スポンサーリンク

医学部(難関理系)攻略|三角関数・数学的帰納法(2段仮定)考え方【滋賀医科大学】

数列

【滋賀医科大学】

\(AB=3\)、\(BC=4\)、\(CA=5\) である \(\triangle ABC \) において、\(\angle{C}=\theta\) とする.

次を示せ.

(1) \(30\text{°}<\theta\)

(2) \(\theta<40\text{°}\)

(3) \(36\text{°}<\theta\)

(4) \(n\theta=30\text{°}+m\times 360\text{°}\) となる整数 \(m , n\) は存在しない.

考え方

(1)について

\(\triangle ABC \) は、\(3\) 辺の長さが「\(3\)、\(4\)、\(5\)」の有名直角三角形

※\(3\) 辺の長さが「\(5\)、\(12\)、\(13\)」も有名直角三角形であるので覚えておこう!

直角三角形を見つけたら、三角比の定義!

 

また、下図(\(y=\cos x\) のグラフ)を見て下さい.

\(y=\cos x\) のグラフは、\(0\text{°}<\theta<180\text{°}\) の範囲において、

\(\alpha<\beta\) \(\iff\) \(\cos\alpha>\cos\beta \)

(※大小関係が入れ替わる)

このような関数のことを、減少関数という.

【補足】

\(y=f(x)\) においてある定義域内、

\(x_{1}<x_{2}\) \(\iff\) \(f(x_{1})< f(x_{2})\)

のとき、\(y=f(x)\) を増加関数という.

(2)について

【\(3\) 倍角の公式の利用】

\(\cos 3\theta =4\cos^3\theta -3\cos \theta \)

\(40\text{°}\) においては、

\(\sin 40\text{°}\) や \(\cos 40\text{°}\) の値を計算することは困難.

そこで、\(40\text{°}\times 3=120\text{°}\) を考える

つまり、\(3\) 倍角の公式を利用する!!

(3)について

\(36\text{°}\) は有名角!!

【cos36°】解法2種類(倍角の公式利用)と(二等辺三角形で余弦定理)

にまとめています.頻出ですから、誘導なしで求められるようにしておきましょう!

 

(4)について

「〇〇しないをしめせ」と言われたとき、1つの方法として、背理法「〇〇する」と仮定からスタート!

\(2\) 段仮定の数学的帰納法の利用

\(2\) 段仮定の数学的帰納法については、有名問題として

【差がつく・頻出】数学的帰納法(2段仮定)・対称式
数学的帰納法(2段仮定)は、一度経験しているかどうかの差がはっきりとつきます。 2020年の広島市立大学・第2問の誘導が丁寧な問題を用いて演習。頻出・重要入試問題

で扱っています.知っているかどうかで差がつく頻出重要問題ですので、しっかりと演習を!

なぜこの問題を見て数学的帰納法( \2\ 段仮定)の発想に至るのかは、下記の解答のところで改めて考え方を詳しく解説します!

【滋賀医科大学】

\(AB=3\)、\(BC=4\)、\(CA=5\) である \(\triangle ABC \) において、\(\angle{C}=\theta\) とする.

次を示せ.

(1) \(30\text{°}<\theta\)

(2) \(\theta<40\text{°}\)

(3) \(36\text{°}<\theta\)

(4) \(n\theta=30\text{°}+m\times 360\text{°}\) となる整数 \(m , n\) は存在しない.

解答(1)〜(3)

(1) \(AB^2+BC^2=3^2+4^2=5^2=CA^2\) が成立(三平方の定理の逆)するので、\(\angle{B}=90\text{°}\).

よって、\(\sin\theta=\displaystyle\frac{3}{5}\)、\(\cos\theta=\displaystyle\frac{4}{5}\) ・・・①

ここで、\(\cos 30\text{°}=\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\)、\(\cos 45\text{°}=\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{2}\) で、

\(\displaystyle\frac{\sqrt{2}}{2}<\displaystyle\frac{4}{5}<\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\)

つまり、\(\cos 45\text{°}<\cos\theta<\cos 30\text{°}\)

\(0\text{°}<x<180\text{°}\) で \(y=cos x\) は減少関数であるから、

\(30\text{°}<\theta<45\text{°}\) ・・・②

したがって、\(30\text{°}<\theta\)

「\(0\text{°}<x<180\text{°}\) で \(y=cos x\) は減少関数」という記述がないと減点されます!

