次の問に答えよ.
(1) 自然数 \(a\) ,\(b\) ,\(c\) ,\(d\) に \(\displaystyle\frac{b}{a}=\frac{c}{a}+d\) の関係があるとき,\(a\) と \(c\) が互いに素であれば, \(a\) と \(b\) も互いに素であることを証明せよ.
(2) 任意の自然数 \(n\) に対し,\(28n+5\) と \(21n+4\) は互いに素であることを証明せよ.
(1)考え方・解答
互いに素であることの証明について
互いに素であることの証明について
- 最大公約数 \(g\) が1であることを直接示す
- 背理法(最大公約数 \(g\) が2以上と仮定)の利用
- ユークリッドの互除法の利用
- 「\(a , b\) が互いに素」\(\Leftrightarrow\) 「\(ax+by=1\) が整数解をもつ」の利用
(1)解答:背理法の利用
【解答】
\(a\) と \(b\) も互いに素でないと仮定する.
このとき、\(a\) と \(b\) の最大公約数を \(k\) ( \(k\) は \(2\) 以上の自然数 )とおける.
また、互いに素な自然数 \(a^{\prime}\) と \(b^{\prime}\) を用いて、
\(a=ka^{\prime}\) 、\(b=kb^{\prime}\) とかける.
\(\displaystyle\frac{b}{a}=\frac{c}{a}+d\) より、
\(\displaystyle\frac{kb^{\prime}}{ka^{\prime}}=\frac{c}{ka^{\prime}}+d\)
\(kb^{\prime}=c+ka^{\prime}d\)
\(c=k(b^{\prime}-a^{\prime}d)\)
しかしこれは、\(a\) と \(c\) が互いに素であることに矛盾する.
以上より題意は示された.
(2)解答
解法Ⅰ:(1)の利用
(1)において、\(a=21n+4\) 、\(b=28n+5\) と考えると、
\(\displaystyle\frac{b}{a}=\displaystyle\frac{28n+5}{21n+4}=\displaystyle\frac{7n+1}{21n+4}+1\) より
\(c=7n+1\) 、\(d=1\) に対応する.
つまり(1)の結果から、\(21n+4\) 、\(7n+1\) が互いに素であれば、
\(21n+4\) 、\(28n+5\) が互いに素となるので、
\(21n+4\) 、\(7n+1\) が互いに素になることを示せばよい.
ここで新たに、(1)において \(a=7n+1\)、\(b=21n+4\) と考えると、
\(\displaystyle\frac{b}{a}=\displaystyle\frac{21n+4}{7n+1}=\displaystyle\frac{1}{7n+1}+3\) より
\(c=1\) 、\(d=3\) に対応する.
\(7n+1\) と \(1\) は互いに素であるから、(1)の結果より、\(21n+4\) 、\(7n+1\) が互いに素
したがって、題意は示された.
解法Ⅱ:ユークリッド互除法の利用
ユークリッド互除法
【ユークリッドの互除法】
\(2\) つの自然数 \(a\) 、\(b\) において、\(a\) を \(b\) で割ったときの商を \(q\)、余りを \(r\) とすると
\(a\) と \(b\) の最大公約数は、\(b\) と \(r\) の最大公約数に等しい
\(28n+5=(21n+4)\times 1+7n+1\)
\(21n+4=(7n+1)\times 3+1\)
ユークリッド互除法より
「\(28n+5\) と \(21n+4\) の最大公約数」
=「\(21n+4\) と \(7n+1\) の最大公約数」
=「\(7n+1\) と \(1\) の最大公約数」
= \(1\)
したがって、題意は示された.
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