【2021早稲田大学・商】
三角形 \(ABC\) において,\(\angle B=2\alpha\),\(\angle C=2\beta\) とする.
\(\tan\alpha\tan\beta=x\),\(\displaystyle\frac{AB+AC}{BC}=y\) とするとき,\(y\) を \(x\) で表せ.
三角比や三角関数の公式はただただ覚えるだけではダメです!しっかりと実践問題の中で使えるかどうかがとても大切!そこで,三角比・三角関数のただただ公式を使うだけの問題あるが,差がつく良問を通し,しっかりと演習を行いましょう!
三角関数の公式確認
《加法定理》
・\(\sin(\alpha±\beta)=\sin\alpha \cos\beta±\cos\alpha \sin\beta \)
・\(\cos(\alpha±\beta)=\cos\alpha \cos\beta ∓\sin\alpha \sin\beta \)
・\(\tan(\alpha±\beta)=\displaystyle\frac{\tan\alpha±\tan\beta }{1∓\tan\alpha \tan\beta }\)
《2倍角の公式》
\(\begin{align*} \sin2\alpha &= 2\sin\alpha\cos\alpha \\[5pt] \cos2\alpha &= \cos^2\alpha – \sin^2\alpha \\[5pt] &= 1-2\sin^2\alpha \\[5pt] &= 2\cos^2\alpha -1 \\[5pt] \tan2\alpha &= \frac{2\tan\alpha}{1-\tan^2\alpha} \end{align*}\)
《和積の公式》
\(\begin{align*} \sin \alpha + \sin \beta &= 2\sin\frac{\alpha+\beta}{2} \cos\frac{\alpha-\beta}{2}\\[5pt]\sin \alpha – \sin \beta &= 2\cos\frac{\alpha+\beta}{2} \sin\frac{\alpha-\beta}{2}\\[5pt]\cos \alpha + \cos \beta &= 2\cos\frac{\alpha+\beta}{2} \cos\frac{\alpha-\beta}{2}\\[5pt]\cos \alpha – \cos \beta &= -2\sin\frac{\alpha+\beta}{2} \sin\frac{\alpha-\beta}{2} \\[5pt] \end{align*}\)
解答
\(\triangle ABC\) の外接円の半径を \(R\) とすると,正弦定理より
\(\displaystyle\frac{BC}{\sin\left\{\pi-(2\alpha+2\beta)\right\}}=\displaystyle\frac{AC}{\sin 2\alpha}=\displaystyle\frac{AB}{\sin 2\beta}=2R\)
よって,
\(BC=2R\sin\left\{\pi-(2\alpha+2\beta)\right\}=2R\sin2(\alpha+\beta)\)
\(AC=2R\sin2\alpha\)
\(AB=2R\sin2\beta\) より
\(y=\displaystyle\frac{2R\sin2\alpha+2R\sin2\beta}{2R\sin2(\alpha+\beta)}=\displaystyle\frac{\sin2\alpha+\sin2\beta}{\sin2(\alpha+\beta)}\) ・・・①
(分子)は和積の公式
(分母)は2倍角の公式を利用!
ここで,
(分子) \(=2\sin (\alpha+\beta)\cos (\alpha-\beta)\)
(分母) \(=2\sin (\alpha+\beta)\cos (\alpha+\beta)\)
であるから①より
\(y=\displaystyle\frac{\cos (\alpha-\beta)}{\cos (\alpha+\beta)}\)
(分母),(分子)に加法定理を利用!
\(y=\displaystyle\frac{\cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta}{\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta}\)
(分母),(分子)を \(\cos\alpha\cos\beta\) で割る!
\(y=\displaystyle\frac{1+\displaystyle\frac{\sin\alpha\sin\beta}{\cos\alpha\cos\beta}}{1-\displaystyle\frac{\sin\alpha\sin\beta}{\cos\alpha\cos\beta}}=\displaystyle\frac{1+\tan\alpha\tan\beta}{1-\tan\alpha\tan\beta}\)
したがって,\(y=\displaystyle\frac{1+x}{1-x}\)
コメント
数学ど素人の質問です。
以下の計算が理解できませんでした。2𝑅sin2(𝛼+𝛽)になる過程を教えていただければと思います。
2𝑅sin{2𝜋−(2𝛼+2𝛽)}=2𝑅sin2(𝛼+𝛽)
コメントありがとうございます。
ご指摘の点ですが、間違いでした。訂正をさせていただきました。
「2πではなく、π」の誤りです。
大変申し訳ありませんでした。
今後ともマスマス学をよろしくお願いします。
質問です。
2𝑅sin{𝜋−(2𝛼+2𝛽)}が、2𝑅sin2(𝛼+𝛽)になる理由がわかりません。
∠Aは、180度ー2𝛼+2𝛽だと考えており、これは𝜋−(2𝛼+2𝛽)と同じだと思います。
上記2𝑅sin2(𝛼+𝛽)に従うと∠Aが2(𝛼+𝛽)、つまり2𝛼+2𝛽になるので、∠Aは∠Bと∠Cの合計になると思います。
そうなると∠Aは90度しかないと考えていますが、問題文や解答を見てもそのような記述がないので、∠A=90度と考えるのは間違っていると思ってます。
2𝑅sin{𝜋−(2𝛼+2𝛽)}からどのような計算を経て2𝑅sin2(𝛼+𝛽)になったのかを教えていただければ幸いです。
問題を解くための前提知識や公式など数学知識が私はかなり欠けているので、お手数をおかけしますがお答えいただければと思います。
コメントありがとうございます。
まず初めに、角度とsinの値の違いについてはご理解いただいていますか?
sinA=sinBのときにA=Bだと思われている??ように思われますが、これは違います。
サインの値とは、単位円における高さであり、例えばsin60°=sin120°ですが、当然60°=120°ではありませんよね!
その点を勘違いされているのではないかと思われます。
今回の問題では、sin(π-θ)=sinθとなる性質を利用しています。
また、サインの値が等しいとはどういう状況であるかの一般的な考え方について「https://mathmathmanabu.com/1992-kyoto-sin/」で紹介していますので、よかったら参考にしてください。