数学Ⅲで学習する複素数平面について、実践問題(入試問題)を使って、ポイント(考え方)まとめをしていきます。
正直に言いますと、教科書をやっただけでは、入試レベルの問題に対応するのは難しいです。
ですから、教科書と入試レベルの橋渡しとして、過去に出題された入試問題を例に、複素数平面においておさえておきたい(入試でよく出る考え方)をまとめていきます。
全部で厳選12題を準備しました。どの問題も絶対に押さえておきたい有名かつ大切な考え方をもつ問題ばかりになります。この12題を学習することで、複素数平面の全体の復習になりますので、2次試験に向けての複素数平面の対策に利用してください。
基本的な考え方をしっかりと身に付け、2次試験で得点源にできるようにしていきましょう!
複素数平面の基本的な解法
複素数平面の問題は、基本的に次の3つのどれかで考えていきます.
それぞれの解法の強みがありますので、以下の12題を通して、使い分けができるように演習をしていきましょう!
① \(z\) のまま扱う
・\(|z|^2=z\cdot \overline{z}\)、\(z+\overline{z}\) は実数・・・などの性質を利用
② \(z=x+yi\) ( \(x , y\) は実数 ) とおいて計算
③ 極形式の利用
・\(z=r(\cos \theta+i\sin \theta)\) とおいて
ド・モアブルの定理などを利用
問題① 絶対値について
【問題1】
複素数平面 \(\alpha\)、\(\beta\) が \(| \alpha | = | \beta | = | \alpha – \beta | = 2\) を満たしているとき、次の値を求めよ.
(1) \(| \alpha+\beta |\)
(2) \(\displaystyle\frac{\alpha^{3}}{\beta^{3}}\)
(3) \(| \alpha^2+\beta^2 |\)
考え方や解答・解説については
問題② 1のn乗根について
【問題2】
【1】 次の問に答えよ.
(1) 複素数 \(z\) が、\(z^3=1\)、\(z\not=1\) を満たすとき
\(\displaystyle\frac{1}{1-z}+\displaystyle\frac{1}{1-z^2}\) の値を求めよ.
(2) 複素数 \(z\) が、\(z^5=1\)、\(z\not=1\) のとき、
\(\displaystyle\frac{1}{1-z}+\displaystyle\frac{1}{1-z^2}+\displaystyle\frac{1}{1-z^3}+\displaystyle\frac{1}{1-z^4}\) の値を求めよ.
【2】 次の問に答えよ.
(1) 複素数 \(z\) が、\(z^3=1\)、\(z\not=1\) を満たすとき、\((1-z)(1-z^2)\) の値を求めよ.
(2) \(\alpha=\cos \displaystyle\frac{2\pi}{5}+i\sin \displaystyle\frac{2\pi}{5}\) として、\(x\) についての恒等式 \((x-\alpha)(x-\alpha^2)(x-\alpha^3)(x-\alpha^4)=x^4+x^3+x^2+x+1\) を示せ.
(3) \(n\) は \(3\) 以上の自然数とする.
\(\beta=\cos \displaystyle\frac{2\pi}{n}+i\sin \displaystyle\frac{2\pi}{n}\) として、
等式 \((1-\beta)(1-\beta^2)(1-\beta^3)\cdots(1-\beta^{n-1})=n\) を示せ.
(4) \(\displaystyle\frac{n}{2^{n-1}}=\sin \displaystyle\frac{\pi}{n}\sin \displaystyle\frac{2\pi}{n}\cdots\sin \displaystyle\frac{(n-1)\pi}{n}\) を示せ.
考え方や解答・解説については
問題③ 実数・純虚数について
【問題3】
(1) 複素数 \(\alpha\)、\(\beta\)、\(\gamma\) は、\(| \alpha | = | \beta | = | \gamma | = 1\) である.
このとき、\(\displaystyle\frac{(\beta+\gamma)(\gamma+\alpha)(\alpha+\beta)}{\alpha\beta\gamma}\) は実数であることを証明せよ.
(2) \(z\) は複素数で \(| z | = 1\) であるとき、\(z^2+2z+\displaystyle\frac{1}{z}\) が負の実数であるような \(z\) を求めよ.
考え方や解答・解説については
問題④ 2点間の距離、楕円
【問題4】
複素数 \(z\) に関する等式
\(| z + i |+| z – i | = 2\sqrt{2}\) ・・・①
について、次の問に答えよ.
(1) \(z\) が①を満たすとき、\(\overline{z}\) も①を満たすことを示せ.
(2) \(z=x+yi\) が①を満たすとき、\(w=\sqrt{2}x+yi\) は \(| w | = \sqrt{2}\) を満たすことを示せ.
