の結果と合わせて、
a_{n} が 10 の倍数となるのは、n が 12 の倍数のときと同値である.



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