【2021京都工芸繊維大学・工芸科学】
\(m\) を自然数とする.
(1) \(m\) が偶数のとき,\(m^{m-1}+1\) を \(8\) で割った余りを求めよ.
(2) \(m\) が奇数のとき,\(m^{m-1}+1\) を \(8\) で割った余りを求めよ.
はじめに
パターン問題でない限り、問題を見てすぐに方針が見える人は少ないかと思います。
パッと問題をみて方針が立たない(パターン問題ではない)ときは、整数問題に関してはとにかく手を動かす(実験する)ことが大原則!
そこから法則・規則を見つけ、方針を見出しましょう!
※合同式について
下記の解答では、合同式を利用します。
まだ学習していない人、不安な人は、
を用いて使えるように演習を!
整数問題を扱う上で、合同式が使えないのは致命的です・・・。
実験から法則を見つける!
(1) について実験
\(m\) は偶数であるから、
\(m= 2 , 4 , 6 , \cdots\) で実験してみましょう。
(ア) \(m=2\) のとき
\(m^{m-1}+1=2^1+1=3\) より、 \(8\) で割った余りは \(3\)
(イ) \(m=4\) のとき
\(m^{m-1}+1=4^3+1\)
\(4^3=2^6=8\times2^3\) なので \(8\) で割り切れる.
よって、\(4^3+1\) を \(8\) で割った余りは \(1\)
(ウ) \(m=6\) のとき
\(m^{m-1}+1=6^5+1\)
\(6^5=2^5 \times 3^5=8\times2^2 \times 3^5\) なので \(8\) で割り切れる.
よって、\(6^5+1\) を \(8\) で割った余りは \(1\)
\(m=2\) のときは \(3\)
\(m≧4\) の偶数のときは \(1\)
になると予想できる.
(1) 解答
(ⅰ) \(m=2\) のとき
\(m^{m-1}+1=2^1+1=3\) より、 \(8\) で割った余りは \(3\)
(ⅱ) \(m≧4\) の偶数のとき
\(2\) 以上の自然数 \(k\) を用いて、\(m=2k\) とおける.
このとき、
\(m^{m-1}+1=(2k)^{2k-1}+1\)
ここで、\((2k)^{2k-1}=2^{2k-1}\times k^{2k-1}=8 \times 2^{2k-4} \times k^{2k-1}\) であり、
\(k≧2\) より \(2k-4≧0\) なので \((2k)^{2k-1}\) は \(8\) で割り切れる.
よって、\(m^{m-1}+1=(2k)^{2k-1}+1\) を \(8\) で割った余りは \(1\)
(2)について実験
\(m\) は奇数であるから、
\(m= 1 , 3 , 5 , \cdots\) で実験してみましょう。
(ア) \(m=1\) のとき
\(m^{m-1}+1=1^0+1=2\) より、 \(8\) で割った余りは \(2\)
(イ) \(m=3\) のとき
\(m^{m-1}+1=3^2+1=10\) より、 \(8\) で割った余りは \(2\)
(ウ) \(m=5\) のとき
\(m^{m-1}+1=5^4+1=626\) より、 \(8\) で割った余りは \(2\)
\(m\) が奇数のとき
\(m^{m-1}+1\) を \(8\) で割った余りは \(2\)
になると予想できる.
(2) 解答
以下、法を \(8\) として考える.
\(m\) は奇数であるから、
\(m ≡ 1 , 3 , 5 , 7\) となる.
(Ⅰ) \(m ≡ 1\) のとき
\(m^{m-1}+1 ≡ 1+1 =2\) より
\(m^{m-1}+1\) を \(8\) で割った余りは \(2\)
(Ⅱ) \(m ≡ 3\) のとき
\(m^{m-1}+1 ≡ 3^2+1 ≡ 2\) より
\(m^{m-1}+1\) を \(8\) で割った余りは \(2\)
(Ⅲ) \(m ≡ 5\) のとき
\(m^{m-1}+1 ≡ 5^4+1 ≡ (-3)^4+1 ≡ 82 ≡ 2\) より
\(m^{m-1}+1\) を \(8\) で割った余りは \(2\)
(Ⅳ) \(m ≡ 7\) のとき
\(m^{m-1}+1 ≡ 7^6+1 ≡ (-1)^6+1 ≡ 2\) より
\(m^{m-1}+1\) を \(8\) で割った余りは \(2\)
(Ⅰ)~(Ⅳ)の結果から、
\(m\) が奇数のとき、 \(m^{m-1}+1\) を \(8\) で割った余りは \(2\)
さいごに
整数問題では、
実験 → 規則を見つける(予想) → 証明(一般化)
の流れで解答を作っていくことが良くあります。
ただ解答をなぞるだけの勉強ではなく、しっかりと手を動かし(実験し)、解答の方針が立てられるようにしていきましょう!
また、(2)では二項定理などを利用しても証明は出来ます。
しかし合同式を利用することで、解答がスッキリしますので、合同式に不安がある方は是非!合同式が使いこなせるよう、演習を!
2021 兵庫県立大学【整数】平方数には合同式(mod)を使え!
などなど、このサイトでは整数のカテゴリーの問題では、様々な場面で合同式を利用しています。
入試問題(実践問題)を使って演習してください。
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