考え方や解答・解説については
問題⑤ 乗法・除法
【問題5】
複素数 \(z_{1}\)、\(z_{2}\) があって、\(| z_{1} | = | z_{2} | = 1\)、\(arg z_{1}=\theta_{1}\)、\(arg z_{2}=\theta_{2}\) \(\left(0≦\theta_{1}<\theta_{2}≦\displaystyle\frac{\pi}{4}\right)\) とする.
\(w_{1}=z_{1}+z_{2}\)、\(w_{2}=z_{1}z_{2}\)、\(w_{3}=\displaystyle\frac{z_{2}}{z_{1}}\) とするとき、次の問に答えよ.
ただし、複素数平面の原点を \(O\) とする.
(1) \(w_{1}\)、\(w_{2}\)、\(w_{3}\) の偏角を求めよ.
(2) 線分 \(Ow_{1}\) が \(∠w_{1}Ow_{2}\) の二等分線となるとき、\(|w_{1}|\) を \(\theta_{1}\) で表せ.
考え方や解答・解説については
問題⑥ 原点を通る直線に関する対称点
【問題6】
\(\alpha\) ( \(\alpha\not=0\) ) 、\(\beta\)、\(\gamma\) は複素数とする.複素平面上で、\(\beta\)、\(\gamma\) とが、\(O\) と \(\alpha\) とを通る直線に関して対称な点であるためには、
「\(\overline{\alpha}\gamma=\alpha\overline{\beta}\)」
が必要十分条件であることをしめせ.
考え方や解答・解説については
問題⑦ 点の回転・一般(2004横浜国立大)
【問題7】(2004横浜国立大学)
異なる複素数 \(\alpha\)、 \(\beta\)、\(\gamma\) が、\(2\alpha^2+\beta^2+\gamma^2-2\alpha\beta-2\alpha\gamma=0\) を満たすとき、次の問に答えよ.
(1) \(\displaystyle\frac{\gamma-\alpha}{\beta-\alpha}\) の値を求めよ.
(2) 複素数平面上で、\(3\) 点 \(A(\alpha)\)、\(B(\beta)\)、\(C(\gamma)\) を頂点とする \(△ABC\) はどのような三角形か.
(3) \(\alpha\)、 \(\beta\)、\(\gamma\) が \(x\) の \(3\) 次方程式 \(x^3+kx+20=0\) ( \(k\) は実数の定数) の解であるとき、\(\alpha\)、 \(\beta\)、\(\gamma\) および \(k\) の値を求めよ.
考え方や解答・解説については
問題⑧ 点の回転・三角形の形状(1970上智大)
【問題8】(1970上智大学)
\(3\) つの複素数 \(\alpha\)、\(\beta\)、\(\gamma\) の間に、関係式 \(| \alpha |=| \beta |=| \gamma |=1\)、\(\alpha+\beta+\gamma=0\) が成り立つならば、複素数平面上で \(\alpha\)、\(\beta\)、\(\gamma\) を \(3\) 頂点とする三角形は [ ] である.
考え方や解答・解説については
https://mathmathmanabu.com/complex-plane8/
問題⑨ 極限値・無限等比数列(1967一橋大)
【問題9】(1967 一橋大学)
平面上ではじめに座標の原点にあった動点 \(P\) が、\(x\) 軸の正方向に \(1\) だけ進む.
次に進行方向に向かって左へ \(30°\) だけ向きを変えて、\(\displaystyle\frac{1}{2}\) だけ進む.
次に進行方向に向かって左へ \(30°\) だけ向きを変えて、\(\displaystyle\frac{1}{4}\) だけ進む.
以下同じように、進行方向を左へ \(30°\) ずつ変え、進む距離を前回の半分にしていくとき、動点 \(P\) の極限値の位置を求めよ.
考え方や解答・解説については
問題⑩ 図形への応用(2004京都大)
【問題10】2004 京都大学
複素数 \(\alpha\) に対してその共役な複素数を \(\overline{\alpha}\) で表す.
\(\alpha\) を実数でない複素数とする.複素数平面内の円 \(C\) が \(1\)、\(-1\)、\(\alpha\) を通るならば、\(C\) は \(-\displaystyle\frac{1}{\overline{\alpha}}\) も通ることを示せ.
考え方や解答・解説については
問題11 連動型の軌跡(2000名古屋市立大)
【問題11】2000 名古屋市立大学
\(2\) つの複素数 \(z\) と \(w\) との間に、\(w=\displaystyle\frac{z+i}{z+1}\) なる関係がある.
ただし、\(z+1\not=0\) とする.
(1) \(z\) が複素数平面上の虚軸を動くとき、\(w\) の軌跡を求め、図示せよ.
(2) \(z\) が複素数平面上の原点を中心とする半径 \(1\) の円周上を動くとき、\(w\) の軌跡を求めよ.
考え方や解答・解説については
問題12 領域・最大最小
【問題12】
複素数平面上で \(| iz+3 |≦1\) を満たす \(z\) に対して、
\(| z-i+2 |\) の最大値と最小値を求めよ.
考え方や解答・解説については
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