 

(2) \(\cos 3\theta =4\cos^3\theta -3\cos \theta \) ・・・③

①より \(\cos\theta=\displaystyle\frac{4}{5}\) であるから、

③に代入して計算すると、

\(\cos 3\theta=-\displaystyle\frac{44}{125}\)

\(\cos 3\times 40\text{°}=\cos 120\text{°}-\displaystyle\frac{1}{2}<-\displaystyle\frac{44}{125}\)

つまり、\(\cos120\text{°}<\cos 3\theta \)

②より、\(90\text{°}<3\theta<135\text{°}\) より

\(0\text{°}<x<180\text{°}\) で \(y=cos x\) は減少関数であるから、

\(120\text{°}>3\theta\)

よって、\(\theta<40\text{°}\)

 

(3) 「【cos36°】解法2種類(倍角の公式利用)と(二等辺三角形で余弦定理)」を参考に

\(\cos 36\text{°}=\displaystyle\frac{1+\sqrt{5}}{4}>\displaystyle\frac{4}{5}=\cos \theta\)

\(0\text{°}<x<180\text{°}\) で \(y=cos x\) は減少関数であるから、

\(36\text{°}<\theta\)

(4) 考え方と解答

(4) \(n\theta=30\text{°}+m\times 360\text{°}\) となる整数 \(m , n\) は存在しない.を示せ

(4)考え方[より詳しく]

背理法を用いて証明する
つまり、「 \(n\theta=30\text{°}+m\times 360\text{°}\) となる整数 \(m , n\) が存在する」と仮定する.
\(\cos n\theta=\cos 30\text{°}+m\times 360\text{°}=\cos 30\text{°}=\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\) ・・・④

\(\cos n\theta\) が有理数になることが言えれば、④より矛盾であることが導ける

☆方針☆

すべての整数 \(n\) に対して、\(\cos n\theta\) が有理数を示せば良い

👉考え方
1.\(n>0\) のとき、数学的帰納法の活用
2.\(n=0\) のとき、\(\cos n\theta=\cos 0=1\) ( 有理数 ) となり成立
3.\(n<0\) のとき、\(y=\cos x\) は偶関数 ( \(y\) 軸に関して対称なグラフ ) より、「1.\(n>0\) のとき」が示せればOK
和積の公式
\(\cos \alpha + \cos \beta = 2\cos\displaystyle\frac{\alpha+\beta}{2} \cos\displaystyle\frac{\alpha-\beta}{2} \) において
\(\alpha=(k+2)\theta\)、\(\beta=k\theta\) とすると、
\(\cos (k+2)\theta + \cos k\theta = 2\cos (k+1)\theta \cos \theta\) となり、
\(\cos (k+2)\theta =  2\cos (k+1)\theta \cos \theta – \cos k\theta\) ・・・⑤ が成立
👉\(\cos k\theta\)、\(\cos (k+1)\theta\) が有理数と仮定すれば、数学的帰納法の2段仮定の考え形を用いて、\(\cos (k+2)\theta\) も有理数となることがわかる.
※和積の公式など、三角関数の公式に不安がある人は、
※数学的帰納法(2段仮定)が良く分かっていない人は、

(4)解答

「 \(n\theta=30\text{°}+m\times 360\text{°}\) となる整数 \(m , n\) が存在する」と仮定する.
\(\cos n\theta=\cos 30\text{°}+m\times 360\text{°}=\cos 30\text{°}=\displaystyle\frac{\sqrt{3}}{2}\) ・・・④
(ア)  \(n=0\) のとき、\(\cos n\theta=\cos 0=1\) ( 有理数 ) となる
(イ)  \(n>0\) のとき、数学的帰納法を用いて、\(\cos n\theta\) が有理数となることを示す.
( ⅰ ) \(n=1 , 2\) のとき
①より、\(\cos \theta=\displaystyle\frac{4}{5}\) ( 有理数 )
\(\cos 2\theta=2\cos^2 \theta-1=\displaystyle\frac{7}{25}\) ( 有理数 )
となり成立する.
( ⅱ ) \(n= k , k+1\) のとき \(\cos n\theta\) が有理数となると仮定する.
つまり、\(\cos k\theta\)、\(\cos (k+1)\theta\) が有理数と仮定する.
和積の公式から、
\(\cos (k+2)\theta =  2\cos (k+1)\theta \cos \theta – \cos k\theta\) ・・・⑤ が成立
①と仮定より、\(\cos (k+2)\theta\) も有理数となる.
したがって、\(n>0\) のとき、\(\cos n\theta\) は有理数
(ウ)  \(n<0\) のとき
\(y=\cos x\) は偶関数 ( \(y\) 軸に関して対称なグラフ ) であるから、
(ア)の結果より、\(n<0\) のとき、\(\cos n\theta\) は有理数
(ア)〜(ウ)より、すべての整数 \(n\) に対して、\(\cos n\theta\) は有理数となる.
しかしこれは、④に矛盾する.
したがって、\(n\theta=30\text{°}+m\times 360\text{°}\) となる整数 \(m , n\) は存在しない.

さいごに

いかがだったでしょうか?(4)については、さすが医学部の問題といった難問です。

しかし(1)〜(3)は、医学部志望以外の人も、絶対に落としてはいけない問題です。

そして(4)については、確かに難しいですが、考え方を学ぶ上では、とても良い問題だと思います。

最後まで解けなくても、考え方・方針の立て方をしっかりと勉強し、初見の問題にも対応できる力を身につけていきましょう!

 

2017東京大学・文理共通[第4問整数・数列] 2段仮定の帰納法、ユークリッド互除法
対称式、数学的帰納法(2段仮定)、ユークリッド互除法という典型問題。 頻出有名問題で、経験の差が大きく影響する良問。考え方、流れ、方針を確認。

コメント

タイトルとURLをコピーしました