【2018 関西学院大学】
サイコロを 2 個同時に 1 回振って、出た目の数の和が 3 または 11 であれば当たりとし、そうでなければハズレとする.この試行を当たりが 3 回となるまで繰り返すとき、ちょうど n 回目で終わる確率を p(n) と表すことにする.
(1) p(3)、p(4) を求めよ.
(2) n≧3 に対して、\displaystyle\frac{p(n+1)}{p(n)} を n の式で表せ.
(3) p(n) が最大となる n の値を求めよ.
はじめに
大学入試で頻出の「確率の最大」の求め方の考え方について解説していきます。
一般的には誘導なしで問われることが多いため、解法の流れを経験したことがないと少し厳しいです。
2018関西学院大学の問題は、誘導が丁寧についた、演習にはもってこいの問題ですので、この問題を使って解法の流れを身につけましょう!
(1)反復試行の確率
まず初めに、2 個のサイコロを 1 回振って出た目の和が 3 or 11 となるのは
( 1 , 2 ) , ( 2 , 1 ) , ( 5 , 6 ) , ( 6 , 5 ) の 4 通り
よって\displaystyle\frac{4}{6^2}=\displaystyle\frac{1}{9}
次に、本問では
サイコロを繰り返し n 回投げる
👉 反復試行
(1) p(3) は、3 回ともに当たりとなる確率であるから、
p(3)= \left(\displaystyle\frac{1}{9}\right)^3=\displaystyle\frac{1}{729}
p(4) は、4 回の試行において、
最初の 3 回中 2 回当たり 1 回ハズレ、最後の4 回目当たる確率であるから、
p(4)=_{3}\rm{C}_{2}\left(\displaystyle\frac{1}{9}\right)^{2}\left(1-\displaystyle\frac{1}{9}\right)\times \left(\displaystyle\frac{1}{9}\right)\\=\displaystyle\frac{8}{2187}
(2)確率の最大値の考え方
(2) p(n) は n 回の試行において、
最初の n-1 回中 2 回当たり n-3 回ハズレ、最後の n 回目当たる確率であるから、
\(p(n)=_{n-1}\rm{C}_{2}\left(\displaystyle\frac{1}{9}\right)^{2}\left(1-\displaystyle\frac{1}{9}\right)^{n-3}\times \left(\displaystyle\frac{1}{9})\\right)
よって、
\displaystyle\frac{p(n+1)}{p(n)}=\displaystyle\frac{_{n}\rm{C}_{2}\left(\displaystyle\frac{1}{9}\right)^{2}\left(1-\displaystyle\frac{1}{9}\right)^{n-2}\times \left(\displaystyle\frac{1}{9}\right)}{_{n-1}\rm{C}_{2}\left(\displaystyle\frac{1}{9}\right)^{2}\left(1-\displaystyle\frac{1}{9}\right)^{n-3}\times \left(\displaystyle\frac{1}{9}\right)}
\displaystyle\frac{p(n+1)}{p(n)}= \displaystyle\frac{8_{n}\rm{C}_{2}}{9_{n-1}\rm{C}_{2}}=\displaystyle\frac{8n}{9(n-2)}

何のために(2)を求めたのか?
👉(2)を求めることが、「確率の最大」
を求める上でPointです!
確率の最大値の求め方(考え方)について
確率の最大値について問われたら、
(Ⅰ) \displaystyle\frac{p(n+1)}{p(n)}>1
(Ⅱ) \displaystyle\frac{p(n+1)}{p(n)}=1
(Ⅲ) \displaystyle\frac{p(n+1)}{p(n)}<1
を満たす n をそれぞれ考える.
具体例を用いた考え方
例えば、
(Ⅰ) を満たす n=1~3
(Ⅱ) を満たす n=4
(Ⅲ) を満たす n=5~7
だったとします。
これによって何が分かるかと言えば、
(Ⅰ) の式は言い換えると、{p(n+1)}>{p(n)} より
n=1 , 2 , 3 をそれぞれ代入することで、
p(1)<p(2)<p(3)<p(4) ・・・①
(Ⅱ) の式は言い換えると、{p(n+1)}={p(n)} より
n=4 をそれぞれ代入することで、
p(4)=p(5) ・・・②
(Ⅲ) の式は言い換えると、{p(n+1)}<{p(n)} より
n=5 , 6 , 7 をそれぞれ代入することで、
p(5)>p(6)>p(7)>p(8) ・・・③
①~③より
p(1)<p(2)<p(3)<p(4)= p(5)>p(6)>p(7)>p(8)
したがって、n=4 , 5 のときに p(n) は最大となることが分かる.
(3) 解答
(Ⅰ) \displaystyle\frac{p(n+1)}{p(n)}>1 のとき
(2)より
\displaystyle\frac{p(n+1)}{p(n)}= \displaystyle\frac{8_{n}\rm{C}_{2}}{9_{n-1}\rm{C}_{2}}=\displaystyle\frac{8n}{9(n-2)}>1
8n>9(n-2)
n<18
n≧3 より
3≦n<18
(Ⅱ) \displaystyle\frac{p(n+1)}{p(n)}=1 のとき
n=18
(Ⅲ) \displaystyle\frac{p(n+1)}{p(n)}<1 のとき
n>18
(Ⅰ)~(Ⅲ)より
p(3)<p(4)<\cdots <p(18)=p(19)>p(20)>\cdots
したがって求める n の値は、n=18 , 19
最後に
確率の最大を求める作業は、超有名な問題であるにも関わらず、学校の授業では扱われないことが多いです。
今回初めて確率の最大の問題に触れた人は、どの問題集にも載っている(問題集のレベルにもよるが、発展や参考のページに載っていることが多い)かと思いますので、手持ちの問題集で演習をしましょう!
この1問を通して、ただ答えが出せるだけの勉強でなく、どのように考えて問題を解いていくのかを大切に勉強しましょう!
場合の数・確率が苦手な人はぜひ
【場合の数】何となくでは絶対にダメ!考え方、規則、数え方を正しく学ぶ1問
2022共通テスト数学ⅠA【第3問】確率の解説|完全順列(モンモール数)
も読んで考え方を勉強してください。
また、自分の勉強として、ただ問題演習を行うだけの問題集ではない、どのように考えて問題にアプローチするかが非常に詳しく描かれた参考書の「ハッとめざめる確率」で勉強してみてください。
私自身も塾講師を始める前に読みましたが、現役生の時に読んでおけばよかったと後悔しています。
数学の参考書?と思うぐらい文字数が多く、何方かと言えば読み物のような参考書になっています。
この1冊で場合の数・確率の考え方の総まとめができます!
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