【2018九州大学・理・第4問】
整数 a、b は 3 の倍数でないとし、
f(x)=2x^3+a^2x^2+2b^2x+1 とおく.以下の問いに答えよ.
(1) f(1) と f(2) を 3 で割った余りをそれぞれ求めよ.
(2) f(x)=0 を満たす整数 x は存在しないことを示せ.
(3) f(x)=0 を満たす有理数 x が存在するような組 (a,b) をすべて求めよ.
(1)平方数・指数はmod 3,mod 4 が有効
(1)において、f(1)=a^2+2b^2+3、f(2)=4a^2+4b^2+17 となり、
a^2、b^2 (平方数)が共に現れる.
ここで、整数問題を扱う上ではよく出題されるPointの1つ!
まずは下の表を見てください。
平方数において
何かの2乗(平方数)において、
mod 3→「1,1,0」の繰り返し
mod 4→「1,0」の繰り返し
という規則が存在!
指数に関しても、同様に考えると規則を持つことが確認できる。
詳しくは類題として「2021 兵庫県立大学【整数】平方数には合同式(mod)を使え!」を参考にしてください。
また、合同式をまだ学習していない、または不安と言う人は、
で合同式をマスターしよう!
整数問題において、合同式が使えないのは致命的です・・・。
合同式は整数問題を扱う上で必須アイテム!しっかりとマスターしておきましょう!
参考:平方数とmod 3、4、5、8について
上で紹介したように、平方数と合同式は非常に相性抜群です!
特に mod 3 や mod 4 は頻出ですので絶対に抑え、さらに参考として、mod 5、mod 8 についても 紹介しておきます。
- mod 3 ➡ 「0、1」のみ
- mod 4 ➡ 「0、1」のみ
- mod 5 ➡ 「0、1、4」のみ
- mod 8 ➡ 「0、1、4」のみ
(1)解答
【2018九州大学・理・第4問】
整数 a、b は 3 の倍数でないとし、
f(x)=2x^3+a^2x^2+2b^2x+1 とおく.以下の問いに答えよ.
(1) f(1) と f(2) を 3 で割った余りをそれぞれ求めよ.
以下、mod3 として考える.
a、b は 3 の倍数でない整数であるから、
a≡\pm1、b≡\pm1 であるため、
a^2≡1、b^2≡1 となる.
このとき、
f(1)=a^2+2b^2+3≡1+2\times1+0≡0
f(2)=4a^2+4b^2+17≡4\times1+4\times1+2≡1 であるから、
f(1)、f(2) を 3 で割った余りは順に、0、1
(2)解答[背理法の利用]
【2018九州大学・理・第4問】
整数 a、b は 3 の倍数でないとし、
f(x)=2x^3+a^2x^2+2b^2x+1 とおく.以下の問いに答えよ.
(1) f(1) と f(2) を 3 で割った余りをそれぞれ 0、1 とわかった.
(2) f(x)=0 を満たす整数 x は存在しないことを示せ.

存在しないことの証明は、背理法を利用することが多い!
存在すると仮定して、矛盾を導きましょう!
f(x)=0 を満たす整数 x が存在すると仮定する.
このとき、n を整数とすると、
f(n)=0 \iff 2n^3+a^2n^2+2b^2n+1=0 ・・・①
①より
n(2n^2+a^2n+2b^2)=-1 ・・・②
a、b、n は整数であるから、n=\pm1

( ⅰ ) n=1 のとき
①より、a^2+2b^2+3=0 となるが、
左辺に注目すると、a^2+2b^2+3>0 であるため、これは不適である.
( ⅱ ) n=-1 のとき
①より、a^2-2b^2-1=0
ここで、左辺を 3 で割った余りに注目する( mod3 で考える )と、
a^2≡1、b^2≡1 であるから、
a^2-2b^2-1≡1-2\times1-1=-2≡1 となり、これは不適である.
したがって、f(x)=0 を満たす整数 x は存在しない
(3)解答
【2018九州大学・理・第4問】
整数 a、b は 3 の倍数でないとし、
f(x)=2x^3+a^2x^2+2b^2x+1 とおく.以下の問いに答えよ.
(1) f(1) と f(2) を 3 で割った余りをそれぞれ 0、1 とわかった.
(2) f(x)=0 を満たす整数 x は存在しないことを示した.
(3) f(x)=0 を満たす有理数 x が存在するような組 (a,b) をすべて求めよ.

有理数と言われたら、まずは初期設定はこれでしょう!
任意の有理数 \displaystyle\frac{q}{p} とおく.
ただし、p、q は互いに素な整数で、p≧1 とする.
(2)より、f(x)=0 を満たす整数 x は存在しないため、p=1 のときは不適である.
つまり、p≧2 の整数とおける.このとき、
f\left(\displaystyle\frac{q}{p}\right)=0 とすると、
2\left(\displaystyle\frac{q}{p}\right)^3+a^2\left(\displaystyle\frac{q}{p}\right)^2+2b^2\left(\displaystyle\frac{q}{p}\right)+1=0
式を整理すると、
2q^3=-p(a^2q^2+2b^2pq+p^2) ・・・③
p は 2q^3 の約数であるが、p、q は互いに素な整数で、p≧2 であるため、p=2 となる.
③より、
2q^3=-2(a^2q^2+4b^2q+4)
q^3=-a^2q^2-4b^2q-4
4=-q(q^2+a^2q+4b^2)・・・④
④より、 q は 4 の約数で、p(=2) とは互いに素な整数であるから、q=\pm1
(ア) q=1 のとき
④より、a^2+4b^2+5=0 となるが、a^2+4b^2+5>0 であるため不適である.
(イ) q=-1 のとき
④より、-a^2+4b^2-3=0
(2b+a)(2b-a)=3
(2b+a,2b-a)=(3,1) , (1,3) , (-3,-1) , (-1,-3)
したがって、(a,b)=(1,1),(-1,1),(-1,-1),(1,-1)
最後に
(3)については正直難しいです。
ただ(1)、(2)については整数問題の中ではよく出題される典型問題ですから、しっかりと得点できるようにしておきましょう!
(3)については最後まで解けなくても、初期設定など、部分点を取ることができれば、十分に合格ラインは超えられます!
整数問題は、経験の差が合否の差としてはっきりと出てきます。このブログでは、授業(教科書)ではあまり扱わないが、入試では頻出の整数問題を中心に、差がつく分野を取り扱っています。
塾に通っていない、整数問題を武器にしたい受験生は是非他の記事も参考に、整数問題を得意分野にしてください!
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